レクサスIS350

【レクサスIS350】レクサスISにはもっと走りを煮詰めて欲しい by菰田潔

photo

レクサスIS250で少し気になるのは、超高速域でのステアリングの応答性。レクサスならば、ここまで煮詰めて欲しい。

photo

レクサスIS350では同じ高速周回路でコーナリング中のロール方向の安定感がもっと欲しいと思った。

photo

もてる技術のすべてを投入して開発されるレクサスなのであるから、スイートスポットが広いドライビングの方がよいと思われる。

SPECIFICATIONS
車名:レクサスIS
グレード:350
型式:GSE20系
駆動方式:FR
全長:4575mm
全幅:1795mm
全高:1430mm
ホイールベース:2730mm
エンジン形式:V型6気筒DOHC
総排気量:3456cc
最高出力:318ps/6400rpm
最大トルク:38.7kg-m/4800rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション(F):
ダブルウイッシュボーン
サスペンション(R):
マルチリンク
価格:480万円(税込み)

レクサスのスポーツを担うISに期待するのは走りだ!

GSより小型のボディを持つISには、ダイレクトで軽快なハンドリングを期待していたが、裏切られた感じだ。とはいってもまだ発売前の試験車に士別のテストコースで乗った6月の時点での印象なので、これから発売されるまでに熟成されている可能性が高いことを期待しよう。

まずは250で高速集回路での超高速域でのハンドル応答性が気になった。スピードが上がれば上がるほど操舵角は小さくなっていくが、その小さく切る領域で応答遅れを感じるのだ。速めのレーンチェンジではちょっと巻き込んで来る感じだ。250でも最高速度は218km/hをマークする実力があるのだから、この辺りの安心感が欲しい。

このときのハンドル手応えはねっちり重い感じ。これは不自然な重さで、タイヤが発生しているグリップ力に比例していない。重くてもいいがもっとダイレクト感が欲しい。

350では同じ高速周回路でコーナリング中のロール方向の安定感がもっと欲しいと思った。もちろんハイスピードでのコーナリングなのだが、ロールしきったままで安定したコーナリングができない。路面のアンジュレーションをサスペンションが吸収できずロール角が変わってしまう感じだ。脚が突っ張り過ぎている印象である。

ハンドリングのレベルは高い。しかし、もっと煮詰める必要も

250で荒れたハンドリング路を走ったときには、高速周回路で感じた応答遅れはターンインのときに若干感じるものの許容範囲だった。しかしコーナーを立ち上がるときにハンドルを戻してくるタイミングでロールも戻ってくるが、そのときに直線路でふらつく感じがある。これも腰が突っ張り過ぎているのが原因になっているのではないか。もっとしなやかに、ロールをするときも戻るときももっとゆっくり動くようにしてもらいたい。

コーナリング状態のときにハンドルを切り込むと応答性が頭打ちになるのが早い。もっと粘ってくれてハンドルの切り足しにも充分追従してくれることを期待する。ここでも脚が突っ張り過ぎの感じである。

走りをもっと煮詰め、誰もが走りやすいクルマへ

コックピットの話をすると、ATのシフトインジケータがDレンジでも表示され、いま何速に入っているかを把握しやすいのは良い。しかしSレンジにしてもマニュアルモードになるわけでなく、あくまでもレンジ切り替え(昔のATで、Dレンジから下を使うアレ)なのだ。これではシフトダウンのことしか考えていない半分の効果だ。スポーティなドライビングをしようと思ったときには、あるときにはシフトダウンも必要だが、あるときにはエンジンはフルパワーでも故意にシフトアップさせることができたほうが良い。

ISの装備や性能を見たときに、ある面では良いが別の面から見るとまだできていないところが多々ある。全方位的に高いレベルで満足できるクルマ、スポーツドライビングの面でのスイートスポットがもっと広い方が喜ぶ人が多いのではないか。

達人プロフィール: こもだ きよし
職業:モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)、JAF交通安全委員会委員、セーフティドライビング・インストラクター・アカデミー会長、警察庁運転免許制度に関する懇談会委員、BMWドライバー・トレーニング・チーフインストラクターなど...