各部の改良でさらにパワフルになった走り
エンジンを横置きに搭載するFFミニバンをベースに、前輪だけでなく後輪も電気モーターで駆動する電気式4WDすとるなどの基本構造は従来と同じだが、フロント側にはリダクションギアを設け、コントロールユニットには可変電圧機構を備えたことなどが新しい。バッテリーの搭載位置が変わった点はすでに述べた通りだ。
エンジンは基本性能が見直され、エンジン単体でも110kWのパワーを発生するようになった。これに前輪側105kW、後輪側50kWの電気モーターが加わるが、システムとして発生することが可能な出力は140kW。それでも大幅な性能アップであり、2t級のボディを持つ重量ミニバンでありながら、極めて俊敏な加速性能を発揮する。これだけの重さのクルマをこんなに速く走らせて良いのかと思わされるくらいの性能だ。
"超一級" の環境性能はハイブリッドならでは
アクセルを踏み込んだ状態では瞬間燃費計も5km/L以下を示しているが、高速道路でクルージングに入ると路面の傾斜などにもよるが、15km/L前後の燃費を示している。市街地などでは電気モーターだけで走るEVモードも使えるため、実用燃費は13km/L〜15km/Lくらいになるだろう。カタログデータの10・15モード燃費は20km/Lという凄い数値だから、燃費の良さも画期的だ。
このほか、CVTによる走りの滑らかさやEVモードも含めた静かさなどは、ベースとなったエスティマを大きく超える水準。本当に良いミニバンに仕上がったと思う。
●お勧めグレード
エスティマのネックは何といっても価格。Xで360万円台、Gでは440万円前後となる価格はいかにも高すぎる。Xでは70万円近い価格のカーナビなど100万円近いオプションを装着しなければならないし、Gでも100万円を超えるオプションが用意されている。諸費用を含めたら500万円超、600万円超というのがエスティマハイブリッドを買うために必要な予算で、さすがに簡単には買えない。
なので、買うならベースグレードのXでいい。アルカンターラのシートなどは特に必要ではないから、Xをベースに必要なオプションに絞って購入を考えたい。ただ70万円近いカーナビは安全面からも必要なもの。車両価格が軽く400万円を超えるのは覚悟しておこう。