検査用語の基礎知識

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車査定の検査用語

このマニュアルに頻繁に出てくる用語の内容を正確に理解して頂くために、その意味をここで詳しく解説します。一般的に使用されている言葉の意味あいと若干異なるものもあります。これらの用語を正しく理解することが、検査を実施するための重要な知識となります。

スポット溶接

スポット溶接の原理

正確には、電気抵抗スポット溶接と言います。一般的に溶接は溶接ワイヤを「溶かす」ことにより、鉄と鉄を組み合わせますが、スポット溶接の場合は圧着することにより2枚の金属を密着させます。これは溶接しようとする2つの母材を、上下から電極チップにより挟み加圧し、7000~10000アンペアの電流を流します。流す時間は0.1~0.2秒と一瞬ですが、この間に母材同士が溶け出し一体となります。この固着部分をナゲットと呼んでいます。スポット溶接では、発熱部が外気と触れにくいために錆も出にくく、作業速度が速いうえに熱による歪みが出にくいことから自動車の組み立てに適した方法です。

再スポット溶接

再スポット溶接に使用するアーム

溶接止めの部品を交換する場合、または板金作業を行なう際に溶接部を剥がし再度溶接を行なう場合に行われる溶接です。原理はスポット溶接と変わりませんが、修理の際に行なう溶接のため、流す電流に限界があり、ナゲットの大きさに差がでます。
これは修理工場等では、自動車メーカーが持つような大電流を流せる設備を持つことができないことから、脱着アーム式の溶接機で行なうためです。このためナゲットの大きさが新車状態では7mm前後なのに対し、再スポット溶接では3~5mm程度と小さくなり、強度を持たせるためにナゲットの数が多くなることが一般的です。修理の場所によっては、アームが届かず再スポット溶接に使用するアーム修理場所が限定されるという短所があります。

ミグ溶接

正確には、炭酸ガスシールド半自動直流アーク溶接と言います。この方法は、炭酸ガスを用いて溶接部が外気に触れるのを遮断し、火花放電(アーク)の熱で金属を溶かし、接合していきます。自動車に使用されるミグ溶接は、大きく「突き合わせ溶接」と「プラグ溶接」に分類されます。

突き合わせ溶接

「突き合わせ溶接」など

2枚のパネルを横に並べ、隙間を埋めながら母材同士を接合する方法です。ステップの部分交換や、クォーターパネルを交換する際にクォーターピラーの接合部に使われることが多い。パネル間にできた溶け込み部をビードと呼び、トーチ(溶接棒)の動かし方によって形状に差が出ます。通常、このビードはサンダー等で削り取られた後、ペーパーで仕上げられます。

プラグ溶接

上のパネルには5~8mmの穴を開ける 密着させる 上下のパネルが十分溶けあうこと

スポット溶接機のアームでは届かない場合に使用されます。また、規模の小さな修理工場等ではスポット溶接機を持たずにプラグ溶接で代用することがあります。母材同士を重ね合わせ、上にくる板に5~8mmの穴を開け穴を埋めるように溶接します。通常、溶接部の盛り上がりは削り取ります。削り取った際のサンダー跡によってミグ溶接跡を発見します。新車に使用されることは珍しく、サンダー跡等が確認できれば殆どが再溶接のものです。

サンダー跡

主に、ミグ溶接を行った際にできるビードや溶接部の盛り上がりを削った時に残る「削り跡」です。塗装された上からでも溶接部がギザギザに削れているのが確認できます。

パテ目、ペーパー目

板金の仕上げや塗装を剥離する際に、かけるヤスリの跡を言います。前述のサンダー跡の細かなものと考えて下さい。板金の場合、通常は目の粗い紙ヤスリで大まかな形を整え、目の細かいヤスリで仕上げを行ないます。仕上げ後のパテ目、ペーパー目はかなり細かいものになりますので、パテ目、ペーパー目とも発見のしやすいポイントを押さえて検査にあたる必要があります。

見る

よく使われている言葉ですが、検査に使う「見る」は一般的な「眺める」「ぼんやり見る」とは違い、「観察する」ことですから、「観る」と同義語になります。

ボルト(ナット、ネジ)のサワリ跡

ドア等のパネルや各部品の取り付けに使われるボルト、ナット、ネジに工具をかけて、外した跡を言います。外板のパネルの装着に使用されるものは、ボディと同色に塗られていますので、塗装の剥げた跡で確認することができます。

  • 新車状態
  • 外した経歴のあるボルト

シーラント

外板パネルの折り返し部や、鉄同士の接合部に塗られているコーキング剤を言います。これは新車で塗られてくるものは「硬く、形状が均一」であるのに対し、交換後はシーラントは「柔らかく、形状が不均一」であることが多いのが特徴です。パネル交換の摘出に大きく貢献するポイントです。

  • 新車状態
  • 後から塗られたもの

塗装肌

塗膜の表面を言います。これは新車であっても車種やメーカーによって違いが見られます。この「肌の違い」を見抜くことによって板金塗装跡を摘出することができます。再塗装時には、「磨き」の届きにくい部分が「ユズ肌状」になりやすく、磨かれた部分に比べて肌の差が出ます。肌の違いが出やすい部分をポイントとして押さえておけば、検査の時間が短縮されます。

チリ

各板金パネル間の隙間を言います。この「チリ」が均一であるか、否かにより、パネルの立て付け状態を確認することができます。

修正機

事故等で大きな損傷を受けた際に、復元で使用する機械です。正確には、ボディ修正装置(フレーム修正機)と呼び、様々な種類があります。これは修復する部分にクランプをかませ、引っ張る作業を行なうためのもので、そのため「引き作業」の他に「計測」「ボディ固定」の機能を備えているものが殆どです。通常、修正機にかけられる車は、ステップ部にクランプをかませ固定されるため、この部分にかませた跡が残ります。「かませた跡」は、点や斜線が長方形に残ることが多く、ステップ部のダメージを確認する際に必ず見なければならないポイントと言えます。修正機にかけられた車は全て「修復歴車」として扱われます。

  • ボディ修正装置(フレーム修正機)

外板パネル

「ドア」、「フェンダー」、「ボンネット」、「トランク」、「ルーフ」、「ステップ」、「クォーター」、等の外側に面した各パネルを言います。

ASSY

セット、一体と言う意味に使っています。

マスキング跡

塗装する際に、塗料がかかってはいけない部分にテープを貼り、塗装がかからないようにします。このためテープを剥がした跡が残り、これをマスキング跡と呼んでいます。

ボカシ跡

板金塗装により、部分的な塗装をする際、もとの塗装と再塗装した個所との境目の色違いを目立さなくするため「ボカシ剤」を使用します。このボカシ剤を使用した跡は、塗膜が白く濁ったようになります。クォーターパネルを塗装した際に、クォーターピラーとルーフの境目に見受けられることが多くあります。

ウェザーストリップ

ドア等の開閉部の縁に、雨漏り防止のためにはめ込まれているゴム製のワク。または、ピラー等のインナー側とアウター側の接合部に被せられているワクを言います。