大きく変わったのは走りだ。初代タントはパッケージングは良かったが、走りはさほどでもなかった。背が高くてその分だけ重心高が高くて重いボディのクルマで、乗り心地を良くすることを重視したため、足回りは柔らかくてコーナーを曲がるときなど車体が大きく傾いた。簡単に横転するようなことはないにしても、グラッとくる感じはいかにも不快なものだった。
それが解消されたのが今回のモデル。しっかりした感じの足回りによって走らせたときの安定性が大きく向上した。コーナーでも不安感や不快感を感じることなく、安定してスムーズに走らせることができるようになった。これはとても大きな改良点だ。
エンジンはエッセから採用が始まったアルミブロックの新世代エンジンで、十分な動力性能を確保すると同時に、スーパーインテリジェント触媒の採用などによって排気ガス性能にも優れている。
自然吸気でも58ps(43kW)という動力性能を確保するため、軽自動車としてはちょっと重めとなるタントのボディでも、自然吸気エンジンで十分に走らせることが可能。CVTとの組み合わせによって20km/Lを超える燃費を確保しているのも注目される。
カスタム系に搭載されるターボ仕様のエンジンを搭載したモデルは十分な余裕がある。パワーは軽自動車の自主規制によって64ps(47kW)に抑えられているが、トルクが10.5kg-m(103N・m)と十分に出ているので、これが良く効いて元気な走りが可能だ。
トランスミッションは上級グレードを中心にCVTが組み合わされている。段差のない滑らかな変速を実現し、スムーズかつ気持ち良く走らせることができる。装備の違いも含めて4速AT車に比べると価格が高くなるが、買うならCVT車がお勧めだ。
●お勧めグレード
今回のタントは軽自動車として相当に良くできたクルマだと思う。高すぎる全高は無駄なものだと思うが、軽自動車ユーザーにはこの高さによる空間の広さを求める人が多いのだ。
子育てママを中心にした普通のユーザーなら、標準Xを選び、アジャスタブルパック、セーフティパック、サポートパックというセットオプションを装着すれば万全。価格的にはちょっと高くなるが、満足度の高い仕様として長く乗れる。
スポーティ志向のユーザーならカスタムのRSがアジャスタブルパックやセーフティパックをオプション装着しよう。
注意したいのは標準系とカスタム系それぞれの廉価グレードであるL。安全装備の基本であるABSが装備されていないのだ。オプション装着することは可能だが、SRSサイドエアバッグなどのセーフティパックはオプション装着することができない。Lを選んではいけない。このようなグレードの設定は早く止めて欲しい。