スウェーデン ザ・対決 日本 VOLVO S60R VS ホンダ レジェンド

ドイツ車と日本車の対決を行なってきた本企画だが、さらにヨーロッパ全体にターゲットを求め、選び出してきたのがスウェーデンのボルボS60R。迎え撃つのはホンダのレジェンドだ。肝心のテーマは4WDなのだが、どちらも一般的なタイプではなく、S60Rはハルデックス社製の電子制御ユニットであり、一方のレジェンドは電磁クラッチを使用し、4輪のトルク配分を独立して自在に行なうSH-AWDを搭載する。どちらも走り自慢だけに、その評価、気になる!

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PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
モデル/ 福田淳子
ROUND1 ファーストインプレッション

独自の世界が生み出すスポーツセダン

流れとしては850、そしてS70の系譜であり、ボルボのメイングレードといっていいのだが、プラットフォームについては先発のS80/V70と同じものが使用されている。コンセプトは「4ドア・スポーツクーペ」。それだけに流麗なフォルムを持ち、サイズ的にはEセグメントに属するが、BMWの3シリーズやメルセデスのCクラスよりもひと回りほど大きい。
注目すべきは、今回のテーマである4WDシステムも含めた走り。エンジンはボルボ伝統の5気筒ユニットで、テスト車のRには2.5リッターターボが搭載され、パワーはなんと300馬力を発生。まさにスポーツカー並みのハイパワーを誇っている。
そして4WDシステムだが、ハルデックス社製の最新電子制御システムを採用し、流体を利用した湿式マルチプレートクラッチによって前後のトルクを配分し、俊敏なレスポンスと確実な効きを実現。さらに後輪重視のセッティングとすることで、ドライ路面での走りをも意識した味付けだ。高いレベルで快適性と走りを両立しているといっていい。

S60R
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
4635x1815x1430mm
車両重量
1650kg
エンジンタイプ
直5DOHCインタークーラー
付きターボ
総排気量
2521cc
最高出力
300ps(220kW)/5500rpm
最大トルク
40.8kg-m(400N・m)
/1950〜5250rpm
ミッション
電子制御式6速AT
10・15モード燃費
8.6km/l
サスペンション
(前/後)
ストラット
/マルチリンク
ブレーキ
(前/後)
ディスク
/ディスク
税込価格
677.0万円

ホンダ独自の4WDシステムとは?

ホンダのフラッグシップであるレジェンド。国内においては縮小傾向にあるセダンについても、インスパイアなどにおいて意欲的に先進技術を投入している。レジェンドについては、現行型では伝統的に搭載されていた5気筒から3.5リッターのV6へとスイッチ。給排気系のチューニングなどにより、奇しくもS60Rと同じ300馬力を発生するに至っている。そして4WDユニットは世界初となる4輪駆動力自在制御システムであるSH-AWDだ。ホンダ自身が「運転する楽しさを感動的なまでに高める」と言い切るほど、より積極的な制御を行なっており、前後だけでなく、左右のトルク配分まで行なう。トルク配分量については前後が70:30〜30:70に対して、後輪の左右は100:0〜0:100まで大きな幅で制御。4輪バラバラの駆動力とすることに加え、増速機構も装備しているのでコーナーリング時に積極的に曲がれるようアシストもでき、スノーモードを選べば雪道でも安心して走ることができる。

レジェンド
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
4930x1845x1455mm
車両重量
1760kg
エンジンタイプ
V6SOHC

総排気量
3471cc
最高出力
300ps(221kW)/6200rpm
最大トルク
36.0kg-m(353N・m)
/5000rpm
ミッション
電子制御式5速AT
10・15モード燃費
8.6km/l
サスペンション
(前/後)
ダブルウイッシュボーン
/マルチリンク
ブレーキ
(前/後)
ベンチレーテッドディスク
 
税込価格
525.0万円
S60R

ボルボがこだわるのが直5ユニット。経済性とパワーの両立に優れているという。ターボの配管の取り回しが大胆で、迫力すら感じるほどだ。

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S60R

サイズ的にはじつはレジェンドのほうがひと回りほど大きいが、ボリューム感ではボルボのほうが上。押し出しもボルボのほうが強い。

レジェンド

3.5リッターV6は国内初の300馬力を達成したユニットだ。滑らかに吹け、サルーンらしさとスポーティをうまくバランスした仕上がりだ。


S60R

235/40R18という超偏平タイヤを履くだけに、スタビリティは高い。乗り味については若干ゴツゴツ感が強いというのが正直なところ。

S60R

機能だけを効率よく配置するというのがボルボらしい点だが、S60についても同様だ。色気はないが、じっくりと向き合える味わいがある。


S60R

ミッションは6速ATで、シフトを横に倒せばマニュアルモードでの操作も可能だ。制御も小気味よく、エンジンのうま味を存分に引き出す。

S60R

大ぶりなボディと横置きFFで、パッケージング的には有利のハズだが、前席・後席ともに余裕タップリとまではいかないというのが正直なところ。


レジェンド

見た目からは大径には見えないが、235/50R17とけっこうサイズは大ぶりだ。ホンダ伝統のダブルウイッシュボーンはあくまでもしなやかな。

レジェンド

質感は高く、落ち着いた感じに仕上げられているが、スポーティなイメージも兼ね備えている。ホンダ流のプレミアムサルーンの解釈といっていい。


レジェンド

5速ATを採用しているが、マニュアルモードはSマチックとし、ステアリング上のハドルシフトでも操作できる。反応もよくキビキビ走れる。

レジェンド

運転席はスポーティセダンらしさが感じられる。スペース的にも余裕タップリ。とくに後席はレッグスペースも広大で、ゆったりとくつろげる。

S60R

マイルドターボではないとはいえ、パンチの効いた走りが楽しめるS60R。そしてホンダ独自のチューニングにより、滑らかかつ大パワーをサラリと発揮するレジェンド。4WD自体の積極制御という点ではレジェンドのほうが、そのありがたみが体感できる。


達人によるコダワリ評価
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