【専門家が解説】修復歴車・事故車とは?激安だけど安全?

 

【専門家が解説】修復歴車・事故車とは?激安だけど安全?

事故車というと一般的には「事故を起こして修理をした車」と認識されているケースが多いようです。しかし中古車市場では「事故車」ではなく、骨格部分が傷ついて修復した車を「修復歴車」と呼んで販売しています。この修復歴車、本当に買っても問題ないのでしょうか?この記事では、事故車(修復歴車)の安全性と注意点について車専門家の大岡氏に聞いていきます。

事故車と修復歴車の違い

初心者 岡村

初心者 岡村

中古車を探していたら「修復歴車」と書かれている車を見つけました。修復歴車ってどんな車のことですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

修復歴車とは「ボディの骨格部分に被害をうけて修理した車」なんです。ボディの骨格部分というのは、ボルトなどで外せないような場所にある車の骨組みのことで、普通の車ではほとんど見えません。骨格の部分が傷つけられてしまうと「修復歴あり」の車となります。

初心者 岡村

初心者 岡村

中古車について調べていると「事故車」という言葉も見つけたのですが、修復歴車と事故車はどう違うんですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

実は、中古車業界には「事故車」という言い方は存在しません。

初心者 岡村

初心者 岡村

そうなんですか!?修復歴車よりも事故車の方が馴染み深いように感じます。

じゃあ、骨格部分以外のところに傷がついて直した車は、何と呼ぶんですか?バンパーを変えたり、ボンネットを変えたり…

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

それは修復歴に入らないので、普通に「修復歴なし」と売れられます。骨格部分に傷がついているわけじゃなければ表示する義務もないんです。

初心者 岡村

初心者 岡村

じゃあ私たちが「事故車」だと思ってるものが、「修復歴車」なんですか?ややこしいですね…

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

ややこしいですよね。つまり、中古車業界では事故車という呼び方の車は存在せず、あるのはボディの骨格部分に傷がついて修理した修復歴車だけ、ということです。

CHECK!

厳密には、事故車の定義はない。車の骨格部分に傷が付き修理した車のことを「修復歴車」と呼ぶ。

修復歴の定義「車の骨格部位」とは

初心者 岡村

初心者 岡村

修復歴車の定義は、ボディの骨格部分に被害をうけて修理した車ということでしたが、そのボディの骨格部分って具体的にはどういう部分ですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

これは社団法人日本自動車査定協会によって定義されています。下図のような、普段は見えづらい部分です。

修復歴の定義「車の骨格部位」とは

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

イメージしやすいのは、車の屋根にあたるルーフや、ドアとドアの間にある柱のピラーだと思います。車によって形が若干異なるので、一概にこの通りではありませんが知っておくとよいでしょう。

初心者 岡村

初心者 岡村

たしかに、スライドドアが採用されたピラーレス構造の車もありますもんね。

修復歴の修理方法

初心者 岡村

初心者 岡村

修復歴車は普段見えない車の骨格部位を修理しているんですよね…イチから作り替えるような作業になりそうですが、どうやって車を修復しているんですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

簡単に説明すると、引っ張ったり伸ばしたりして骨格を直す「フレーム修正機」というものがあって、ミリ単位で修正できるそうです。自動車メーカーが出している寸法表にあわせて、その機械で直すから、ほぼ元通りになるみたいですね。当然、時間と手間とテクニックは必要になります。

初心者 岡村

初心者 岡村

すごいですね!

その機械を使う以外のやり方もあるんですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

以前、屋根を溶接した車を見たことがあります。凹んだ屋根を切り取って、新しい屋根を付け直すという方法です。

初心者 岡村

初心者 岡村

ツギハギのロボットのようなイメージですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

例えるとそんなかんじです。

修復歴車は要注意

初心者 岡村

初心者 岡村

骨格部位を損傷してしまうと大規模な修理が必要ということがわかりましたが、修復歴車って安全性に問題はないんですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

誰も試したことがないので、分からないっていうのが正直なところですが、問題ないとは言い切れません。

車の中の、人が乗る空間を「キャビン」と呼びますが、骨格はその「キャビン」を守るために存在しています。そのために、車の骨格部分ではいろいろな部品がうまく作用して衝撃を吸収し、キャビンが潰れないようにしているんです。

曲がったものをまっすぐにしたり、一回切って溶接したりしている骨格に、再び同じ衝撃が加わったとき、キャビンを守れるだけの衝撃を吸収できるかどうか…って怪しいと思いませんか?

