メルセデスベンツの対極としての選択肢

 エコカーがブームの昨今、実は結構大きな勢力なのが、依然として大都市の中心部でもよく目にする高級RV車ではないでしょうか。SUVと言ってみたり、いやいやあれはうちが造るからにはSAVなのだと言って聞かないドイツのメーカーもあったりします。こういったクルマたちを目の前に、「街中でこんな車に乗って、何の意味があるのか」という議論を繰り広げたところで時すでに遅し。圧倒的な存在感があり、ついつい目も心も集める力を持っています。今回はそのはしりともいえる、2代目レンジローバーのです。

ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」

シンプルがゆえに道具としての魅力。ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」エクステリア画像

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「大きいことはいいことだ」

 クルマの存在意義、それはやはり、人間がもともと持ち合わせる自己顕示欲と深く結びついているのではないか。街で、散々エコだと騒がれている一方で、減るどころか増えているようにすら感じられる大型RV車をみているとそう思わずには居られません。私個人的には、こういった消費行動には好感を持っています。ともすると、そもそもの「自動車を使う」こと自体が当然に及ばす環境負荷自体にもふたをするかのような、(筆者にはこう思われてならないのです)浅薄な環境意識を自動車の選択で持ち込まれるよりは、今ある中古車、以前すでに製造されている「ちょっといい道具感」のある名車と共に暮らし、その中で少しでも自分にできることをする、あるいは漫然と行動しないことのほうが、よほどエコロジーなのではないかそう思うのです。端的にいえば「毎日ちょっとそこまで買い物に行くのにしか使わないから、ハイブリッドカーに買い替える」よりは、そもそも「そこまで買い物に行くくらいではクルマは使わない」生活を心がけたいものである、ということであります。
 先日、もう亡くなられた作曲家山本直純が森永のチョコレートのためにつくったCMソングをテレビで流していました。「大きいことはいいことだ♪」とみんなで合唱しています。むしろこんな、素直に、正直に、シンプルに、高らかに歌い上げられることの喜び。ちょっと20世紀的かもしれませんが、この珍しくも小ざっぱりしたレンジローバーには、素直なこんな世界観を感じずにはいられないのです。

ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」 面構え
カラードバンパー、フォグランプも装備。見た目が上級グレードのであるばかりか実用的。夏の避暑地は霧が出ますから。「軽井沢エクスプレス。」
ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」 横顔
クリアーなデザインは、決してデザインのためのデザインではなく、この車がオフロードカーの頂点であるという誇りの表れでもあるのです。オフロードカーは四隅の見切りが悪いことは致命傷。これぞ4駆の鑑。
ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」 ルーミーな室内
ウエストラインが低いのもレンジローバーの美徳といえます。見切りの良さに貢献するばかりか、居住空間の快適性向上への貢献度大。このあたりが女性にもやさしいレンジローバーたる所以です。

「ギラギラ」は性にあいません

ルーフエンドから少し奥まってリヤウインドウがつけられているのは、防汚対策と初代のレンジローバーのデザインを受け継いだもの。やはりすっきり。レンジローバー 2000年式「858,900円」

 今回ご紹介するレンジローバーは、2000年式の最もシンプルなグレード4.0“S”です。当時3グレードで展開されていたレンジローバーで、大きなエンジンにレザーシート、サンルーフが標準で用意された4.6HSE、今回ご紹介する4.0Sと同じエンジンで、サンルーフ以外はHSEに準じた装備を持った4.0SE、遅れて追加設定されたレザーシートを持たないこの4.0Sという構成でした。サンルーフはオプションでチョイスできませんでした。台数的には上級2グレードが多かったのではないでしょうか。日本では「英国車=レザーシート」という暗黙の公式が半ば常識化されていました。当時最上級4.6HSEでも現行のレンジローバーヴォーグスーパーチャージドの半額以下であったこの車は、英国車入門にうってつけとあってか相当数が登録されました。ベンツ・ボルボのワゴンが一般化し、BMWも5シリーズのツーリングが大変人気の出てきたころ、同じくらいの価格帯で英国王室御用達ブランドの、洒落た4WDは、「あの人とは違う」ものを探し求める層にうってつけの選択肢だったのでしょう。
 そういうこの車のポジションからすると、この4.0Sは価格で「単なるエントリーモデル」と評価を下すのはいささか早計ではなかろうか、と思うのであります。なぜならエントリーにしてはある意味この車のアイコンとして欠くべからざる芳しい英国車の証「レザーシート」がないのです。(もっともイギリスが世界に発信した功績の一つ産業革命は毛織物に始まったほどで、この柔らかな毛足のシート表皮ももちろん英国車の材質として「亜流」では決してないのですが。)おそらくは、この4.0Sこそが、一番ベテラン輸入車ユーザー向きだったのではと思わずにはいられません。

ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」

 そしてこの個体に関しても、これまでのオーナーのこだわりが見て取れます。実はこのモデル先ほどのグレード構成でそれぞれ装着タイヤが異なるのです。本来4.0Sにはこの写真よりもっと細いタイヤが装着されていました。写真のホイールは当時4.6HSE用に標準装着で用意されていたものです。高速クルージングにはこちらの方が安定するでしょう。そしてカラードバンパー+フォグランプは標準装備ではありません。見た目は、オリジナルのものよりもだいぶ精悍になっています。この品のいいドレスアップで、道具としてとても好感のもてる一台です。

ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」
明るく、落ち着いた色づかいは乗っている人に安心感を与えます。シンプルながら上質な空間。
ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」
レンジローバー。所有する喜びも合わせ備える。オフロードのロールスロイスは伊達ではない。ただ、筆者が思うに、もっとスポーティー。
ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」
今は、ないよりはあるにこしたことはない装備。存分により道ができるものです。

キャンピングトレーラーを引いて

縁側のようなものです。ガーデニングの国から来た車で、日本の美しい風景を借景にする。

 さて、このレンジローバー、外装色もなかなか渋いではありませんか。英国車にはグリーンも大変よく似合います。ちょっと調べてみたのですが、グリーン系で10色程度存在するようです。もちろん、好みをオーダーすれば、いくらでも可能なのでしょうが、いずれもなかなか「なるほど」と思ってしまう色ばかり。この車に塗られているのは、「ウッドコートグリーン」ではないでしょうか。中がグレーではなくブラウン系の内装色なのがなかなか好ましい雰囲気を出しています。
こんな素敵なレンジローバーで、森がはぐくむ日本の夏を体感してみませんか。この車でキャンピングトレーラーでゆっくりと旅をする。ゆっくり座って日本を楽しむ。上下二分割のトランクゲートを出して腰をかける。お茶でも一服…。この車を眺めていると、とにかくどこか旅に出たくなる。こんな車、いまなかなかないのではないでしょうか。

ランドローバー レンジローバー 2000年式「858,900円」どこまでも!いつまでも!

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達人プロフィール: CORISM編集部
職業:自動車情報サイト「CORISM」編集部
今ネットで最も注目される(自称)新進気鋭の自動車メディアサイト『CORISM』編集部。07年より日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員にも任命されるなど、着々とメディアとしてのパワーを拡大しつつあるのは確かだ。