BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 フランク・ステラ/BMW3.0 CSL(1976年) エクステリア フロント

雲の合間を駆け抜けるアート・カー!

 4月11日から6月8日、東京・港区の六本木ヒルズ森タワー「森アーツセンターギャラリー」にて、BMWアート・カーコレクションの誕生30周年を記念したワールドツアーの一環「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」が開催されている。
 BMWアート・カーコレクションは、1975年に始まり、これまでにアンディ・ウォーホールなど15名のアーティストたちがユニークな作品を発表してきた。今回日本では、このコレクションの中から5台を「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」に、初代BMWアートカー「アレクサンダー・カルダー/BMW 3.0CSL」(1975年)を東京・千代田区のBMW Group Studioに展示している。
 なお、このワールドツアーは、日本での開催後アメリカ、カナダ、ヨーロッパでの公開が予定されている。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」

展示会場は、地上52階というロケーションに、雲をイメージした10000本の透明なパイプの間を光が移動するという構成。この空間設計を手掛けたのは、建築家/青木淳氏。“雲の合間を駆け抜けるアート・カーのスピード感”が表現されている。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 フランク・ステラ/BMW 3.0 CSL(1976年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 フランク・ステラ/BMW 3.0 CSL(1976年) エクステリア サイド
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 フランク・ステラ/BMW 3.0 CSL(1976年) エクステリア リヤ

「フランク・ステラ/BMW 3.0 CSL」(1976年)
1976年のル・マン24時間レースに参戦。巨大方眼紙を思わせる、製図用定規を使った繰り返しパターンのグリッド。ステラいわく「今見てもまったく古びていない。全体がひとつにまとまり、ひきしまって見えるデザイン」になっている。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ロイ・リキテンシュタイン/BMW 320i(1977年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ロイ・リキテンシュタイン/BMW 320i(1977年) エクステリア サイド
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ロイ・リキテンシュタイン/BMW 320i(1977年) エクステリア リヤ

「ロイ・リキテンシュタイン/BMW 320i」(1977年)
1977年にパリ・ポンピドー・センターに展示され、デビューを飾ったル・マン24時間レースでは好成績を残している。ポップアートの巨匠が描いたデザインは、拡大された網点“ベンディ・ドット”が目をひく印象的な作品。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 A.R.ペンク/BMW Z1(1991年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 A.R.ペンク/BMW Z1(1991年) エクステリア サイド
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 A.R.ペンク/BMW Z1(1991年) エクステリア リヤ

「A.R.ペンク/BMW Z1(1991年)」
Z1を謎めいた記号で埋め尽くしたペンクは、このデザインの考案中に「テクノロジー・デザインを探求することも興味をそそる」とコメントしている。先進的でありながら先史時代をも彷彿とさせる大胆なデザイン。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 デイビッド・ホックニー/BMW 850CSi(1995年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」デイビッド・ホックニー/BMW 850CSi(1995年) エクステリア サイド
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 デイビッド・ホックニー/BMW 850CSi(1995年) エクステリア サイド

「デイビッド・ホックニー/BMW 850CSi」(1995年)
「車は走っているものなので、遠くから見ても目立たなくてはならない」というホックニーの作品には、楽しい仕掛けが。外装から車内が見える斬新なデザインで、ドライバーのシルエットに加え後部座席にはホックニーの愛犬ダックスフンドも乗車。反対側面には、逆に車内から見える田園風景が描かれている。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ジェニー・ホルツァー/BMW V12 LMR」(1999年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ジェニー・ホルツァー/BMW V12 LMR」(1999年) エクステリア フロント
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 ジェニー・ホルツァー/BMW V12 LMR」(1999年) エクステリア サイド

「ジェニー・ホルツァー/BMW V12 LMR」(1999年)
テキストをアートとらえるホルツァーのスタイルが表れた作品。BMW特有の青と白のカラーが、レース中いつでもくっきり見えるようにこだわったという。ボディに描かれたメッセージは、“私の欲望から私を守ってください”。青い蓄光ペイントで、夜は闇の中で浮かび上がる。

