注目高まるモーター系古着の世界

 若槻千夏が芸能界を突如バックれ、ロスに旅立って古着バイヤーになってしまったのは色々ドス黒い事情あっての事らしいが、バックれ後の行き先が古着の商いという辺りが面白くもある。
 筆者を始めとした団塊ジュニア世代は、'90年代前半を襲った狂乱のアメカジ古着ブームを経験してるわけだが、ボロボロのGパンが20万円で飛ぶように売れたバブルっぷりは流石に終わったが、若者ファッションへのアメリカ古着の定着っぷりは今も変わらず続いている。'90年代古着ブームはヴィンテージ史上主義だったが、最近の古着ブームはよりレンジが広いデザイン主義で、価格もあくまでチープというのが主流。チナッティーの商いもこの辺を突っ付いているというわけだ。
 一方でこの21世紀ニッポン、ヴィンテージ古着の世界というのもどっこい生きている。'90年代のブームは、アメリカでは殆ど無価値のヴィンテージデニムという物に目を付けた仕掛け人が、安値で仕入れて日本で付加価値(理屈)を付けてバカ高い物に仕立て上げたという経緯がある。勿論アメリカ人もバカではないので、勉強してヴィンテージ古着の価格を吊り上げる。結果、ヴィンテージ古着は逆輸入的にアメリカで評価が上がり、マーケットが形成された。
 ここで紹介するモーター系の古着は、そうした古着としての価値に加え、そもそもヒストリックなモーター系コレクティブルとしての側面もあるので、最近その価値が上昇中のジャンルだ。特にホットロッドやハーレーといった、アメリカン・モーター・カルチャーに関する物は価格の高騰が著しく、'50〜'60年代の物になるとTシャツ1枚で6万円、7万円というのもザラになってきている。
 しかしその一方で、王道を外したところを突くとまだまだ面白い物が出現するのが古着の面白いところ。アメリカ文化はTシャツ文化ともいえるほど、アメリカ古着には面白いTシャツが数多く存在するのだ。そこでこれから数回、筆者が所有するコレクションの中から、イカした物をご紹介していくことにする。というわけで初回はアメリカでも人気の高い、DATSUNをテーマにお届け!

レアすぎる280ZXファニーカーTシャツ!
レアすぎる280ZXファニーカーTシャツ!
レアすぎる280ZXファニーカーTシャツ!
レアすぎる280ZXファニーカーTシャツ!

スカンジナビアンmeetsアメリカン! レアすぎる280ZXファニーカーTシャツ!

ドラッグレース物のTシャツは人気の高いジャンルだが、280ZX(130Z)ボディのファニーカーが描かれているのは特に珍しい。さらに面白いのは、ボディに大きく描かれている"FLYGVAPNET"とはスウェーデン空軍の事であり、バックのスポンサープリントの中にある"Lektyr"も、スウェーデンの男性誌の名前であるということ。というわけでこのファニーカーはスウェーデンのドラッグレースを走るマシンの物であることが判明。実はスウェーデンを始め、ノルウェーやフィンランド等の北欧国では、ドラッグレースが非常に盛んなのだ。しかしTシャツのボディは何故かアメリカのスクリーンスター社製。たかがTシャツ一枚とみせかけて、深い。

フットボールジャージに刻まれた"280ZX"!

フットボールジャージに刻まれた"280ZX"!

スポーツ感溢れるフットボールジャージに、何故か280ZXの文字。恐らく当時の販促品と思われるが、あくまでさりげなく車名をプリントしているのが良い。両袖にも280ZXのプリント入り。
DATSUNディーラー物デッドストック!
DATSUNディーラー物デッドストック!

DATSUNディーラー物デッドストック!

テキサス州あるディーラーが製作した物。バンクストンは多くのメーカーを取り扱う巨大ディーラーグループで、現在は8メーカー(ニッサン、ホンダ、マツダ、シボレー、フォード、ダッジ、ジープ、BMW、ミニ)の車種を取り扱っている。このTシャツは恐らく'70年代の物だろう。
DATSUN S130Z(写真は日本仕様の日産 フェアレディZ 280ZT 2by2)

DATSUN S130Z(写真は日本仕様のNISSAN FAIRLADY Z 280ZT 2by2)

written by ポルノ鈴木