完成度の高いHVシステムは相変わらず魅力的
今回のマイナーチェンジではハイブリッドシステムそのものは変更を受けていない。従来と同様に、優れた燃費性能と走りの良さとを両立させている。燃費だけを追求した初代モデルとは違い、2代目プリウスのハイブリッドシナジードライブでは走りを良くすると燃費も良くなるという二律背反を見事に両立させている。
アクセルワークに対するリニアリティの面では、普通のガソリンエンジンとはやや違ったレスポンスを感じるが、アクセルを踏めばしっかり加速するし、素直な操舵フィールを示す電動パワステの手応えや、回生ブレーキを採用する割には違和感の少ないブレーキフィールなど、基本的な走りのフィールはどれをとっても満足の行くものだ。
きめ細かい変更で、さらに洗練された走りを
そんな中で走りが全体にリファインされ、静かでしっかりした感じの走りが実現されるようになった。静粛性の向上は高遮音ガラスの採用やボディ各部の適切な強化によって実現したもので、ごくわずかな重量増によって実現できたため、燃費にも悪影響を与えることなく静粛性を向上させている。
また足回りの最適チューニングによって操縦安定性や乗り心地も向上したというが、これは新旧モデルを同時に乗り比べないと分からないようなレベルの違い。実際に走らせてみて何の不満も感じなかったが、具体的に良くなったという強い印象を与えるほどではなかった。
●お勧めグレード
今回のマイナーチェンジではSにスタンダードパッケージを、Gにツーリングセレクション・レザーパッケージを設定するなど、バリエーションを拡充してユーザーの選択肢が広がった。同時に価格的にもやや高くなり、最上級グレードとなるGツーリングセレクション・レザーパッケージでは本革シートやカーナビが標準なるためもあって、実に325.5万円の価格が設定されている。ベースのSスタンダードパッケージは226.8万円だから、ほぼ100万円の幅広い価格帯となる。
リッター当たり35.5km/Lの最高燃費を実現するのはSで、Gだと燃費が33.0km/Lになり、さらにGツーリングセレクション・レザーパッケージでは燃費が30.0km/Lにまで落ちる。もちろんこれでも十分に超低燃費といえる水準で、プリウスでなければ得られない数字だが、燃費が良くなければプリウスの意味はないと思う。なので、少々装備に不満はあってもSがイチ推しのグレードだ。カーナビをオプション装着すれば、インテリジェントパーキングアシストも付いてくる。