搭載エンジンは従来の3.3Lから3.8Lに排気量アップされた。これによって動力性能は193ps(142kW)/31.1kg-m(305N・m)へと向上しており、2tを超える大柄なボディのグランドボイジャーを力強く走らせることができる。
大きくて重いボディだけに、軽快な走りというわけにはいかないし、OHVタイプのエンジンなので吹き上がりの軽快感はさほどではないのだが、ぐいぐいと力強く進んでいく重厚感のある加速フィールは、いかにもアメリカ車らしいもの。ほかのクルマでは簡単には得られない特徴である。
トランスミッションもクライスラー内製の電子制御6速ATに変わった。これによる滑らかな変速フィールもなかなか好感の持てるものだ。クライスラーがオートスティックと呼ぶマニュアル操作が可能なATだが、シフトレバーが床に設けられていて、積極的なマニュアル操作をするには必ずしも使い勝手の良い位置とはいえない。
足回りはミニバンらしい柔らかめの乗り心地を実現している。ロールは多少大きめになるが、ワインディングを積極的に走るようなクルマではないから、このような味付けで何の不満もない。
今回の試乗では狭い道を走らなかったが、都内の路地などを走ると、2mを超える全幅や6mに達する最小回転半径などが問題になる部分も出てくると思う。駐車場事情なども含めて、余裕のある人でないと簡単には選べないクルマでもある。
●お勧めグレード
ツーリングが460万円ほどの価格で、リミテッドは546万円の設定。ツーリングを買っても後からカーナビなどを装着するのなら、最初からリミテッドを選んだほうがトータルで買い得な感じになると思う。諸費用も含めたら600万円級の価格となるので、駐車場事情以外に懐具合にも余裕がないと買えないクルマである。いかにもアメリカ車的な堂々たる雰囲気のクルマが欲しい人にお勧め。