ホンダの主張は本当なのか?
これまで1.5リッター級ミニバンの場合、3列目シートを装備していたとしても「小柄な人なら何とか座れる」といった実用性でしかなかった。「3列目のシートに成人男性も乗る」というなら、ストリーム級。スライドドア付きであれば、ステップワゴン級以上のミニバンでないと厳しい。
そんな状況を見たホンダは「だったら小さくて広いミニバンを作ろう」と考えたそうな。実際、フリードの宣伝を見ると、フルに3列のシートを使えるミニバンだとアピールしている。しかも7人乗りだけでなく、8人乗りまでラインナップしてきた。となると気になるのが「ホントに乗員全員が快適に乗れるのか?」という点。早速チェックしてみましょう。
最も気になる3列目シートから。運転席を身長175cmのドライバーに合わせ、2列目も同じ体格を人が座れる位置とし、残った3列目シートのスペースに座ってみた。結論から書くと、成人男性でも座れる空間を確保出来ている。
3列のシートに2人づつ座る老若男女混交の6人までなら、ステップワゴンのようなミニバンの80%程度の居住性を確保できていると考えていいだろう。週末の1泊ドライブだって問題なし!
悩ましいシート選び、達人国沢のベストバイは?
続いて「5人乗り/7人乗り/8人乗りのどれを買ったらいいのか?」を考えてみたい。ホンダが発表した初期受注によれば、売れ筋は7人乗り(2週間で1万台の注文を受けたそうな)。ゆったり座れる2列目のキャプテンシート+横3人掛けの3列シートというレイアウトです。
8人乗りは2列目、3列目共にベンチシートなのだけれど、それぞれの中央席が座面も硬い。ただファミレスやショッピングセンターまで移動するようなケースで合法的に8人乗れるのは便利。
本来なら3列目シートがある部分をフリースペースにした5人乗りも試してみた。ステーションワゴンより低いフロアを持つため、天地方向で余裕ある。レガシィツーリングワゴンあたりに近いラゲッジスペースを有す。「3列目シートを使う機会は無い」というならピッタリの相棒となるだろう。
以上、フリードを選ぶ際にグレードで迷ったなら、いかようにも使える7人乗りを選んでおけば間違いなかろう。8人乗りも悪くないけれど、3列シートへの乗降性が7人乗りより悪い(7人乗りだと2列目シートの間を通れる)。
唯一の不安要素は価格設定
さてさて。非常に魅力的な“ミニミニ”バンであるフリードながら、1つだけ厳しく感じる部分もある。それは価格設定だ。7人乗り標準的なグレード(169万500円)でも、あと10万円足せばストリーム(1.8のベースグレードで180万6000円)が買えてしまう。
おまけにフリードは発売直後とあって値引きが渋く、実売価格だとストリームの方が安くなってしまうことだって少なくない。見積もりを取ったユーザーに聞くと、200万5500円のステップワゴンとほぼ同じ支払い金額だったそうな。フリードの値引き拡大まで待つのも手か?