修復歴のある中古車を購入しても大丈夫?メリット・デメリットとは?

修復歴のある中古車を購入しても大丈夫?メリット・デメリットとは?

修復歴のある中古車の特徴は、比較的低価格であることです。

しかし、修復歴のある車を購入しても安全性に問題ないのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

今回は修復歴のある車の定義、メリット・デメリットを中心に解説します。

また、実際に修復歴のある車を購入した方の体験談も紹介しますので、購入するかどうかの判断に役立ててください。

修復歴の定義とは?

修復歴とは、車の骨格に当たるフレーム部分を交換、もしくは修正・補修したものとされます。たとえば曲がり角で少しこすった程度であっても、フレームが損傷すれば「修復歴有」となります。

骨格部分は、主に溶接で結合されている部分のことで、ドアやフェンダー、ボンネットなど、ボルト留めされている部品の修理、交換は修復歴には含まれません。

日本自動車検査協会などが中心となって骨格部分の定義を定めており、以下の9つに分類されます。

 

・フロントクロスメンバー(フロントバンパーが付くベース部)

・ラジエターコアサポート(ラジエターを固定する部分)

・フロントインサイドパネル(エンジンを守るフレーム)

・フレーム(サイドメンバー)

・ダッシュパネル(ダッシュボードの接続部)

・ルームフロアパネル(床面)

・ピラー(支柱)

・ルーフパネル(屋根)

・トランクフロアパネル(座席とトランクの間の壁)

 

よく「修復歴車は事故車と同じ」と間違われますが、事故車は文字通り「事故を起こした車」のことで、損傷の程度に関係なく呼ばれます。

例えば、車をぶつけてボンネットやフェンダーを交換した場合は事故車となりますが、修復歴車とはなりません。

 

修復歴のある車のメリット

車を買う側からすれば修復歴車は敬遠されがちですが、修復歴車にもメリットは存在します。

一番のメリットは価格です。修復歴車には安い販売価格のものが多く、もちろん車種によって前後しますが、なかには修復歴のない中古車と比較して数十万円程安くなる車も存在します。

販売価格が安い理由は、走行性能に影響があるというより「修復歴=不良品」というイメージから、買い手がなかなかつかないことから、どうしても安くしないと売れないということです。

また、最近は修復技術が上がっており、業者のオークションに流通している修復歴車のほとんどが正常に運転することができます。

そのため、修復歴車を選ぶことで予算内でより高いグレードの車を選ぶこともできるでしょう。

修復歴のある車のデメリット4選

修復歴のある車はリスクも伴います。そこで、修復歴ありの車を選んだ際に考えられる4つのデメリットをご紹介します。

 

① 事故の影響が残っている可能性がある 

②衝撃安全性能が低下している

③ 売却時の査定額が低い

④事故による修復歴の内容が分からない

 

順に解説します。

①事故の影響が残っている可能性がある

いくらしっかり修理されたとはいえ、その修理が完璧に行われず、車のフレーム部分に影響が残ったままの場合もあります。

 

車の構造はモノコックといわれ、全体で支える構造になっています。そのため、一ヶ所に強い衝撃を受けると全体が歪んだり曲がったりする可能性があるのです。

モノコックには車の主要部品が取り付けられているため、当然その周りの部品の位置や調整が狂ってしまいます。

もし足回りに影響が出ていれば、一般道などの低速では違和感が出ないものの、高速道路を走るとまっすぐ走らなかったり、安定性に悪影響を及ぼしたりすることも考えられます。特に正面衝突やフロント部分をぶつけると、このような症状が発生する可能性があります。

さらに、車の主要部の修理はいくら修理業者でも難しいため、そのまま市場で販売されていることもあります。

それ以外にも、取り付け位置がズレることで部品がどこかに接触し、走行中の振動で異音が発生するかもしれません。この状態で乗り続けていると、どんどん悪化してしまうでしょう。

さらに金属同士の接触であれば振動によって徐々に削られていき、破損やオイルや燃料が漏れ出し、最悪の場合は車両火災に発展することもあります。

②衝撃安全性能が低下している

車の衝突安全性は、フレームが変形することでショックを吸収し、運転手を守るように設計されています。しかし、一度事故の衝撃を受けた車は、元々の車に比べて衝突安全性能が悪化している可能性があります。

