車の消耗品交換時期と費用の目安一覧-10年分を解説

車の消耗品交換時期と費用の目安一覧-10年分を解説

車は購入して納車されたところがゴールではありません。
その後の走行距離や年数に応じて、必要なメンテナンスや交換部品が発生します。
この記事では現役の整備士が、車の消耗品の交換時期と費用の目安について解説します。

車の消耗品交換時期と費用の目安

車の消耗品の交換時期は大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  • 年数によるもの
  • 走行距離によるもの

交換にかかる費用も、純正部品を使うのか社外品を使うのかで変わってきます。
ここで示す費用は、国産の軽自動車からコンパクトカー、中型車くらいまでの車を想定した価格で解説します。
一般的に車格が上がるにつれて、各消耗品交換にかかる部品代と工賃(費用)は、高くなる傾向にあります。

車の消耗品と交換時期の一覧

消耗品と交換時期の目安について以下の表をご確認してください。部品はものによって耐用年数に大きな違いがあります。また、セルフで交換が出来るものもありますが、安全面や技術的な観点から整備工場(プロ)に任せた方がよいものがあるので注意が必要です。

車の消耗品一覧と交換目安

※表に記載されている番号について

1:定期的に交換の確認が必要。安全面や技術的な面から整備工場での交換が望ましい。

2:定期的に交換の確認が必要。比較的、セルフで交換が可能であるもの。

3:使用品や利用状況によって耐用年数の違いが大きく見受けられるもの。安全面や技術的な面整備工場での交換が望ましい。

4:使用品や利用状況によって耐用年数の違いが大きく見受けられるもの。比較的、セルフで交換が可能であるもの。

こちらは一般的な目安です。交換の目安は車の使用状況や使用品によって異なります。不具合がある場合は、早めにかかりつけの車屋さんにご相談ください。

各消耗品についての交換時期や費用の目安については以下の各項目で解説をしてますので、参考にしてください。

バッテリーの交換時期

バッテリーの交換目安の時期は、おおむね3年前後です。
ただし、以下のような使用環境ですと交換目安の時期は1~2年です。

  • チョイ乗りが多い
  • 車にあまり乗らない
  • アイドリングストップ付きの車で年数に対して過走行している

このような使用環境で交換目安の時期が短い理由は、バッテリーへの負担が大きかったり、「充電量<放電量」となるためです。

また、アイドリングストップ機能が付いていない車で、頻繁にある程度の距離を一度で走る使い方をされている場合は5年、7年とバッテリーを使えることもあります。

バッテリーは自分で交換できる?
バッテリーの交換を自分で行うことはできます。ただし、3つほど注意しないといけない点があります。

1つ目のハードルは交換するバッテリーが適切なものか判断できるか否かです。バッテリーは様々な種類・サイズのバッテリーがあるため注意が必要です。

2つ目のハードルは、最近の車だとバッテリーの交換後に、コンピューターの学習や、ナビの各再設定などが必要となることが多いので、それらを把握した上で確実に実施できるかです。
車種によっては整備工場(ディーラー)にある診断機を接続しなければ、学習・設定やリセットをできない車もあります。

3つ目のハードルは、工具の使い方とバッテリー交換時のリスクを把握しているかです。

  • プラスとマイナスを逆に繋ぐ
  • バッテリーのプラス端子を工具などでアースにショートさせてしまう

上記のような手違いは、一歩間違えれば車両火災を引き起こす恐れがあります。
手順やリスクを理解できないのであれば、自分自身でバッテリーの交換はしないようにしてください。

・交換費用の目安-セルフの場合

自身で交換する場合は、バッテリー代のみです。

軽自動車であれば、安いものは数千円で購入できる車種もあります。

基本的には車格(ボディサイズや価格帯)が大きくなると、搭載されているバッテリーもサイズや容量が大きくなり、高額になる傾向にあります。

ネット通販で安く購入する場合でも、3〜4万円する車種もあります。

例:N-BOXの場合…「M42-R」約6,500円〜約21,000円

例:アルファード(アイドリングストップ付きの2.5Lガソリン)の場合…「S-95」約12,000円〜約54,000円

交換費用の目安-整備工場の場合

バッテリーの交換を整備工場に依頼するときの交換費用の目安は、廃棄費用も含めて一般的に1,000円〜となっています。

車種によって取付場所の違いや、交換前後に特殊な作業が必要ないこともあるので、その場合は工賃が高くなります。

エンジンオイルの交換時期

エンジンオイルの交換は、3,000〜5,000㎞、または半年〜1年ごとをおすすめとしている整備工場が多いです。

少数派ですが一部輸入車を中心に、長寿命タイプのエンジンオイルを採用している自動車メーカーもあります。

エンジンオイルは自分で交換できる?

