パワーと扱いやすさがアップした新エンジン
2リッターDOHCi-VTECエンジン(K20A)型は先代モデルから大きな変更はないが、吸気効率と圧縮比を向上して最高出力225ps/8000rpm、最大トルク21.9kgm/6100rpmを実現している。パワーこそ5ps程度の向上に過ぎないが、最大トルク発生回転数が500rpm以上も下がったのには非常に興味が湧いてきた。トランスミッションも6速MTをクロスレシオにして高速走行での速さや軽快な伸びを実現した。
そして今回のシビック タイプRで特に注目したいのが軽量、高剛性ボディ&シャーシだ。これはベース車のもつ高いボディ剛性をさらに大幅アップを図り、従来のインテグラ タイプRに比べ、なんと50%の剛性アップを実現しているという。これはレースカー並みの剛性感の高さで市販車では考えられない数値だが、はたしてどんなフィーリングなのか? その辺りは実際に走行して確かめたいと思う。それに合わせサスペンションやスタビライザーも強化され、バランスの適正化を図っているのだ。
早速ワインディングで走りをチェックしてみる。まず気になる加速感だが、やはり気持ちいい。VTECサウンドを奏でながらのスムースで力強い加速感は健在で「やっぱりタイプRはこれだな」と久々に感じる。パワーアップはわずか5psだが先代に比べると明らかに加速感は強烈。やはりギア比の変更と低速トルクが豊かになったエンジンのおかげといえるだろう。もちろん高回転でも力強さは失われず、実に気持ちがいい加速感だ!
回頭性と安定感を両立させた絶妙なサスセッティング
そして楽しみにしていたコーナーリング性能だが、軽いカルチャーショックを受ける位ボティ剛性が高いのがすぐに分かった。まずコーナー進入でのステアリング反応の良さは抜群で、決してピーキーではないのに素直にノーズが入っていく感じでその反応が良いのだ。それに対しリアの接地性が大幅にアップしているので、これ程フロントが入るのにオーバーステアになる事はない。シッカリと4輪が接地しているのでドライビングに安心感が生まれてくる。ボディのヨレなどは感じられず、まさにレーシングカーのような反応の良さだ。18インチの扁平タイヤという事も手伝ってサスセッティングは想像よりも硬めで、このままでもサーキットで走れる程だ。それだけに路面の悪いところでは硬く感じるだろうが、このぐらいスポーツ系に振ったセッティングは個人的にはかなり嬉しい事でもある。
ブレーキはもちろんしっかりと制動してくれるがコントロール性も高く、サーキット走行はもちろんスポーツドライビングでも大きな武器になるだろう。このように新型シビック タイプRはホンダの持つレーシングスピリットをそのままに作られたようなクルマで、まるで「街乗りができるサーキットマシン」と言ったところだ。