整備されたテストコースで堅いと感じられた足回り。一体、一般道ではどうなのだろう。
GSは十分に早い。その速度域は驚きのレベル。350でさえ、信じられないほどに早いのだから。
日本車の域ははるかに超えた。しかし、プレミアムブランドまではもう一歩。さらなる熟成が望まれる。
車名:レクサスGS
グレード:430
型式:UZS190系
駆動方式:FR
全長:4830mm
全幅:1820mm
全高:1425mm
ホイールベース:2850mm
エンジン形式:V型8気筒DOHC
総排気量:4292cc
最高出力:280ps/5600rpm
最大トルク:43.8kg-m/3400rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション(F):
ダブルウイッシュボーン
サスペンション(R):
マルチリンク
価格:630万円(税込み)
これはトヨタ士別テストコースで6月に試乗した時点でのインプレッションである。
レクサスGSはすでに北米では販売が開始されているだけあって、細かいところまでそつなくまとまっているという印象だ。結論からいえば、430より350の方が自然な味付けで乗りやすかった。しかしどちらもサスペンションは硬めである。テストコースで乗ってもこれだけ硬いのだから一般道では辛いだろう。これまでのトヨタ車のイメージから脱皮したかったかのような硬さである。特に18インチタイヤでスポーツサスペンションを装備した430はちょっとやり過ぎだと思う。スポーツとノーマルの切り替えスイッチがあるが、スポーツでは一般道にはないようなフラットな道でないと走れない。
430のアクティブスタビライザー付きに乗るとロール角自体は小さいが、コーナリング中にロールが最大になったところでふらつき感が出る。これもしなやかさが足りないからではないか。
エンジン排気量の小さい350でも充分に速い。広いテストコースでの加速感も不満はないし、1周10kmの高速周回路での最高速度は258km/hをマークした。超高速域でもハンドルのニュートラル付近の手応えもあり、センターも明確である。ただし切り始めのピクッと動く感じは、応答性がシャープ過ぎるためかもしれない。これは許容範囲ではある。
ちょっと荒れたハンドリング路を350で走ったときの印象は、せっかくのFRなのにFFのような感じなのが残念だった。ハンドルを切り始めたときの反応は良い。しかしさらに切り足すとダルになってきて、アンダーステア傾向のコーナリングになる。普通に走っているうちはそう問題ないが、ちょっと飛ばすとFFっぽいコーナリング状態になる。つまりターンインはスムーズなのだがその後はハンドルを切込み気味のコーナリングになってしまいFRのメリットが出ていない。安定性を重視したのだろうが、これならFFでもいいくらいだ。
430で試したスプリットミューでのブレーキングの安定性を確保するためのアクティブブレーキは役に立つ。自動カウンターステアを当ててくれるので、左右のミューが大きく違ってもクルマが思わぬ向きに行ってしまうことがない。このシステムは良くできているのだが、430のエンジン強大なエンジントルクに勝る強いブレーキングパワーが欲しい。
ユーザーがレクサスというネーミングから期待するのは、もっと上質な乗り心地と洗練されたハンドリングではないか。その意味ではいままでのトヨタの領域からまだ脱していないと思う。レクサスとしてメルセデスベンツ、BMW、アウディに対抗するためには、発売してからもさらなる熟成を重ねていく必要があると思う。
|