ホンダ ステップワゴン
ステップワゴン

ステップワゴンのアイデンティティーだった縦形ランプをあっさり捨てて、ガラッと印象を変えた新型のリアビュー。

ステップワゴン

こちらも先代モデルとはうって変わって、立体的な造型が新鮮な印象を与える新型ステップワゴンのフロントマスク。

ステップワゴン

リアの立体的なキャラクターラインが3代目ステップワゴンいちばんのハイライト。

ステップワゴン

なんとびっくり!乗用車初のフローリングフロアを採用した車内(写真はカットボディーです、念のため)。

ステップワゴン

近未来感溢れるインパネデザイン(こちらもカットボディー)。兄貴分のミニバン「エリシオン」との近似性も感じられる。

ステップワゴン

まるで雪見障子!?といった風情のトップライトルーフ。フローリングのフロアに柔らかな光をそそぐ、なんとも魅力的な装備だ。

ステップワゴン

フロントに横置きされるエンジンは2.4(写真)と2.0の各i-VTEC。共にクリーン性能と走行性能を両立したホンダらしい造りだ。

ステップワゴン

ドレスアップユーザーにも大人気のステップワゴン。新型でも抜かりはない。ホンダ純正のカスタマイズパーツブランド「モデューロ」シリーズは今回も豊富に用意されている。

伝家の宝刀ともいえる低床・定重心プラットフォーム

 ホンダがF1で活躍できるのも、オデッセイやステップワゴンが売れているから。そんな噂を聞いたことがある。まぁ、事の真偽はわからないが、世界規模でみればそれほどシェアも生産台数も多くなく、なおかつGMやフォードVWといった巨大な企業集団とも組まずにホンダが独立独歩でいられるのは、少なくともオデッセイやステップワゴンがあるからだといえるだろう。
 そんなステップワゴンがフルモデルチェンジを行った。初代から数えて3代目に当たるステップワゴンは、それまでのヴォクシーで背高のっぽなスタイリングに別れを告げてしまった。全高1770mm、先代モデル比で-75mm。数字だけみると大きい感じがするが、最大のライバルであるノア/ヴォクシーの全高が1850mmもあるのだから、比較してみれば車高の低さはよりいっそう際だつ。ウイッシュが1745mmで、プレサージュが1685mmなのだから、もはやステップワゴンは乗用車タイプのミニバンだといえるだろう。
 とはいっても、室内高が低くなっていないのが新型ステップワゴン。車高が低くなったのに、室内高がそのままとはこれいかに? と、まるでとんちのような疑問が浮かんでしまうが、ここには大きなからくりがあるのである。そのからくりとはホンダ自慢の低床・低重心プラットフォーム。フィットで発明し、オデッセイで磨き上げ、エリシオンで完成の域にまで高めた"セカンドシートの下に薄型樹脂製燃料タンクを設置"することで信じられないほどの室内空間を実現させた、あれを新型ステップワゴン用に開発したというワケなのである。それ故、実現できた-60mmの低床化と-40mmの低重心化なのである。
 さらに、ホンダは新型ステップワゴンにH型トーションビーム式リアサスペンションや、薄型サイレンサーを採用。低く出っ張りの少ないサスペンションやサイレンサーを使うことで、引くだけでなく平らな室内床までも実現させているのである。

多彩なシートアレンジに両側スライドドア。これこそ鬼に金棒か?

 さて、初代2代目と続いたスタイリングから一皮むけて新しいプロポーションを手に入れた3代目ステップワゴン。大きく変わったのは、その形だけではないのだ。では、ここで問題。ノアやヴォクシーセレナにあって、今までのステップワゴンになかったものってなぁ〜んだ? 答えは両側スライドドア。右側からでも左側からでも乗り降りできる大開口両側スライドドアとは、ステップワゴンにとっては痛恨の一撃級の弱点であった。
 それも、昨日までのオハナシ。ステップワゴンも両側スライドドアを手に入れたのだ。無論、パワースライド&スピードコントロール機能付き。これでライバルに劣る部分はなくなった。それどころか、低床・定重心プラットフォームを採用したことにより実現した390mmという低床のおかげで、乗り降りのしやすさは敵がいないといえるほどの良さとなっているのである。
 乗車定員は8人(サイドリフトアップ車は7人)で2列目3列目はベンチシート。2列目は6:4分割タンブルシート。回転対座も、チップアップ&スライドも、跳ね上げも、もちろんOK。3列目は簡単操作ですっきり収納できる5:5分割跳ね上げシートとなっている。
 これでも並み居るライバルに差を付けていると思われるのだが、ホンダは新型ステップワゴンにとんでもない隠し球を用意してしまったのだ。それはフローリング。日本語でいえば板の間。別にフローリング調のカーペットを敷き詰めたというのではない。本物の木から起こした木目柄を樹脂にプリントし、表面に対摩耗性に優れた硬質クリア層をコーティングしている。これならジュースをこぼしても、お菓子の食べかすが落っこちてもお掃除簡単、見た目もきれいとなるワケである。

さすが走りのホンダ。走りは乗用車だということ

 このステップワゴンや、オデッセイに、エリシオンに、ストリーム。最近のホンダはミニバンばかりが元気。しかし、ホンダはホンダである。日本車メーカーでは初めてF1のコンストラクターズ・チャンピオンとなったメーカー。ミニバンであっても、走りの手は抜いていない。 
 新型ステップワゴンに用意されたエンジンは2種類。低速域からのスムーズな力強さと低燃費を両立させた2.0リッター・DOHC・i-VTECエンジン(最高出力155馬力最大トルク19.2kg-m)と全域トルクフルなな尻と低燃費を両立し、優れたクリーン性能をも達成した2.4リッター・DOHC・i-VTEC(最高出力162馬力最大トルク22.2kg-m)。これらのエンジンに組み合わされるトランスミッションは変速ショックの少なく、スポーティーな変速操作も楽しめるCVT+7スピードと、エンジン特性を引き出す5速AT&4速ATが用意されている。
 取材に訪れたのは発表会だったので、当然走りは確かめることができなかった。しかし、スペックをみる限り、今までホンダが作ってきたクルマのことを考える限り、走りという観点に立てばライバルに負けるワケがないということが考えられる。
 ただ、これからホンダのミニバンを買おうと思っているユーザーは非常に悩むだろう。ステップワゴンが低い車高とスポーティーな走りを手に入れてしまった。もう、オデッセイとがっぷり四つでぶつかってしまいそうな感じがするのだが。

■新型ステップワゴンのライバル1・・・新型日産 セレナの情報はコチラ!
 ・新型セレナはBIG! EASY! FUN! ボックスに!(2005年5月31日)

■新型ステップワゴンのライバル2・・・トヨタ ノア・ヴォクシーの情報はコチラ!
 ・【トヨタ ノア】人気の5ナンバーミニバンがマイナーチェンジでさらに装備を充実させるなどして登場(2004年9月10日)
 ・【トヨタ ヴォクシー】マイナーチェンジで5人乗り2列シートのトランスXを追加した(2004年9月13日)

代表グレード
G Lパッケージ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4630x1695x1770mm
車両重量[kg]
1510kg
総排気量[cc]
1998cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
155ps(114kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
19.2kg-m(188N-m)/4500rpm
ミッション
電子制御4速オートマチック
10・15モード燃焼[km/l]
13.2km/l
定員[人]
8人
税込価格[万円]
217.35万円
発売日
2005年5月27日
レポート
神田 卓哉(221616.com編集部)
写真
徳田 透(221616.com編集部)
取材協力
本田技研工業株式会社