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ROUND1 HONDA ODESSEY Absoluteのファーストインプレッション
ROUND2 MAZDA MVP 23Tのファーストインプレッション
ROUND3 総評

ライター紹介

自動車ライター&エディター

近藤 暁史 氏

某自動車雑誌の編集者から独立。その前はファッションエディター(笑)。とにかくなんでも小さいものが好きで、元鉄チャンで、今ではナローゲージを大人買い中。メインのクルマは19歳の時に買ったFIAT500。エンジンのOHからすべて自分でやり、今やもうやるところがない状態でかわいがっております。表向きは自動車ライターながら、業界唯一の省燃費グッズの評論家というのがもうひとつの顔。

相変わらず、ミニバン人気は高いのだが、さらなる細分化が進んでいるのが最近の傾向だ。
なかには走りを重視したミニバンも存在し、実力はかなり高いレベル。スポーツカーライクなテイストが自慢だったりもする。

そこで今回は、走りを重視したミニバンを対決させることに。
マイナーチェンジで大きく進化したオデッセイとターボをラインナップするMPV。
ホンダとマツダという、走りのDNAを持ったメーカーが満を持して投入してきただけに、果たしてその結果、どうなる!?

PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史

ROUND1 HONDA ODESSEY Absoluteのファーストインプレッション

ホンダイズム全開!200馬力を発揮

乗用車をベースとしたミニバンの先駆けとして大ヒットを飛ばした初代オデッセイ。
その伝統は現行モデルにもしっかりと受け継がれている。

3代目となる現行型がこだわったのは低床・低重心。
フィット譲りのセンタータンクレイアウトなどを採用することで、タワーパーキングにも入る1550ミリというミニバンとは思えない低い車高を実現している。
しかし、フロア自体も低いので、結果としてパッケージングを損なうことはない。

さらに低床化が生み出す低重心は、走りに大いに貢献。先代から登場した走りのグレード「アブソルート」は現行型にもラインナップされ、2.4リッターのNAながら、なんと200馬力を達成。最大出力は6800回転で高回転で発生する。
硬めのサスペンションも相まって、走りにこだわるホンダの面目躍如といったところだ。
ただし足まわりのセッティングについては、不評も出ていたのは事実で、2006年4月に行なわれたマイナーチェンジでは内外装の仕様やデザイン変更とともに、ソフトな味付けとなった。

エンジン

ミニバンの常識を超えた200馬力を発生。気持ちのいい吹け上がりが身上だ。ちなみにその他のグレードは同排気量で160馬力止まりである。

ホイール

走りのモデルだけに、45偏平の18インチを履くのだが、意外にゴツゴツとした感じはせず、シャープなハンドリングをうまくアシストしている。

インテリア

登場時に大いに話題になったのが、未来感溢れるインパネまわり。ステアリングの操作も重めで、走り自体の剛性感アップに貢献している。

シートアレンジ

シートアレンジは必要にして最低限といったところで、派手なアクションはなし。低床といってもさすがに広々ではない。

ラゲッジ

3列目がフロアに収まってしまうというのはオデッセイの伝統。荷物を積むときになにかと便利だ。

シート

しっかり座ることができ、やはり外から見るよりも車内は各段に広い。とくに3列目は不満なく座れるほどのスペースが確保されている。

オデッセイ・アブソルート(FF)
ボディサイズ (全長x全幅x全高) 4770x1800x1550mm
車両重量 1550kg
エンジンタイプ 直4DOHC
総排気量 2354cc
最高出力 200ps(147kW)/6800rpm
最大トルク 23.7kg-m(232N・m) /4500rpm
ミッション 5速AT
10・15モード燃費 11.0km/l
サスペンション (前/後) ダブルウイッシュボーン
ブレーキ (前/後) ベンチレーテッドディスク /ディスク
税込価格 278.25万円

ROUND2 MAZDA MVP 23Tのファーストインプレッション

今の時代にターボを出す快挙に拍手

初代は1990年(オデッセイは94年)に登場しただけに、こちらも日本のミニバンのなかでは先駆者的存在だ。
ただしFRを採用するなど、アメリカンテイスト(88年から輸出されていた)が強調されており、キャラクター自体はオデッセイとは異なっていた。
その後モデルチェンジを重ねるにしたがって、使い勝手のいいMクラスミニバンへと進化。今やマツダを代表するまでになった。

現行型は06年2月に登場したばかりで、室内は広大で各部の質感も上々。
さらにマツダのZoom ZoomのDNAを存分に注入したのもウリとなっている。
なかでも最大の目玉といっていいのが、今回テストに連れ出したターボモデルの23Tだ。
これはすでにアテンザに搭載されているユニットで、MPVに搭載するに当たっては独自のチューニングを施している。
その結果、尖った過激な味付けというよりも、天井知らずに滑らかに吹け上がるマイルドなフィーリングで、まるで3.5リッターぐらいのV6のようなトルクフルな味わいが楽しめる。

エンジン

ターボといっても過激な味付けではなく、トルクフルで滑らかな吹け上がりに重点が置かれている。燃費についても好数値を実現している点に注目だ。

ホイール

オデッセイと同じ18インチながら55偏平ということもあり、ホイールが変に主張していない。ドライブしてもアタリがじつに柔らかいことがわかる。

インテリア

メーターはオデッセイのような奥行きのあるタイプを採用しているが、全体の雰囲気はじつにオーソドックス。安心感は高いがスポーティではない。

シートアレンジ

走りのグレードといっても、そもそも実用性の高いミニバンだけにシートアレンジは豊富。フラットにしてゆったりとくつろぐことができる。

ラゲッジ

オデッセイと同じように、サードシートは簡単に畳むことができ、フラットなフロアが出現する。段差がなく、荷物の積み下ろしも楽にできる。

シート

カラクリシートに加えて、オットマンまで備わったマツダ自慢のスーパーリラックスシートもオプションで用意されている。シート自体の造りもいい。

MPV 23T(FF)
ボディサイズ (全長x全幅x全高) 870x1850x1685mm
車両重量 1800kg
エンジンタイプ 直4DOHC
総排気量 2260cc
最高出力 245ps(180kW)/5000rpm
最大トルク 35.7kg-m(350N・m) /2500rpm
ミッション 6速AT
10・15モード燃費 10.2km/l
サスペンション (前/後) ストラット /マルチリンク
ブレーキ (前/後) ベンチレーテッドディスク
税込価格 280.0万円

ROUND3 総評

スリーサイズなど車格はほぼ同じなのだが、並べて見てみると、低床化・低重心のオデッセイのほうが小さく見える。MPVは鈍重に思えるが、評価はどうなるのか楽しみだ

新型が投入されたばかりのエスティマも含めて、ライバルひしめくMクラスミニバン。ハッキリとしたアピールポイントを持たないと、ヒットは望めないのは事実だ。ターボとNA。大きく異なる車高など、クラスは同じでもそのキャラクターはまったく異なる。