レクサスGS430

【レクサスGS430】レクサスGSは楽。楽しくて楽ちんなスポーティーサルーンだ by片岡英明

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GSに用意されているエンジンは2種類。315馬力を発する3.5リッターのV6(350に搭載)と280馬力を発する4.3リッターV8(430に搭載)である。

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シートの座り心地、ステアリングの感触、シフトフィーリング、スイッチの感触・・・どれをとってもプレミアムサルーンとして納得できるものばかりだ。

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魔法といってもいいVDIM。安全と安心がこれにより確実にもたらされる。楽しくて楽ちんなスポーツサルーンに仕上がっているのである。この効果は絶大だ。

SPECIFICATIONS
車名:レクサスGS
グレード:430
型式:UZS190系
駆動方式:FR
全長:4830mm
全幅:1820mm
全高:1425mm
ホイールベース:2850mm
エンジン形式:V型8気筒DOHC
総排気量:4292cc
最高出力:280ps/5600rpm
最大トルク:43.8kg-m/3400rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション(F):
ダブルウイッシュボーン
サスペンション(R):
マルチリンク
価格:630万円(税込み)

インテリアの作り込みは素晴らしい そしてエンジンはもっと素晴らしい

レクサスGS430とGS350は、日本市場ではアリストの後継モデルと位置づけられているプレステージ性の高い大人のスポーツセダンだ。フロントマスクやウインドウグラフィックなど、エクステリアにはアリストの面影が残っている。2代目アリストより引き締まったフォルムだが、フロントマスクは今までのイメージを引きずったデザインだ。フードの見切り線が高級感を損なっているし、ヘッドランプのつながりも滑らかさを欠く。アリストのイメージを完全に消し去ってもよかったと思う。インテリアは3眼メーターや3本スポークのステアリングなどでスポーティ感覚を表現した。ATのセレクターレバーやウインカーレバーなどの操作フィールがいいのは、クラウンやマジェスタと共通する美点である。スイッチ類は手に馴染む形状だし、操作タッチもいい。

パワーユニットは2機種を用意している。フラッグシップのGS430が積むのは、セルシオから譲り受けた4.3リッターの3UZ-FE型V型8気筒DOHCだ。GS350はIS350と同じ新開発のGR-FSE系3.5リッターV6直噴DOHCを搭載した。ミッションは6速ATを組み合わせているが、IS350に採用しているパドルシフトは付いていない。V8の3UZ-FE型エンジンは上質なパワーフィールだ。低回転域から厚みのあるトルクを発生し、高回転の伸びも冴えている。V8エンジンのお手本と言える滑らかなパワー感と優れたドライバビリティが自慢だ。静粛性や振動と言った快適性能と燃費性能も世界トップレベル。メルセデス・ベンツやBMW7シリーズを凌ぐ実力を秘めている。3.5リッターのV6直噴エンジンは4.3リッターのV8以上にパワフルだ。加速性能は軽量ボディのIS350に迫るし、最高速もGS430と同等の250km/hを記録した。

VIDMが秘密兵器  これが楽しさと楽ちんを生み出す

驚かされたのは、先進ハイテクデバイスで武装したGS430のハンドリング性能である。試乗したGS430にはアクティブステアリング統合制御VDIM(車両安定化制御システム)とアクティブスタビライザー・サスペンションが装備されていた。ブレーキも油圧ブースターではなく、バイ・ワイヤ方式だ。電動パワーステアリングによるステアリング制御を加えたVDIMは、魅力あふれる安全装備だった。滑りやすい路面でもコーナーが続くワインディングロードでも狙ったラインを難なくトレースことができる。絶妙な姿勢コントロールに加え、高速直進安定性も「チョー」の付く素晴らしさだった。ワインディングロードでは足がしなやかに動き、優れた路面追従性を見せつける。ボディの大きさを意識させない軽やかな走りは大きな魅力だ。GS350も、走るステージに関わらず安心感のある走りを披露する。

GSは快適プレミアムサルーン  お金があれば買ってみたい所有したい

IS350はちょっと乗り心地が硬かったが、GS430とGS350は乗り心地もいい。デザインや素材の選び方にはちょっと物足りなさを感じる。だが、快適性と速さに代表されるハード面の実力はすこぶる高かった。8月30日の発売が今から待ち遠しい。かなり高価だが、満足度は高いだろう。現時点でのおすすめは異次元の走りを見せるGS430。数年後に中古車となっても感動が沸くクルマだ。お金に余裕があり、オーナーにふさわしい品格が備われば、一度は乗ってみたいと思わせるクルマである。

達人プロフィール: 片岡英明
職業:モータージャーナリスト
学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒ...