東の富士!西の鈴鹿!
9月25日東京都港区の「グランドハイアット東京」にて、30日に富士スピードウェイで開催されるF1第15戦日本GPに向けたホンダレーシングチームとスーパーアグリF1チームによる記者会見が行われた。
会場には、ホンダレーシングチームドライバー ジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロ両選手、スーパーアグリF1チームドライバー 佐藤 琢磨、アンソニー・デビッドソン両選手のほか、ホンダレーシングチームCEO ニック・フライ氏、スーパーアグリF1チーム代表 鈴木亜久里氏、ホンダ広報・モータスポーツ担当執行役員 大島 裕志氏、HRD(ホンダ・レーシング・ディベロップメント)社長 和田康裕氏、シニアテクニカルディレクター 中本修平氏が出席し、今週末の戦いへの抱負などを語った。
今回の日本GPは、昨年まで行われていたホンダのホームコースである鈴鹿サーキットに代わり約30年振りに富士スピードウェイでの開催となる。しかし、すでに2009年から鈴鹿サーキットと交互開催されることが発表されている。これにより、各地から幅広いファンがサーキットに集い、F1人気が上がることへの期待も高まっている。
ホンダ「RA107」
中本氏は日本GPで戦う「RA107」について説明し、軽量化、重心高、構造上の効率、メカニカルパッケージと部品配置、低速でのメカニカルグリップを長所とし、空力の効率と安全性不足、車体表面での細かな部分の品質などを課題点とした。
またフライ氏は「最大の弱点はエアロ」といい、経験豊富なベテランや熱意のある人材を迎え入れエアロチームの組織を拡大したと話した。
ホンダレーシングチームドライバー、心境と抱負を語る
バトン選手は現在の心境を「日本に来られ日本GPを戦えることは嬉しい。厳しい週末になるが、ベストを尽くすまで。今シーズンは厳しかったが、来シーズンに向けてチームも良い状態にある」と話した。また、新しい富士スピードウェイについては「ビデオを見て対策を立てるつもり。ファーストコーナーはわりとイージーで、長いストレートは車のセッティングが難しいと思う。富士に着いたら歩いて細かい所を観察してみたい。新しいサーキットは楽しみだ」と語った。
一方、バリチェロ選手は「今年度はなんとかポイントを上げていこうとしてきた。富士には情熱をもって挑みたい。残りのブラジルGPも含め楽しみにしている。まだポジティブなエネルギーは残っているので、来シーズンに繋いでいきたい」と意気込み、富士に対しては「車を熟知することが対策。スロースピードになる箇所があるが、ここはかなり遅くなると思う。木曜、金曜でコースをじっくり見ていきたい」と話した。
スーパーアグリF1チーム、2年目に向けた挑戦
ホンダからエンジン供給のサポートを受けているスーパーアグリF1チームは、まず鈴木氏が「早いものであっという間に2年目の日本GP。去年は短い時間でチームを作りドタバタだったが、今年は少し整って戻ってくることができた。2007年は1年を振り返る間もなく1レース1レースこなしてきた。スペインGPでは初めてのポイント、カナダGPでは6位という結果を残し、もっと行けるという期待が大きくなる中ギリギリで頑張っている。日本GPでは最大のパフォーマンスを発揮したいと戻ってきた。新しい富士で不安もあるが期待もある。特別な日本GPで少しでも期待に応えたい」と語った。
それを受けて、佐藤選手は「1年目の僕たちは、チームを作りあげてレースにもっていくまでが大きな目標だった。チームを作りあげやっと日本GPに向かった記憶がある。昨年はブラジルで劇的なレースをやり遂げて、2007年は不安と期待があったが、メルボルンではいいスタートが切れた。ヨーロッパラウンドは厳しいレースだったが、日本GPでは持ってる力をしっかり発揮したい」と話した。
初めての富士に意気込む
また佐藤選手は、富士に対しての思いを「新しい日本GPが始まることを楽しみにしている。行かないとわからないので、早く歩いてみたい。たくさんのお客さんが入るとまた景色も変わると思う。ホームGPという感覚で走れることを願っている」と語った。
一方、デビッドソン選手も昨シーズンを振り返り「期待以上のシーズンだった。ポイントもとり、当初は夢にも思わなかった結果を残せた。今シーズンは、前回のベルギーGPでは残念だったが、あきらめずに立ち直る。そして来シーズンに向けて頑張り、小さいチームでもできることを証明したい」と話し、富士への対策については「方法はビデオを見てコンピュータゲームを使って練習すると思う。あとはメンタルイメージ。最初のラップでつかめると思うが、ほかより時間がかかると思うが富士は安全なコースだと思う」と語った。
天候によっては“サプライズ”な展開に!?
当日の天候も気になる要素のひとつだが、雨天がもたらす影響について中本氏は「それほど単純ではない」としながらもドライな路面よりもトップチームとの差が縮まる可能性を示唆した。
鈴木氏も「良い天気の中でレースがしたいという気持ちはある。お客さんに晴れた天気の中で見てもらっていいレースを見せるというのが一番だと思う。でも、サプライズのあるレースじゃないと、よりポイントに近いところで走るのは我々のような小さなチームにとっては容易じゃない。ここにいる佐藤、デビッドソンが雨の中生き残ってスルスルと行ってもらいたいということもあり2面性がある」と笑顔で答えた。