スズキ　SX4〜話題のクルマを賢く買う方法〜

スズキ SX4

意欲的なコンパクトカーの《スイフト》を投入したスズキから、さらに新しい《SX4》が加わった。
クロスオーバー感覚の4WDを中心にしたモデルで、
最低地上高を175mmと少し高めに設定したボディには、SUVの雰囲気が漂う。
コンパクトカーといえば女性をターゲットに据えたクルマが多いが、SX4なら男性でも気後れせずに乗れそうだ。
内外装も丁寧に造り込まれており、アクティブで、しかも大人っぽいクルマとなっている。

◆本文：渡辺陽一郎

◆データ協力：ガリバー自動車流通研究所

◆総合ディレクション：佐藤誠（from ガリバー自動車流通研究所）

知の巻：SX4が人気の理由

スズキが生んだ“海外戦略車”は男性にも乗りやすい個性を携える。
ただし車重が意外にあるので、購入前には必ず試乗して動力性能の確認を!!

27%〜48%

　《SX4》の3年後のリセールバリュー（予想残価率）は、新車価格の27〜48％と予測される。率直に言って、新型車としては査定額の高いクルマではない。
　その一番の理由は、先の項目でも触れた価格設定だ。売れ筋になる1500ccモデルは、「1.5XG」「1.5G」共に2WDモデルが165万円弱に達する。広くて上質な室内空間を備えた《ティーダ》の「15M」などを上回り、ハッチバックスタイルのコンパクトカーとしては高めの設定だ。「2.0S」は182.7万円だから、《ストリーム》の「1800X」といったロールーフタイプのミニバンと肩を並べてしまう。
　ボディーサイズは《スイフト》よりもひと回り大きく、並列で捉えるべきクルマではないが、ユーザーの受けるイメージはそれに近い。そうなるとスイフトの「1.3XG」が117.6万円、SX4の1500ccモデルが165万円弱というのは、いかにも高く感じられてしまう。この価格設定は新車を販売する上で不利になると同時に、下取り査定の面でも、その比率を下げることに作用しているのだ。
　この種のクルマでは、売却時に買い取り店を積極的に有効活用し、少しでも売却条件（買い取り金額）を高めるように工夫することが求められる。

　《SX4》はスイフトと同様に“海外戦略車”に位置付けられる。日本の他に欧州と北米で販売されるから、「全世界に向けたクルマ」と言えるだろう。
　エンジンは「1500cc」と「2000cc」を設定。グレード構成はベーシックな「1.5E」、ルーフレールなどを装着した主力の「1.5XG」、エアロパーツをセットしたスポーティー感覚の「1.5G」、さらに同じくスポーティーな外観で2000ccエンジンを積んだ「2.0S」がある。そして06年10月には「1.5XG」の2000cc版となる「2.0XS」を導入する予定だ。
　インテリアは質の高い造りで、グローバルな車種であることを実感させる。居住性は着座ポイントを高めに設定してスペース効率を向上させ、前後のシートともに快適。コンパクトカーでありながら、ファミリーカーとしても十分に使えるだけの機能が備わる。
　注意したいのは動力性能。全世界で売るために各国の安全基準に適合させる必要もあり、コンパクトカーでありながらボディーが重い。「1.5XG」の場合、同じエンジンを積んだスイフトの「1.5XS」に対して2WDモデルでも車両重量が160kg増している。価格の割安感を踏まえると「1.5XG」がベストだが、長距離ドライブに出かける機会が多いユーザーは2000ccモデルも検討するべき。1500ccを買う場合も、必ず試乗して動力性能を確認しておきたい。
　価格はコンパクトカーとしては高めの設定だが、動力性能を除けば特に不満はなく、男性にも乗りやすい個性的が備わる。大量に売れるタイプのクルマではないが、コンパクトカー市場の幅を広げることは間違いない。

SPECIFICATIONS

[代表グレード： 2.0S]
■ 全長×全幅×全高： 4135×1730×1570(mm)
■ エンジン型式：J20A型
■ 排気量：1995(cc)
■ 最大出力：145(ps)
■ 最大トルク：19.7(kg-m)
■ 燃費：12.8(km/l)
■ 定員：5(人)

