ジャガー XJ エクステリア

ジャガーらしい雰囲気にあふれた上品な室内空間

 今からウン十年前の私が20代の時、友人のお父さんがジャガーに乗っていた。今では考えられないが当時は特に外車の信頼性が低く故障が多かった。友人は途中で止まってしまうようなクルマは嫌いで早く買い換えて欲しいと思っていた。「ジャガーを修理に出しその代車がジャガーで、それも故障したんだ」とウンザリして言った。
 ある時友人が、父親のジャガーに乗ってドライブに私を誘った。記憶が定かでないが初代XJシリーズではないかと思う。重いドアを開けて助手席に乗り込むと、上品なレザーとウッドパネルを使ったインテリアに圧倒された。レッグスペースは広かったが運転している友人との距離は近く、窓も小さく、ボディサイズの割に室内はコンパクトだった。そのコンパクトな空間が絶妙で、高級なインテリアとのコンビネーションにより英国伝統の一端を感じ、また流れるような走りは故障しても乗り続けたい友人のお父さんの気持ちが判ったような気がした。
 試乗車はXJ 4.2ソブリンでスポーツタイプのXJRを除けば一番の高額車で事実上のトップモデルである。三代目となる現在のジャガー XJシリーズは2003年にデビューし、街中でも見かける事が多くなった。私はセダンに試乗するときは後席からと決めているので、最初は後席に乗り込んだ。
 インテリアはレザーを贅沢に使い、ウッドとのコンビネーションが上品であり、ドイツ車やイタリア車、そしてアメリカ車とも違う独特の雰囲気がある。着座位置は低めであり、室内高もセダンとしては低めで、サイドガラスも小さい。いわゆる高級セダンの中ではキャビンは狭いが、私が青年時代に経験したジャガー・ワールドそのものである。

ジャガー XJ フロント
デビューから6年が経過しているとは思えない美しいフォルムが印象的だ。今でも十分通用する洗練されたデザインといえる。
ジャガー XJ サイドビュー
ジャガーらしい上品さが感じられるサイドビュー。前後に流れるようなラインが特徴で、質感の高さは申し分ない。
ジャガー XJ 4.2リッターV8スーパーチャージャーエンジン
4.2ソブリンに搭載される4.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンは、パワフルで驚くほど鋭い加速が味わえる。

後席よりも自分で運転したいドライバーズ・カー

 走り出してからの印象はダンピングが少し不足気味でヨーロッパ車と言うより、アメリカ車に近い。シートも張りが無くなり他車と同様のレザーシートである。昔の記憶に残る重厚感あふれるジャガーの乗り味を期待していたが、現代のジャガーは信頼性の獲得と同時に古き時代ならではの良さも捨てたのだろう。
 運転席に移動しハンドルを握る。シートポジションは英国紳士のように襟を正して座るのが一番しっくりする。後席では低めに感じた着座位置もドライバーとしては丁度良い高さで、ハンドル、ペダル、シフトレバーなど全てが適切な場所にあり、最近は少なくなったが外車特有の右ハンドル化による違和感はなく、流石に右ハンドルが母国のクルマである。
 軽いステアリングに手を添えてアクセルを踏むと、低回転から急激にパワーが盛り上がり、驚いてアクセルを緩めた。V8 4.2リッターエンジンはスーパーチャージャーが付き最高出力は406psもあり、加速は俊足である。おそらく運転手が運転するソブリンには過剰すぎるパワーかと思うが、慣れてくると右足に僅かに力を入れるだけ加減速ができ、これはこれで面白い。余裕としての装備と考えればパワーは多い方が良く、紳士のアクセルワークで運転するなら適切なエンジンユニットだろう。
 足回りは、20インチのホイールを履いているが、突き上げは少なくエアスプリングのサスペンションはしなやかで後席で感じた印象よりは良い。ハンドリングはドイツ車の様な緻密さは無いが、リニアにノーズは反応し無駄な動きはない。高級セダンであるが、私だったら迷わず後席に乗るより運転する方を選ぶ。それは運転席が一番快適であり、運転手に任せず積極的に運転したいクルマであるからである。時代は変わり、クルマも大きく変わったが、ドライバーズ・カーとしてのジャガー伝統は変わらない。

ジャガー XJ インテリア
本革や本木目を多用したインテリアは、とても上品で落ち着いた雰囲気だ。デザインもジャガーらしいもので好感が持てる。
ジャガー XJ フロントシート
着座位置は低めで、シートの形状はスポーティな走りも楽しめるもの。室内は静かで、とても快適な移動空間といえる。
ジャガー XJ リヤシート
足元スペースには十分なゆとりがあり、ゆったりとくつろげる。室内は広くはないが適度なタイト感があり、窮屈な印象はない。
代表グレード
ジャガー XJ 4.2ソブリン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
5100×1900×1460mm
車両重量[kg]
1760kg
総排気量[cc]
4196cc(スーパーチャージャー)
最高出力[ps(kw)/rpm]
406ps(298kw)/6100rpm
最大トルク[N・m/rpm]
553N・m/3500rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃焼[km/l]
6.8km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
1150.0万円
発売日
2003/5/31
レポート
丸山和敏
写真
佐藤靖彦
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