BMWロゴにマッチした日本開催

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」

 開催前日の4月10日、BMW AG カルチャー・コミュニケーション責任者/トーマス・ギルスト氏によるプレゼンテーションが行われた。まず、今回のアート・カーコレクションのほかにも、建築デザイン、クラシックコンサート、現代アートなど、BMWが力を入れている文化交流の取り組みを紹介。また、これらの場では、アーティストにすべてをまかせ干渉はしない、スポンサーであっても口を出さない、とアーティストを大切にする姿勢も伝えた。
 日本でのアート・カー展開催については、「BMWの青と白のロゴは、BMWが航空機エンジンを作っていたころに、青い空の中でプロペラが回転している様を表したもの。このイメージを使った青木さんの空間構成、52階での展示というのもすばらしい」と話し、「ここでの展示が、この後開催されるアメリカへのベンチマークにもなる」と期待を寄せた。
 さらに、16代目アート・カー「オラファー・エリアソン/BMW H2R」がBMWレーシングカーに決定したことも発表。水素の力のみでレースができる水素自動車の参戦となる。

青木淳×篠山紀信!アート・カー展カタログを出版

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 BMW AG カルチャー・コミュニケーション責任者/トーマス・ギルスト氏

 プレゼンテーション後には、レセプションパーティが行われ、ギルスト氏のほかBMWジャパン 代表取締役社長/ヘスス・コルドバ氏、森美術館 理事長/森佳子氏、森ビル 代表取締役社長/森稔氏、青木氏も出席した。
 ギルスト氏のスピーチでは、改めてアート・カーについて誇り「覚えておいてほしいのは、これらすべてが実際に動きル・マン24時間耐久レースにも参加したということ。アート・カーは、BMWのマーケティングツールではなく、ある友情から始まった30年の歴史を代表するものだ」と語られた。
 BMWアート・カーコレクションは、アメリカの彫刻家/アレクサンダー・カルダーが、美術競売人でレーシングドライバーでもあった友人エルベ・ポーランのために、「BMW 3.0CSL」をペイントしたことから始まった。全コレクションは、ドイツ・ミュンヘンのBMWミュージアムに展示されている。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 BMWジャパン 代表取締役社長/ヘスス・コルドバ氏
BMWジャパン 代表取締役社長/ヘスス・コルドバ氏
「会場の10000本ものパイプは圧巻。まさに雲の間を駆け抜けるアート・カーのスピード感が表現されている」
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 森美術館 理事長/森佳子氏
森美術館 理事長/森佳子氏
このアート・カー展について、写真家/篠山紀信氏撮影によるカタログが作られることが明かされた。「青木さんの世界を篠山さんが撮るというのは、とても楽しみなこと」
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」
パーティでは、生演奏も行われよい雰囲気に。

BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 建築家/青木淳氏
パーティ後半には、森稔氏(右)と青木氏(左)が登場し、トークショーを繰り広げた。「車、建築、なんでもアートになりうるが、すべてがアートではない。あとになって時代、歴史が変わるのが“アート”だと思う」と森稔氏。
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」 森ビル 代表取締役社長/森稔氏 建築家/青木淳氏
アート・カー展のタイトル“透明なスピード”について語る青木氏。「車が速度を持って走ると、空気が透明になる。透明だけど、スピードを感じて物質的でもある。会場はそんな、空気をピクセル化した状態を作った」
BMWアート・カーコレクション「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」

( レポート&PHOTO:CORISM編集部 )

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BMW Art Car Collection 30周年記念ワールドツアー、いよいよ日本上陸!「透明なスピード〜BMWアート・カー展〜」開催

【ニュース】 (2008.03.13)

ビー・エム・ダブリューは、2008年4月11日から森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ森タワー52階)にて「透明なスピード〜BMW アート・カー展〜」を開催する。 >> 記事全文を読む