今回は、達人「大岡 智彦」によるレクサスGS450hの試乗レポート。この記事では、レクサスのハイブリッドモデルであるGS450hの走行性能やエンジンシステムといった点について詳しく解説。また、同クラスであるメルセデスやBMWと価格を比較、どちらが買うべきクルマかといった点についても記載している。
- この記事の目次 CONTENTS
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- 1.モーターだけでも結構走れます!
- 2.驚異のレスポンスを見せつけるハイブリッドシステム
- 3.ハンドリング克服で目指せ!スーパースポーツセダン
- 4.輸入車にはない価値をもつハイブリッドシステム
- 5.レクサス GS450hのスペック情報
1.モーターだけでも結構走れます!
実は私、もうハイブリッド車はお腹いっぱいになっていた。
仕事柄、様々な車種のハイブリッド車に乗せていただくことが多く、特にハリアーハイブリッドは1,000kmほど走行させていただいた。
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そういった経緯があったため、レクサスのハイブリッドモデル、GS450hが発売されたことに対しても、新鮮味がなくなっていた。
そんな思いを抱えたまま、レクサスGS450hのキーを受け取った。
キーをONにしても音がしないエンジン・・・?
キーをONにしても、美しいインパネのランプが点灯するだけ。
バッテリーの充電量が十分であるならば、イグニッションをONにしてもエンジンはうんともすんともいわない。
通常であれば、まずここで悩む。
エンジンがかかるものだと思い、何度もエンジンのスターターボタンを押したりするだろう。
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モーターのみで3〜40km/hほど加速可能
エンジンのかかっていないレクサスGS450hのアクセルをゆっくりと踏む。
すると、クルマは何事もないように、モーターだけでスルスルと滑らかに走り出した。
状況にもよるが、そのまま少しずつアクセルを踏んでいくと、モーターのままで3〜40km/hくらいまで加速する。
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モーター走行の静かさ、トヨタの技術に感心!
恐らく渋滞の多い首都圏などは、アクセル開度に注意すればかなりの距離をモーターのみで走ることができるはずだ。
そのときの車内はとても静かで、むしろ恐いくらいの静寂だ。
エンジンがかかってないって静かなんだなぁ、と実感。
静かなクルマを作らせたら、さすがトヨタはウマイ!
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2.驚異のレスポンスを見せつけるハイブリッドシステム
まずは普通に走ってみることにした。
アクセルの開度をスタートからある程度踏むと、まずはモーターのトルクでクルマをグイっと前方に押し出した後、すかさずエンジンが始動。
1,890kgという決して軽くないボディに対して、何事もなく車速を上げていく。
瞬時に高トルクを発生するモーターならではの加速感だ。
通常走行時のエンジンは、状況によりジェネレーターや駆動力にと、それぞれ最適な形で動力を与えている。
アクセルオフやブレーキ時には、制動力を電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えられる。
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モーター&エンジンが駆動力として働き出す全開走行
さて、お待ちかねの全開走行だ。
モーター&エンジン両方が駆動力としてイッキに働き出す。
このときエンジンの出力は、バッテリーにはまわさずに、すべて駆動力として使われる。
そのため、バッテリーはひたすらモーターへ電力を供給する。
すると、クルマは恐ろしいほどのトルクでグイグイと車速を伸ばす。
アクセル全開だと80km/h付近で2段変速式リダクション機構がハイギヤに切り替わるのか、一瞬加速が途切れ、また加速する。
ここまでは、大排気量車でも体感できるレベル。
高速域でも衰えるどころか加速し続けるGS450h
レクサスGS450hがすごいのは、ここから先の加速感。
通常どんなクルマでも、車速が上がれば上がるほど加速が落ちていき、ギヤをシフトアップするたび加速が鈍る。
しかし、レクサスGS450hのハイブリッドの加速は、高速域に入っても衰えない。
無段変速機ならではの滑らかさのまま、強力に加速し続ける。
この加速感はまさに未知との遭遇、初体験のフィーリングだ。
本当に「ナニ、これぇ〜」です。
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どんな状況でも即座に超加速するハイブリッドシステム
