2001年に登場した初代モデルから、センタータンクレイアウトによる卓越した居住性を誇るフィットは、2007年10月に2代目へとフルモデルチェンジ。キャビンフォワードしたボディは、ミニバンのようにAピラーを前方に配置しキャビンの開放感を実現する。ホイールベースの延長と相まって室内の広さに磨きをかけている。今回は、最初から1.3リッターと1.5リッターの2種類のエンジンをラインアップ。1.5リッターは、初代シビック以来のスポーティグレードの証であるRS(ロードセーリングの略)の名が復活。ミッションはCVT(4WDは5速AT)だが、このRSのFFには5速MTの設定もある。
ライバルとなるのは、やはり先代モデル同様ヴィッツだ。しかし、新型フィットは、初代モデルからほぼ価格据え置きという大胆な設定。つまり、上級かとともに価格が上昇したヴィッツよりかなり割安感を出しているのだ。実際に、価格を比較してみるとフィットのLとヴィッツの1.3リッターエンジンを搭載するI'LLではフィットのほうが約13万円安い。これはフィットRSとヴィッツRSを比較してもほぼ同じような感じだ。後発の新型フィットは、まさにヴィッツを研究し尽くしてきたといってもいい。しかも、室内スペースでは圧倒的なアドバンテージをもつだけに、きっとファミリー層にはフィットが魅力的に映ることだろう。しかし、値引き額は、登場から2年を経過したヴィッツの方が拡大傾向にあるのは事実。ただコンパクトカーだけに13万円という値引きを引き出すには、それなりの努力は必要だ。今後のリセールバリューも含めると、フィットの割安感は間違いなくある。
グレードラインアップは、1.3リッターエンジン搭載モデルがGとLの2タイプで、1.5リッターはRSのみという3種類。それぞれにFFと4WDを設定し、ミッションはFFが全車CVTで4WDは5速AT。ただし、RSのFFには5速MTもある。さて、このなかからのベストチョイスは、フィットらしさと価格のバランスを考慮して中間グレードのLとしたい。車両本体価格約120万円のGでも必要にして十分な装備をもつが、Lはセキュリティ、オートエアコン、ドアミラーウインカー、プライバシーガラスといった装備が追加される。これだけでもGとLの価格差約15万円を埋めるには十分。しかも最適なドライビングポジションを実現する、テレスコピック機能付きステアリング、運転席ハイトアジャスター付きといった点も見逃せない。体格の異なる人が共同で使うときには、とくにそのありがたさを感じることだろう。RSを選ぶのであれば、価格差は21万円と大きいが、5速MTを勧める。というのは、標準で16インチアルミホイールとHIDが装着され、しかもVSA(車両挙動安定装置)までも付いてくる。ちなみにRSなら、中途半端なスポーティモデルよりもより楽しい走りを満喫できるはず。ホットハッチとして注目したいクルマだ。