十分なボディ剛性、十分以上なパワー
ルーフを開けて走ってもボディ剛性が高いのでまったく不安感なく走ることができる。Aピラーやルームミラーが震えることもなく、オープンカーのデメリットを意識させない。
これはボディ補強がこれまで以上に進んだためだ。ルーフがない分ボディ剛性を高めるためにフロア下の補強はこれまでにないレベルになっている。まずドアの下に位置するサイドシルは肉厚を増し、断面形状も縦長に変更して断面積を増やしている。リヤバンパー裏から左右のサイドシルに向かって補強用の鉄の板がV字型に伸びている。リヤサブフレームのサスペンション取り付け部とボディをつなぐ補強も施してある。フロントはラジエター背面に左右のフェンダー上部とラジエター下部付近を結ぶようにV字型の補強材が入れられている。
これらによってクーペに比べて205kgも重くなっているのだが、335iの場合にはその重量を感じさせることなく気持ちよい走りが可能だ。ステップトロニックATを駆使して2速でワインディングロードを走ったら急なアクセル踏み込みによりパワースライドを起こしそうになりDSCが作動するくらいだ。だから一般道を走るには充分以上で、ちょっと飛ばすくらいならまったくパワー不足、トルク不足を感じない。
クーペに劣らない優れたハンドリング
ハンドリングもいい。これはノーマルサスペンションにもかかわらず軽快なのだ。その秘密は重心高にあった。クーペより15mmも重心点が下がっているという。フロア下の補強が効いているのだと思うが、スイスイ走る感触はなかなか良い。
もちろんBMWらしく前後50:50の重量配分も怠りない。
乗り心地が良くエレガントに走ることができるカブリオレであるが、意外にもクーペに負けずにスポーティな走りが愉しめるクルマだった。
シートにはサンリフレクションレザーという太陽によって暑くなりにくい本皮を使用しているから、夏の熱い陽射しでもオープンで使えそうだ。
335iカブリオレの車両価格785万円は、意外と安いと感じた。