最初に試乗したのは320i。直列4気筒の2Lエンジンは110kW/200N・mのパワー&トルクを発生しており、バルブトロニックの採用もあってこれまで以上に走りと燃費のバランスの取れたエンジンに仕上がっている。ボディが大きく重くなっているが、基本的な動力性能は不満のないレベル。箱根ターンパイクの急な坂道を駆け上がるシーンではもう少しパワーが欲しいという気持ちにもなったが、日常的な使い方をするなら、市街地から高速道路での追い越しまで、十分にボディに見合った実力といえる。
足回りはランフラットタイヤを装着する割には乗り心地もスポイルされていない。320iでは16インチタイヤを履くことも、乗り心地につながっていると思う。
330iに乗ると、BMWならではの直列6気筒エンジンの滑らかな吹き上がりを堪能することができる。アクセルワークに合わせて軽快に吹き上がると同時に、ボディに対して余裕十分のパワーが盛り上がっていくので、走りの気持ち良さは特筆モノ。
330iでは17インチとオプションで18インチタイヤを装着した仕様に試乗したが、これらの超偏平タイヤでも乗り心地のゴツゴツ感はあまり感じなかった。特に18インチの35タイヤが想像する以上に良くできていたのには感心させられた。
ストラット/5リンク式のサスペンションはFRの駆動方式と前後50:50の重量配分などによって、極めて軽快感のある走りを実現する。このフットワークの良さもBMWならではのものといっていい。BMWが言う駆け抜ける歓びがここにある。
●お勧めグレード
今回の3シリーズは、ボディが大きくなって車格を向上させ、エンジンを改良して動力性能や燃費を向上させ、全車に6速ATを設定し、安全装備や快適装備を充実させながら、価格を従来より引き下げている。
320iでギリギリ400万円を切る399万円の価格が設定されるのは、BMWが新型3シリーズに賭ける意気込みを示すものといってもいい。競合するメルセデス・ベンツCクラス、ジャガーXタイプ、アウディA4などと比べても、十分に割安感のある価格といえる。
当然ながらこの320iがお勧めグレードだ。できればBMWならではの6気筒車に乗りたいが、330iではオプションや諸費用を含めると、800万円コースの買い物になってしまうだけに簡単には手が届かない。320iが現実的な選択だと思う。これにカーナビやいくつかのオプションを装着して乗ればいい。