今まで体験したことのない加速感に、ドライバーは少し戸惑い、アクセルを一旦緩め再加速。
アクセルを踏み込んだ瞬間に素早く反応し、再び超加速を開始。
恐ろしいことに、ほぼどんな状況下にあっても即座に超加速するこのハイブリッドシステム。
もはやスポーツカーのためにある、と思えるほど気持ちがいい。
バンッと踏めばドンと前に出る、といったイメージだ。
そのままアクセルを踏んでいれば、あっという間に180km/hに到達するだろう。
システム合計(エンジン+モーター)での最高出力は345馬力というが、加速力はそれ以上だと思う。
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3.ハンドリング克服で目指せ!スーパースポーツセダン
レクサスGS450hのハンドリングは、小さな舵角ではダルめだが、大きく速い舵角を与えると、意外とシャープに反応したりする。
いわゆる国産オヤジ系セダンに多いハンドリングだ。
レスポンスの鋭いスポーティなハイブリッドシステムと、オヤジ系のハンドリングの組み合わせ。
まるで、異質のキャラが組み合わされているようで、いまいちよく分からない。
レクサスGS450hには、BMWのような精密でスポーティなハンドリングが似合うと感じた。
オヤジ系はGS430に任せておけばいいのだ。
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ロールが大きめで細かな走行が苦手なGS450h
後席まわりにバッテリーを搭載しているため高重心となるのか、電動でスタビライザーを制御しロールをコントロールするアクティブスタビライザーサスペンションシステム(標準装備、レスオプションあり)がないと、あまりにロールが大きく、気持ちよくは走れない。
さらにロールの戻りが少々遅いので、右に左にとスイスイと曲がるのは少々苦手分野。
レクサスGS450hの狙いは、そういうスポーツ路線ではないのかもしれないが・・・。
ハンドリングの部分がもう少し洗練されれば、レクサスGS450hは類希なスポーツセダンになるはずだ。
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国産&輸入車の中でもトップクラスの加速
ハンドリングに苦手な面がありながらも、スムーズで圧倒的な加速は、国産&輸入車の中でもトップクラス。
敵なしの超直線番長といったところだ。
そういう意味では、余裕あるパワーで高速クルージングするというスタイルが一番似合っているだろう。
いわゆる、大人の余裕というやつだ。
4.輸入車にはない価値をもつハイブリッドシステム
これだけパワフル&スポーティなハイブリッドシステムにも関わらず、10・15モード燃費は14.2km/lと2リッタークラス並み。
これは、凄いことだ。
トヨタ様(あえて様と呼びたくなるほどスゴイ!)の進化は、想像できないぐらいのスピードで進んでいた。
走りのキャラ設定に違和感はあるものの、ハイブリッドシステムは、ライバルとなる輸入車にはない、圧倒的な個性を持っている。
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同クラスのメルセデスやBMWよりもお買い得な設定
価格は、ラグジュアリーな装備がついたバージョンLで770万円。
同クラスのメルセデスやBMWより、かなりお買い得な設定だ。
なにがなんでもメルセデスやBMWでなくてはだめ!という方でなければ、世界最先端のハイブリッド技術に触れられるのはレクサスGS450hのみとなっている。
さらに、地球環境にも優しいというのであれば、レクサスGS450hに乗る価値は大きい。
輸入高級車オーナーも、一度は乗って試すことをおすすめする。
そうすれば、フロントウインドウの先に、自動車の未来がボンヤリと見えてくるはずだ。
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次回登場のレクサスLS600hの進化に期待
次に登場するであろうレクサスAWDのLS600hは、一体なにを進化させて登場するのだろうか?
FRでもAWDでもいい、ハイブリッドのリアルスポーツカーに乗ってみたいのが本音だ!
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5.レクサス GS450hのスペック情報
レクサス GS450hのスペックは以下の通り。
代表グレード | GS450h |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4830×1820×1425mm |
車両重量 | 1,890kg |
10・15モード燃費 | 14.2km/l |
エンジン型式 | 2GR-FSE型 V6DOHC |
エンジン出力 | 218KW(296ps)/6,400rpm |
エンジントルク | 368N・m(37.5kg-m)/4,800rpm |
モーター出力 | 200ps(147kw) |