「適度」それとも「半端」? 評価が真っ二つの“マイルドなランエボX”
ランサーエボリューションXのべースモデルとなったギャラン・フォルティスに「ラリーアート」という微妙なモデルが追加された。フォルティスのボディに2リッターターボエンジン+4WDを搭載しており、ランエボXと極めて近い。果たしてどんなコンセプトなのか?
結論から書くと、ランエボほど尖っていない「4ドアGT」というイメージ。スバルならインプレッサWRXに対するレガシィB4のようなものだと考えればよかろう。価格もランエボより100万円安い300万円。これまたレガシィB4と近い。
もう少しスペックを紹介しておく。基本的なボディやタイヤサイズは、フォルティスの上級グレードと共通。エンジンも280馬力のランエボXと同じ形式ながら、扱いやすさを重視した240馬力仕様となる。
駆動系もランエボXから旋回能力を向上させるAYCを省略した4WDシステム(前後輪にLSDは装着される)と、ATながらMT以上に速い変速を誇る「ツインクラッチSST」の組み合わせてきた。いろんな意味でマイルドなランエボXです。「中途半端」と捉えるか「適度な性能」と捉えるかで評価が分かれるかもしれない。
サーキットに行かないならコレで十分過ぎ! でも誰が買う?
乗るとどうか? 結論から言うと「サーキット走行や競技に使わないなら、ランエボXよりあらゆる面で好ましい」。もちろん絶対的な速さではランエボXに敵わないものの、普通に乗るなら必要にして十分過ぎる性能を持つ。
具体的に言うと、乗り心地やツインクラッチSSTのセッティングなど全てが「適度にスポーティ」。ワインディングロードに入れば、心地よいシフトショックを味わえるツインクラッチSSTや、ガッシリとして頼もしいハンドリングを楽しめるのだから嬉しい。
快適で走りも楽しめる上、姿勢制御システムASCやクルーズコントロールも標準装備されるなど、ロングツーリングを楽しむGTカー的な使い方にも向く。しかし。ユーザーがたくさんいると思えない。
前述したように全天候対応型モデルとしての資質は確かに高いけれど、コストパフォーマンスや燃費など含む総合力で際だったキャラを持つ「レガシィB4」という手強いライバルが存在する。ギャランフォルティスというブランドイメージが弱いのだ。
もちろん三菱車ファンで「BMW3シリーズのようなスポーツセダンに乗りたい」というなら最高のチョイス。「ランエボXも魅力的ながら過激過ぎる」みたいなユーザーなら文句なしにピッタリだろう。興味有る方はぜひ試乗してみることをすすめておく。