パワフルな2.5リッターの水平対向4気筒DOHCターボや30mmローダウンのスポーツサスペンションなど、主要メカニズムは今までどおりだ。リアのクロスメンバーは専用装備から落とされているが、これは1月のマイナーチェンジで全車に標準装備されたためである。
走り出して気がつくのは、乗り心地がよくなったことと6速MTのシフトフィールがよくなったことだ。今までのSTIバージョンはちょっとハードな乗り心地だった。フロントシートに座っているときはさほど気にならないが、リアシートに座ると突き上げを感じたものである。最新モデルは、段差を越えたときでもダイレクトな突き上げに悩まされなくなった。ステアリングに伝わるキックバックが減るなど、操舵フィールも今までより洗練されている。
軽快感が増したのは大きなニュースだ。コーナリング時の回頭性がよくなっているから、鼻先が軽くなったような印象を受ける。ただし、ホットに攻め込むと、今までのSTIバージョンより挙動変化とロールは大きめだし、巻き込みも大きかった。スポーティ感覚がわかりやすいが、調子に乗りすぎると、パワフルで速いだけにコントロールするのが難しい。
2.5リッターのEJ25型4気筒DOHCターボエンジンはパワフルだ。パンチ力があり、全域にわたってトルク感がみなぎっている。低回転から厚みのあるトルクを発生し、タイムラグなしに高回転まで気持ちいい加速を味わうことができる。鋭いパンチ力を味わいたいなら3000回転から上の領域をキープすればいい。急勾配の上り坂でも息切れすることなく力強い走りを見せつける。その気になればスポーティカーを追いまわすこともたやすい。
しかも、街中の低速走行を苦にしないところがフォレスターのいいところだ。カッシリとしたシフトフィールの6速MTはフレキシブルな走りを披露する。3速ギアと4速ギアの守備範囲が広く、ズボラな走りも難なくこなす。ゆっくりと走った直後にアクセルを踏み込む。すると間髪を入れずに気持ちいい加速を披露した。クラッチの重さも渋滞走行時に耐えられる適度な踏力だ。スポーティにも街乗りにも使える、奥の深いクロスオーバーカーである。