コアサポートのダメージ

重要部位のダメージ検査方法・コアサポート

更新日:2022/01/18

コアサポートは全面からの衝撃を受けた際に、ライトやグリルにより真っ先にダメージを受ける骨格部になります。ダメージの種類も大きなものから、小さなものまでありますので、衝撃の出やすい部分を知っておく必要があります。

1.押され、曲がりの検査

< チェック項目 >

  1. ライト、グリルステー付け根
  2. アッパーコアとインナーの付け根
  3. 左右コアサポート端
コアサポートチェック項目
  1. ライト、グリルステー付け根

    ライトステーによるコアの押され

    車種によりますが、正面からより、エンジンルーム側から確認したほうが容易に発見できます。ライトを取り付けている「ナットを外した跡」や「錆」が出ている場合は要注意です。押されが小さな場合もありますので、検査の際は小さなライトで照らしながら注意深く見る必要があります。

  2. アッパーコアとインナー押され

    アッパーコアのシワ

    コアサポートが全体的に押されている場合、インナーパネルとの付け根だけにシワが出ることがあります。このダメージは付け根付近の「塗装割れ」「錆」で確認することができます。アッパーコアサポート付け根付近以外には、ダメージが全く無いことがありますので見落とすことのないようにします。

  3. 左右コアサポート端の曲り

    コアサポートの曲がり

    斜め、横方向からフェンダーをぶつけた際に、コアサポートまで押されてしまうことがあります。このような場合は、エンジンルーム上側からの確認よりも、車体下からの確認により発見できることの方が多いので、必ず車体下に潜っての確認を行ないます。軽自動車やクロカンタイプの4WD車の場合には、エンジンルーム側からよりも、タイヤハウス側から確認したほうが容易に発見できることがあります。また、車種によってはマーカーレンズを外す作業も必要な場合もあります。フェンダーの補修状態等から推測し、怪しい場合には手間を惜しまずに確認するようにします。

  4. この他に注意しなければならないのは、ヘッドライトボディによるコアの押されや、コアサポートに溶接されているパーツ類のダメージにも注意します。特に、フロントノーズ車と呼ばれるコアサポートより前部に部品が密集している車種では、その構成パーツのダメージにも注意します。

2.補修歴の検査

コアサポートの補修歴は、汚れや機能部品によって確認しづらいことが多く、新車状態でも塗装が雑なため、塗装肌の違いを発見することも困難なことがあります。前述のダメージを受けやすい部分に注意しながら、全体を確認するようにします。

< チェック項目 >

  1. マスキング跡
  2. パテ目
  3. 塗装肌
  4. 修正機跡
  1. マスキング跡

    アッパーコアサポートのプレートに残ったマスキング跡

    マスキング跡が残っている場所は①アッパーコアサポートとインナーパネルとの付け根、②アッパーコアサポートと左右コアサポートとの接合部に多く見受けられます。また、アッパーコアサポートに貼ってあるステーカーやプレートにマスキング跡がある場合もあります。逆に、これらのステッカーやプレートが無い場合や外した跡のある場合も注意しなければなりません。

  2. パテ目

    アッパーコアミミ部のパテ目

    パテ目の確認は形状の変化する場合や平面に出やすいと言えます。コアサポートは複雑な形状を持つことが多く、平面を探すのに苦労することもありますが、アッパーコアサポート上側や各コアサポートミミ部のパテ目は容易に発見することができます。

  3. 塗装肌

    新車状態の塗装も丁寧とは言えないため、塗装肌だけでの判断はできないことも多く、前述の「マスキング跡」や「パテ目」と合わせて補修歴と断定する必要があります。インナーパネル等と塗装肌を比べることが一つの判断の目安になります。注意しなければならないのは、コアサポートは車種によってブラックアウト塗装を施していることが多く、その塗装が新車状態でも雑であることが多いことです。これはグリルの隙間から、ボディ色を見えなくするための処理なのですが、ペイントの垂れや、はみ出したマスキング跡等が高額車であっても見受けられますので再塗装跡と間違いないようにしなければなりません。

  4. 修正機跡

    衝撃の入力方向により、引っ張る場所が異なるため場所を断定することはできませんが、修正機跡の残りやすい場所は左右コアサポートの端が挙げられます。この部分は、押され、曲がりの摘出で解説したように真上から確認できることは少ないので注意します。
    アッパーコアサポートにも修正機跡が残っていることがあります。この場合には表側の修正機跡を板金によって消していることがありますので要注意
    です。

ワンポイントアドバイス

コアサポートは全体が見えないため、大変確認しづらい部位です。ですから色々な場所から隙間を利用するなどして確認する必要があります。重要な部位であるインナーパネルと接合されていることから、衝撃の波及についてもコアサポートだけで衝撃が吸収されているのか、否かを確認しなければなりません。また、場所柄汚れやすく、修理を行ってから月日が経った車輌では、補修歴の発見が困難になります。このような車輌の補修歴を摘出するためには、ボンネットやフェンダーの補修歴やラジエーターやヘッドライトの交換跡からヒントを得ることが多々あります。 日々の検査の中で、無補修の状態を覚えることも重要ですし、ダメージを発見した時その周囲の状態を観察することも大変重要なことと言えるのです。このようなことを常に意識し、検査を行なうことは、ボンネットを開けた途端に修復歴車を発見できるようになるためのカンを養うことにもなり、その結果、検査時間の大幅な短縮につながります。