ドイツ/メルセデス・ベンツ E350 ザ対決 日本/レクサス GS350 第1回3.5lサルーン編

国民性が似ていると言われるドイツと日本。しかし、ことクルマに限って見れば、質実剛健に徹したクルマ作りを得意とし、プレミアム性も高いドイツに対して、日本車はあくまでも技術最優先で、実用重視の面も多分にある。しかし、ここに来て、日本でもレクサスが登場するなど、プレミアム度はかなり上がってきているのではないだろうか? ということでドイツ対日本。第1回目は直球勝負で、ミディアムサルーン対決だ!

PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史 モデル/郷内妙子
私が紹介します!
ROUND1 ファーストインプレッション
メルセデス・ベンツ E350
ミディアムサルーンの世界基準

四角いライトのW123/124で世界のミディアムセダン作りに衝撃を与えたメルセデス・ベンツEクラス。今でもセダンの世界のベンチマークとして君臨しているのは確かだ。今回用意したのは3.5リッターのV6DOHCを搭載するE350で、Eクラスのなかでもちょうど中間に位置するグレードだ。ちなみに下は3リッターV6DOHCで、上には5リッターのV8SOHCが用意されている。安全ディバイスについては世界トップクラスといってよく、世界に先駆け電子制御ブレーキを採用するなど最先端を行く。
コンセプト的には先代で培った「スポーティ&エレガント」を継承しており、流麗なデザインがまずは目を引く。一方、室内はじつに機能的でシートのホールド性も上々だが、少々華に欠ける面もある。
さらに乗り味やフィーリングに関してもよりソフト路線を強調しており、確実に往年のメルセデスらしさが薄れてきている。その原因はセルシオであり、さらにレクサスであるといっていいだけに、今回の対決にどう影響するか楽しみだ。

E350 アバンギャルド
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
4820x1820x1435mm
車両重量
1690kg
エンジンタイプ
V6DOHC
総排気量
3497cc
最高出力
272ps(200kW)/6000rpm
最大トルク
35.7kg-m(350N・m)
/2400〜5000rpm
ミッション
電子制御式7速AT
10・15モード燃費
8.6km/l
サスペンション
(前/後)
4リンク/マルチリンク
 
ブレーキ
(前/後)
ベンチレーテッドディスク
/ディスク
税込価格
808.5万円
メルセデス・ベンツ E350

ハイデッキスタイルが流行するなか、リヤから眺めてみると、かなりアッサリした印象を受ける。フロントに比べると存在感も弱い。

メルセデス・ベンツ E350

エンジンはメルセデスが熟成を重ねてきたV6DOHCユニット。パンチ力というよりも、実用性に重きを置き、低速から滑らかに吹け上がる味付けだ。


メルセデス・ベンツ E350

タイヤサイズは225/55R16となっている。エアサスと電子制御ダンパーの組み合わせであるエアマティックDCは残念ながら採用されていない。

メルセデス・ベンツ E350

グレーを基調にした質実さを全面に出したインパネまわり。派手さはないものの、じっくりと使い込むことができる。また各部の質感も十分だ。


メルセデス・ベンツ E350

2005年モデルから待望の7速ATが搭載された。多段とはいえ、制御面に違和感もなく、小気味いい走りを演出してくれるし、燃費の向上にも貢献している。

メルセデス・ベンツ E350

運転席はしっかりと座ることができ、正しいドライビングポジションを取ることができる。またリヤシートはスペース的に余裕タップリで、ゆったりとできる。


メルセデス・ベンツ E350

さすがにキビキビとした感じではないが、ワインディングでも着実にコーナーをクリアし、頼もしく坂道も上ってくれる。また高速での巡航性能は高く、ドイツ車の面目躍如といったところ。

レクサス GS350
ライバルはズバリ欧州のミディアムサルーン

レクサスブランドのなかでも中核に位置するGS。アリストの後継車にあたる。エンジン4.3リッターのV8DOHCに加え、315馬力を発揮する3.5リッターV6DOHCもラインナップする。もちろん今回対決のまな板に上げたのは後者のほうで、組み合わされるミッションは6速ATだ。
ただし安全性については、ギア比可変ステアリング付きVDIMや減衰力制御のAVSなど、トヨタ自慢のディバイスがオプション扱いなのは疑問が残るが、技術を存分に投入しているのは確か。全体の造りは高級感の演出にも力が入れられており、日本独自の「おもてなし」の心を前面に押し出している。実際に乗り込んでみると、じつにレザーやウッドをぜいたくに使用するなどトヨタ的な文法で高級感を強調。そこにスポーティさをプラスすることでトヨタではない、レクサスとしての独自路線を築き上げているといっていい。
ただし、レクサスの苦戦もささやかれるだけに、真の高級感とはなにかというのが、今回の対決でもテーマになると思われる。

レクサス GS350
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
4830x1820x1425mm
車両重量
1640kg
エンジンタイプ
V6DOHC
総排気量
3456cc
最高出力
315ps(232kW)/6400rpm
最大トルク
38.4kg-m(377N・m)
/4400rpm
ミッション
電子制御式6速AT
10・15モード燃費
10.0km/l
サスペンション
(前/後)
ダブルウイッシュボーン
/マルチリンク
ブレーキ
(前/後)
ベンチレーテッドディスク
 
税込価格
520.0万円
レクサス GS350

ハイデッキスタイルが重厚さを演出。フロント以上にレクサスらしさやプレミアム感を放つ、リヤまわり。スポーティさもしっかりと漂わせる。

レクサス GS350

フルカバータイプを採用し、エンジンルーム内も高級感の演出に力を入れている。315馬力ものパワーを誇る3.5リッターながら、燃費のよさにも注目だ。


レクサス GS350

サイズは225/50R17で、当たり前のように17インチ&50偏平を履くが、ゴツゴツ感はまったくないし、トレッドからのノイズも皆無といっていい。

レクサス GS350

メーターは単眼3連でシンプル。インパネなど、全体の質感はやはり国産車トップクラスであり、メルセデスと比べて遜色なし。おもてなしの心だ。



こちらは6速ATだが、その性能に遜色はなし。ウッドの使い方ひとつ取ってもみてもメルセデスとは対極。少々古くさい感じもしなくはないが。

レクサス GS350

リヤシートのスペースはE350を凌ぐほど。質感はかなりのもので、高級感は十分。ただ柔らかいだけでなく、腰があり、長時間座っても疲れない。


レクサス GS350

トヨタがセルシオやアリストで培ってきた、懐の深いゆったりとした走りが楽しめる。静粛性や振動も恐ろしく少なく、スムーズに吹け上がる。ただし味わいに欠けるのもまたトヨタらしいところか。


達人によるコダワリ評価
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