なぜなら、金属は一度変形すると強度が弱くなるため、衝撃吸収の能力が大幅に低下してしまうからです。

そのため、衝突して曲がった部分を引っ張り修正し、一見もと通りに修復できたとしても衝突のショックに耐えきれる強度はありません。

また、ショックでフレームのどこかに小さな亀裂が入っていれば、再び受ける衝撃で大きく破損してしまう可能性があります。

修理業者でも衝突安全性まで直せるわけではありませんので、修復歴がある車を乗る際のリスクとして頭に入れておく必要があります。

③売却時の査定額が低い

修復歴ありの車はなかなか買い手がつかないため、購入するときは安く購入できますが、当然売却するときは買取金額が低くなります。また、お店によっては修復歴車を一切買い取らないところも存在するため、値段がつかないこともあります。

買取店で値段がつかない場合は、解体業者に依頼して分解して買い取ってもらうこともできますが、どんなに良くても通常の価格に比べて半額以下となります。

そのため、修復歴車を購入するときは乗り潰すことを前提に購入する方がいいでしょう。

④事故による修復歴の内容が分からない

事故によって修復歴がある車は販売時に告知義務がありますが、事故内容まで詳しく伝える必要はありません。

上記でも述べましたが、多少こすった程度でフレームに軽度な損傷があるだけの車や、反対にフロント部分が大破した車であっても同じ「修復歴車」とだけ記されます。

どちらの状態がいいのかは言うまでもないでしょう。

そのため、修復歴車を購入するときは自分で車をチェックしてダメージの大きさを確認する必要があります。

修復歴のある中古車は買わない方がいい?

修復歴がある車は、当然状態が悪い車も存在しますが、反対にお得な車があることも事実です。

では一体どのようにして見分ければいいのでしょうか?

修復歴の車を購入することで最も怖いリスクは、「ハンドル操作を担う足回りに影響が出ること」です。

損傷の程度は修復歴車によってさまざまであるため、左右を見比べて大きく差がないかどうかを確認し、購入可能か判断するといいでしょう。

具体的には、

・フェンダーとタイヤの隙間は5mm以内かどうか

・エンジンルームの左右差は中心から3mm以内かどうか

・ドアの隙間は上下左右対象かどうか

といった項目を確認し、中心からのズレが少ない車であれば、購入しても問題が発生するリスクが少ない「お得な修復歴車」であると考えられます。

ただし、これらは車に詳しい人でも確認することが難しい項目がありますので、難しいところ。

その場合は、損傷を受けた部分を販売員に聞き、

・フロント部分に事故歴がある車

・サイド部分に事故歴がある車

はできるだけ避けるようにしましょう。もちろん程度にもよりますが、走行に影響を及ぼす部品がダメージを受けている可能性が高いため、最悪の場合ハンドルから手を離すとまっすぐ走らない車も存在します。

修復歴のある中古車を購入した人の体験談

修復歴車はリスクがあるもののメリットもあり、購入して「成功した人」「失敗した人」に分かれます。

実際に修復歴がある車を購入した人は、購入後にどう感じているのかを詳しくご紹介します。

成功した人の体験談

実際に修復歴がある車を購入した人の声からは、下記のような声がありました。

「購入する前に店員にどこをどう修理したのかをきちんと聞いて、納得した上で購入。今も特に問題なく走行しているし、見た目も気に入っているので満足!」

「R32GT-R STDをベース車として購入。購入時走行14万キロくらいで、現在18万超え、修復歴有りを85万円で購入できました。異音もなく、問題なく乗れています。」

「店の人が丁寧に説明してくれたので、信頼して軽微な修復歴あり、走行12万キロ超、5MTの商用車アップを格安で購入しました。今の所はまったく問題ありません」

やはり格安で購入できたという声や、販売店の人が丁寧に説明してくれたから納得して購入できたという人が多いように見受けられます。

失敗した人の体験談

反対に修復歴がある車を購入して失敗した人の声を見てみましょう。

「購入後3ヶ月半の新車をディーラーに確認したら、フレーム修復歴ありとなった。気に入って購入したものの、なんだか縁起が悪いような気がして、車を見るたびに憂鬱な気持ちになります」

「安くて購入したものの、ミッションからの異音が直らず交換費用も高いため、結局そのまま走行しています」

修復歴があることを知らされず、後で気付いたという声が多いようです。また、主要部分の調子が悪いという声もあるため、購入前の確認がいかに重要なのかわかりますね。

修復歴のある車は慎重に判断しよう

修復歴のある車は安く購入できることが最大のメリットですが、反対にデメリットもたくさんあります。

そのため、購入を決める前にはいくつかのポイントを確認する必要があります。

修復歴があっても走行性能や安全面に影響しない車も存在しますので、体験談の情報なども参考にしながら購入するかどうか判断しましょう。

また実際に購入するときは、販売店で現車を確認することはもちろん、できれば試乗するなどの対策を行い、購入してもいいかどうか見極めることが大切です。

Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!