初心者 岡村

初心者 岡村

たしかに不安です。

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

想像してみてほしいんですけど、針金を何度もぐりぐり曲げているとポキって折れるじゃないですか。あれと同じで、金属って何回か衝撃を受けると疲弊して弱くなっちゃうんですね。

そんなときにまた大きなエネルギーが加わっても、それを吸収できる保証がないんです。だから修復歴車って、非常にリスクが高い買い物なんですよ。

初心者 岡村

初心者 岡村

すごくわかりやすいです。ちなみに、どの部分の修復をしているととくにリスクが高くなりますか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

先ほども伝えたように、骨格部分っていうのはいろんな部分が作用しあって、車全体で「キャビン」を守っています。そのためどの部分が危ないとかではなくて、どこか1か所でも修復歴があると人が乗っている「キャビン」を守れなくなってしまうかもしれないって考えたほうが良いですね。

初心者 岡村

初心者 岡村

なるほど。

事故でぶつかってしまった以外に、無茶な運転をしたせいで、車の骨格部分を傷つけてしまう可能性はありますか?たとえば、すごいスピードを出して運転したあとに急ブレーキを踏んだ…とか。

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

ほとんどないと思います。

超例外ケースですが、サーキットなどで長時間走った車だと、ボディが歪んでいたりするケースもあります。

初心者 岡村

初心者 岡村

安全に運転していれば大丈夫ってことですね。

CHECK!

修復歴車は選ばないのがおすすめ。人間の骨にあたる車の骨格部分に衝撃を受けているため、同じような衝撃を受けたときに耐えられるとは言えないからである。

 

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修復歴車を見分ける方法

初心者 岡村

初心者 岡村

ところで、車のことがまったく分からない初心者でも修復歴車を見分ける方法ってありますか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

中古車販売店は修復歴車であるということを提示する義務があります。そのため、フロントウィンドウなどに置かれているプライスボードに表記されていますし、販売店の人に聞くと教えてくれますよ。

初心者 岡村

初心者 岡村

念には念をおして嘘をつかれていないか確認したい…!っていう場合はどうすればいいですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

セカンドオピニオンのような話になるかな…と思いますが、日本自動車査定協会が有料で第三者的な査定をしてくれるサービスがあるので、それを活用してみるとよいかもしれません。

初心者 岡村

初心者 岡村

中古車の購入に、一緒に付いて来てくれるんですか?

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

場所や状況次第では出張対応してくれるケースもあると思います。ただ、そこまで疑わなきゃいけない怪しいお店で購入するのは避けたほうが良いでしょうね。車は命を乗せているのだから、信頼できるお店で買うのがおすすめです。

初心者 岡村

初心者 岡村

たしかにそうです。

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

「修復歴車を販売していません、もし購入してから修復歴車だとわかったら契約の解除や交換などの対応をします」と明言している販売店を選ぶのも安心ですね。中古車のガリバーでも販売車両の修復歴の有無が公開されています。

ガリバーでの修復歴車の扱いについて

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専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

あとは修復歴について、質問してちゃんと答えてくれる店員さんから買うことが大切です。質問に誠意を持って答えてくれるお店で買ったほうがいいですね。

修復歴車を購入する際の注意点

初心者 岡村

初心者 岡村

最後に、修復歴車を購入する際の注意をお伺いしようと思ったのですが、今までのお話を踏まえると、修復歴車は安全性を保障できないから選ばないほうが良いってことですよね。

専門家 大岡氏

専門家 大岡氏

その通りです。今はインターネットが普及しているので、いくつかの中古車販売サイトを調べれば、自分がいいなと思っている車のだいたいの価格を知ることができますね。その感覚よりも極端に安かったりする車は注意しましょう。

たとえば年式と走行距離が見合わない、5年経過してるのに1,000キロしか走っていないとか。あとはなにより、信頼できる販売店を選ぶことです。

Supervised by 大岡 智彦

大岡 智彦

CORISM編集長。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。専門家の視点から、新車&中古車購入テクニックをわかりやすく解説します。クルマがほしいけど、どう選んだらわからない、維持費が気になるといった疑問を解決します!