【2008年新車購入勝手に指南】CORISM編集長 vs 国沢光宏 言いたい放題!! 「軽自動車編」

軽自動車編

——今回の対談はまだ新しいモデルを中心に「これからクルマを買うなら何がいいか?」というテーマです。それでは軽自動車からお願いします。
国沢:「軽自動車は去年の中盤くらいまで上のクラスから乗り換えるユーザーも多かったことあって、「作れば売れる」という状態でした。しかし今は一通り行き渡って、ユーザーも優劣を厳しく見るようになりつつあります。その中で迷ったら、新しいプラットホームを使っているダイハツの3台、ムーヴ、ミラ、タントから選んでおけば間違いないと思います。」
大岡:「ボクも同感です。」
国沢:「ダイハツ以外のメーカーの場合、スズキも含めて「軽自動車はラインナップの1つ」みたいな考えで作っているからモデルチェンジのサイクルも5年以上がほとんどで、クルマの基本となるプラットホームも8年は使うっていうケースが多い。対してダイハツはトヨタグループの一員という立場もあって、ほぼ「ウチは軽自動車専門メーカーとしてやっていく」という気持ちでやっているから、モデルチェンジは4年置き、プラットホームもモデルチェンジごとに一新しています。その上に最新技術をドンドン投入し、エンジンの設計も新しいから差が付くのも当然でしょう。」
大岡:「他は軽自動車の開発に使えるエネルギーが分散していますし、ダイハツだけ飛び抜けて気合いが入っているわけですね。」
国沢:「軽自動車は限られたサイズの中で得られる室内空間の広さが大切な要素だけど、ダイハツはニーズに対応するために広さに直結するホイールベースも一番長く取っていて、実際一番広い。これもプラットホームをドンドン替えている成果の一つ。」
大岡:「新プラットホームのデビュー作だったムーヴは、ダイハツの軽自動車に対する評価を上げた大きなターニングポイントでしたね。」
国沢:「加えて昔のダイハツはアルトに対するミラ、ワゴンRに対するムーヴのようにスズキに後追いばかり。でも今ではタントのような「元祖」と言えるモデルを出せる企画力まで持っています。」
ダイハツ ムーヴ
ダイハツ ムーヴ
ダイハツ ミラ
ダイハツ ミラ
ダイハツ タント
ダイハツ タント
——逆にというか、スズキがダイハツに劣る部分というのは具体的にどこなんでしょうか。
国沢:「簡単に言うと古いままなんですよ。プラットホームが新しくないからホイールベースも長く取れなくて広さでダイハツに勝てないし、エンジンやATも古いままだから燃費でも劣勢。さすがに「これではまずい」と、こないだ出たパレットはリア部分を一新したプラットホームを使っています。そういう意味では、これからのスズキの攻勢も十分に考えられるけどね。」
大岡:「結局はダイハツとスズキの軽自動車に対する考え方、熱意の差なんでしょうね。スズキは今、グローバルで小型車に最も力をいれているようですから。」
国沢光宏
——努力の甲斐あって販売台数でもダイハツはスズキを2年連続で上回りました。でも、その割りにはというか、両社のシェアは意外に差がないようにも感じるのですが?
国沢:「それは日本人の「使い慣れたものをなかなか変えない」っていう国民性のせいでしょう。例えば新しいガソリンスタンドが出来て、そのスタンドの方が安くてサービスもいいとしても多くの人は今まで使っていたスタンドをそのまま使いがちでしょ。でも、口コミなんかでダイハツの良さが広がってきているのか、差はジワジワと開きつつあります。」
大岡:「ダイハツ以外で何かいいクルマはありませんか?」
国沢:「燃費ではスバルの軽自動車が頑張ってるんだけど、如何せんスバル自体が売る気をなくしてしまっていますからね。やっぱり基本線はダイハツの3台かと。」
大岡:「話はガラリと変わるんですが、最近の軽自動車を見ると「一番安いグレードはABSがオプション」というケースをよく見ます。事故を起こさないために非常に有効なABSが、クルマに詳しくない人もたくさんユーザーにいる軽自動車で標準装備でないというのはいかがなものかと感じているのですが。」
国沢:「もちろん全車標準装備というのが理想だと思います。でも軽自動車って使われ方が様々で、例えば交通量が極端に少なくて、スピードも出さない離島なんかに行くと「ABSのおかげで助かった」という場面はまずないだろうな、という地域もあるわけで「ABSが絶対に必要」というユーザーばかりでもないでしょう。だから、ABSは全車標準装備を基本にしておいて、不要な方にはレスオプションでその分安くすればいいのではないでしょうか。」
大岡:「個人的にはABSを含めた基本的な安全装備はどのクルマでも平等に欲しいと思うので、ABSや後席のヘッドレストが全車標準装備にならないと無条件で軽自動車を推すことは出来ないかと。」
国沢:「でもクルマの安全性ってエアバッグやABSといった目に見える装備の有無も大事だけど、タイヤの性能や衝突時にちゃんと衝撃を吸収してくれるボディ構造なんかも重要な要素。だから、「ABS付きなら万全」って見るんじゃなくてトータルで考えないといけないと思う。今思い付いたんだけど、パレットはABSが全車標準でタントの一番安いグレードはオプションなんでしょ。だったら、値引き交渉のときに「タントはABS付いてないからサービスして」って言うのも手かもしれない。」
大岡:「値引きの材料として逆手に取る手はありますね。」
スズキ パレット
スズキ パレット
ダイハツ タント カスタム
ダイハツ タント カスタム
ダイハツ ミラ カスタム
ダイハツ ミラ カスタム
——それではオススメのモデルをお願いします。
国沢:「オススメはダイハツの3台。その中からライフスタイルに応じて選べばいいと思う。自分で買うならリアシートを使う機会が減っているからミラのアイドルストップ付き。これはすごく燃費いいし。」
大岡:「人に勧めるならタント、自分で買うならタントで。うん、話が脱線せずになんだか一番対談らしいなぁ。」