比の巻：ライバルとの比較

趣味性の強いユーザーの要望に応えた、将来性の高い《インプレッサワゴン》
日本市場を十分に理解して造られた《プジョー307》は仏車の中でもお買い得

VS スバル　　　　　　　　　　　　　　　　　インプレッサスポーツワゴン

54%〜61%

　《SX4》のライバル車として、まずは《インプレッサスポーツワゴン》を挙げたい。コンパクトワゴンでありながら、水平対向エンジンの搭載などによって走行性能が熟成されており、スポーティーなイメージを併せ持っている。
　販売の主力は買い得な1500ccモデルだが、2000ccのツインカムターボに4WDを組み合わせた「WRX」もイメージリーダーとして設定。趣味性の強いクルマを求めるユーザーにも応えている。
　そのような持ち味もプラスに作用し、3年後のリセールバリュー（予想残価率）は新車価格の54〜61％という予測。現行型の登場は2000年と現時点でも既に6年を経ているから、登場年次を踏まえるとかなり査定額の高いクルマと言える。
　今やインプレッサもレガシィと同じくワゴンの筆頭ブランドになっていて、時間を経過しても人気が下がりにくい。それが査定額を押し上げている大きな要因だ。

VS プジョー　　　　　　　　　　　　　　　　307

42%〜48%

　《SX4》は欧州市場をターゲットに開発されたSUV感覚のコンパクトカー。そこで本場の欧州車である《プジョー 307》も引き合いに出してみよう。307には「SW」と呼ばれる3列のシートを備えた“ミニバン風のステーションワゴン”も設定され、アクティブな雰囲気が備わっている。
　3年後のリセールバリュー（予想残価率）は新車価格の42〜48％と、欧州車の中にあっては極めて平均的なレベル。日本市場においては“不人気”の部類に入るフランス車にあってリセールバリューが意外に健闘している理由は、「SW」の“3列シート”という付加価値がプラスに作用しているからである。また日本ではミニバンの販売が好調なので、《307 SW》はプジョーのラインアップの中でも人気のバリエーションになっている。
　こういった日本市場に対する《307 SW》の適合性はプジョーも十分に理解しており、価格を割安に抑え込み、輸入車、特にフランス車の中では超お買い得なモデルになっている。

選の巻：オススメ乗り換えプラン

大きな荷物もラクラク収納可能。ハッチバック車としての実用面は高い！！
さらに、2007年8月以降に参戦のWRCでの成功がリセールバリューの鍵を握る！

オススメグレード
1.5XG（\1,648,500）		★★★
オススメオプション
HDDナビ装着車（￥210,000)		★★★★★
オススメボディカラー
パールホワイトブルーイッシュブラックパール		★★★★
合計	オススメオプションを装着した場合のリセールバリュー
\1,858,500	30%〜50%

ガリバー自動車流通研究所
鈴木詳一所長

　スズキの世界戦略車的な位置付けとなるWRC参戦モデルの《SX4》ですが、リセールバリューではライバルの《インプレッサ WRX》には完敗状態。2007年8月以降に参戦するWRCでの成功がリセールバリューの鍵を握るでしょう。
　とはいえ、1.5リッター〜2.0リッターのハッチバック車としての実用面は高く、リヤシートを畳むと広大なラゲッジルームに変身!!　大きな荷物もラクラク収納可能です。また、オススメの「1.5XG」ならメーカーオプションでHDDナビを21万円で選択でき、25万円以上するディーラーオプションを装着するよりオトクです。
　10月登場の「2.0XS」が早く出てほしいところですが、現在のベストはアウトドアテイストの「1.5XG」がオススメですね。

極の巻：中古車購入には…

《SX4》のライバル車は中古で大人気!!　リセールバリューもトップクラスです。

■ 走りを極めた《スバル　インプレッサスポーツワゴンWRX》がオススメ！

スバルインプレッサスポーツワゴン WRX 2002年式

中古車相場：

68万0000円〜 169万1000円

(2006/09現在)

　ライバルとなる《スバル　インプレッサスポーツワゴンWRX》ですが、新車の価格は250万円以上と高価。しかし、中古車なら150万円前後にも豊富な在庫があり、《SX4》の予算で十分インプレッサスポーツワゴンのトップモデルが購入可能です。《WRX》は2.0リッター水平対抗4気筒ターボエンジンに4WDの組み合わせで、様々な状況下で魅力的なパンチある走りが楽しめます。もちろんワゴンのため、リアシートの格納でフラットなラゲッジルームに大きな荷物も収納可能となっています。
　また、セダン同様《WRX》の人気は高く、リセールバリューもトップクラスです。リセールバリューの高い車は、数年後でも価値が高いため、安心した乗り換えができるといえます。走り・使い勝手・リセールバリューと3拍子そろったインプレッサスポーツワゴンをオススメします。