重い車重をものともしない余裕のエンジンパワー
SRXの搭載エンジンは従来と変わらずV型8気筒4.6リッターのノーススターエンジンと、V型6気筒3.6リッターエンジンの2機種。このうち4.6リッターエンジンのATが5速から6速に変更された。
ATの6速化の効果は明確で、ショックの少ない滑らかな変速を実現している。6速ATはすでにSTSなどに採用されているもので、変速フィールの良さはすでに定評のあるところ。5速と6速にオーバードライブギアレシオが採用されていて、時速100kmでのクルージングはわずか1800rpmほど。静かで燃費にも好影響を与える走りとなる。
4.6リッターエンジンの動力性能は324ps/42.8kgmと余裕十分の実力。SUVボディのためSRXの車両重量は2tを超えるが、重量をものともしない走りを見せてる。エンジンはレッドゾーンの始まる6500rpmまできっちり回るが、高回転まで回すと振動や騒音も大きくなる。排気量の余裕を生かして静かで滑らかな走りを楽しむのが良いだろう。
電子制御ダンパー採用で走りと快適性を両立
3.6リッターエンジンは258PS/35.0kgmとパワー&トルクの数字にはかなりの差があるが、しかもATも6速ではなく5速になるのだが、実際に走らせた印象にはそれほど大きな違いはない。むしろ3.6リッターでも十分という印象を与えるほどだ。高速クルージング時の回転数は4.6リッターに比べ200rpmほど高くなるが、巡航中なら振動や騒音も気にならない。
4.6リッターエンジンの搭載車にはマグネティックライドと呼ぶ電子制御サスペンションが用意される。磁性流体を使ったダンパーをきめ細かく制御するもので、乗り心地の良さと安定性の高さを高いレベルで両立させる。この機構はアウディTTなどにも採用されて高い評価を受けているものだ。SRXのような全高の高いモデルでは特に効果的いえる。
●お勧めグレード
3.6リッター車が650万円弱、4.6リッター車には760万円弱の価格が設定されている。さらに35万円から85万円のセットオプションが用意されているので、実際に購入するときにはさらに多くの予算が必要となる。キャデラックブランドのラグジュアリーSUVとはいえ、そう簡単に買えるクルマでないのは確か。
そんな中でお勧めグレードを上げるなら、やはり4.6リッター車のほうだ。100万円以上の価格差があるとはいえ、この価格帯にまできたら積極的に上級グレードを選びたい。エンジンだけでなく装備や仕様の差もいろいろあるので、4.6リッターのほうが魅力的だ。さらにウルトラビューサンルーフや20インチアルミホイールなどをセットにした75万円のスポーツパッケージも装着し、大型アメリカンSUVの豪快な走りを楽しみたい。