スバル インプレッサWRX STI
ベース車両の変更に合わせて
WRXも5ドアハッチバックで登場
レオーネ/レガシィ時代も含めて、セダンでWRCを戦い続けてきたスバル。それはインプレッサにスイッチしてからも変わることはなかったが、新型になってベース車の変更に従って、WRX STIもハッチバックになった。それだけに、かなりの部分に手が加わっており、まず土台となるシャーシはスバルの持てる技術を存分に投入したSIシャーシを採用。高剛性を確保しているだけでなく、併せてリヤサスペンションをダブルウイッシュボーンとすることで、さらなるしなやかな乗り味と粘りを手に入れた。 またWRX STIでは前後のオーバーハングが短くし、さらにホイールベース/トレッドともに拡大され、戦闘力を高めている。見た目についても大きく張り出したブリスターフェンダーやリヤから覗くデュアルマフラーなど、迫力はかなりのものだ。エンジンは2リッターのツインスクロールターボで、吸排気ポートを制御するデュアルAVCS付きとし、低速トルクについてもしっかりと確保。308馬力の最高出力を得て、戦闘力は大いに高まったが、乗り味自体は尖ったところはなく、扱いやすさも同時にアップしており、今までのインプレッサ像とは少々異なるのは事実。ユーザーによって好き嫌いが出る部分かもしれない。 扱いやすさという点ではさらに、レガシィ譲りのSI-DRIVEやマルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)なども装備することで、ハイレベルの走りを安心して楽しむことができるようになった。安全装備もVDCを標準装備しており、高いレベルにある。
[エコ&燃費] SIドライブを採用したこと自体、かなり燃費を意識してのこと。ただし、エンジン自体もハイスペックを感じさせない、全域での扱いやすさを重視しており、その気になれば高回転まで回してキビキビとした走りを楽しめるとはいえ、低回転でのクルージングも可能で、味付け的にも燃費に有利に働いている。
[取材時実測燃費] 7.2km/l
[インプレッサWRX STI価格帯] 344.4-365.4万円 |
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三菱 ランサーエボリューションX
懸案のエンジンも新型にスイッチ
ツインクラッチSSTにも注目
ベースがギャランになったものの、エボリューションモデルではランサーのままとなる。進化をし続けてきたランエボも今やX(10代目)となる。以前より、性能の伸び悩みなどによる戦闘力不足が指摘されてきたが、Xではすべてを新しくすることで、新境地を切り開いている。まずはエンジン。先代までは鋳鉄ブロックの4G63型を使用し続けてきたが、オールアルミ製の4B11型へと変更した。もちろんターボを装備してはいるのだが、バルブタイミング制御のMIVECを吸排気の両方に採用することで、低速から太いトルクを発揮する。2000回転を超えたところで、ほぼマックスの40.0kg-mを発揮するというから驚きだ。発進時のダッシュ力向上につながるだけでなく、燃費向上にも貢献する。そして登場時に大きな話題となったのが、ツインクラッチSST(スポーツ・シフト・トランスミッション)だ。これは世界的にも広まりつつあるタイプで、MTベースをベースしつつも、クラッチ制御は自動で行なうもの。内部のギアを奇数と偶数の2系列にして交互につないでいくことで、MTよりも確実にスピーディなシフト操作を実現している。気になるショックも皆無だ。4WDは今まで熟成を重ねてきたシステムを継承し、AYCやACDなどももちろん装備。センシングや制御をさらに複雑化することで、より「曲げる」能力を高めている。ボディ自体はひとまわりほど大きくなってしまっているものの、その大きさを感じさせないシャープな走りを楽しむことができるのは、今までのランエボと変わらないといっていいだろう。
[エコ&燃費] 太い低速トルクによるクルージングもお手の物。さらにツインクラッチSSTもベースはMTだけに、省燃費には有利だ。スペック的にも10km/lを実現しているのは、新時代のランエボとして存在意義を大いにアピールする。排ガス基準も平成17年基準排出ガス50%低減レベルを実現している。
[取材時実測燃費] 7.4km/l
[ランサーエボリューションX価格帯] 299.775-424.41万円 |