最低限自分でエンジンオイルの交換ができる知識と技術がある場合はチャレンジしてみるのも良いかもしれません。必要な知識と技術は「エンジンオイルの適切な廃棄」と「使用するエンジンオイルの適切な選択と量の把握」があげられます。

しかし、少しでも不安な気持ちがある場合は、重大な整備ミスにつながるリスクが大きいので自分で交換しないのがベストです。

交換費用の目安-セルフの場合

セルフでエンジンオイルを交換する場合に必要なものは以下のとおりです。

  • 指定のエンジンオイル
  • 廃油受け
  • 適切な廃油処理のための用意
  • 工具

オイル交換の度に必要となるのは、エンジンオイルと廃油処理の用意です。
エンジンオイルはグレードやメーカーによって、かなり幅があるうえにエンジンによっては必要量も大きく異なります。
一般的には、3〜5Lほどのエンジンが多いです。
エンジンオイルは、1Lあたり300円〜400円のものから、5,000円以上するものもあります。
廃油処理用のボックスなどは「200円〜500円/1回分」で用意できます。
軽自動車であれば合計で1,500円程度〜交換することもできます。

交換費用の目安-整備工場の場合

整備工場に依頼する場合は工賃が発生します。500円〜2,000円くらいがボリュームゾーンです。

エンジンオイルフィルターの交換時期

オイルフィルターはエンジンオイル交換の2回に1回または、1万㎞ごとが目安の交換時期です。オイルフィルター単品で交換するようなことは基本的にはありません。交換する場合はエンジンオイル交換とセットです。

エンジンオイルフィルターは自分で交換できる?

オイルフィルターの交換に際してエンジンオイルがこぼれることも多いので、自分で交換できるとしてもあまりおすすめはしません。どうしても自分でチャレンジする場合は、こぼれてくるオイルの受け対策を万全にします。

また、オイルフィルターはエンジンや車種によって、装着場所が千差万別です。素人でも簡単にできる場所から、使う工具も選別する必要があって、プロでも億劫なほど交換に手間がかかる場合もあります。

交換費用の目安-セルフの場合

自分で交換する場合の目安は、オイルフィルターの部品代500円〜2,000円です。

交換費用の目安-整備工場の場合

オイルフィルターを交換する場合は、エンジンオイル交換費用に合わせて、500円〜3,000円ほどの追加工賃が発生します。部品代と工賃を合わせると1,000〜5,000円です。

ブレーキオイルの交換時期

ブレーキオイル(ブレーキフルード)の交換時期は、車検ごと(2年ごと)としていることが多いです。

・ブレーキオイルは自分で交換できる?

ブレーキは重要保安部品です。そのため、自分でチャレンジしてみようという安易な気持ちで整備することはやめましょう。

交換費用の目安-セルフの場合

正確な知識を有しているうえで、セルフでブレーキオイルを交換する場合は、ブレーキオイル代のみが必要となります。使用する量は0.5L〜1.0.Lが一般的です。金額は1,000円前後〜4,000円ほどです。

交換費用の目安-整備工場の場合

ブレーキオイルの交換費用の目安は4,000円〜7,000円ほどです。ただし、車種によっては交換前後に専用の診断機に接続する必要のものあり、その場合は交換工賃が高くなる傾向にあります。

ブレーキパッドの交換時期

ブレーキパッドの消耗スピードは、以下の要因により大きく異なります。

  • 車の重量
  • 車のブレーキ性能
  • ドライバーの運転のクセ
  • 普段の運転シチュエーション

同じ距離を走るとしても、高速道路ばかりなのか、アップダウンの激しい山道かで、ブレーキパッドの消耗スピードはまったく異なります。また、同じ車で同じ道路を走っていたとしても、ブレーキをよく踏むか否か(運転のクセ)で、消耗スピードが倍違ってることも珍しくありません。交換推奨時期は、残量が3mmを切ったくらいが目安です。新品は8〜13mmほどです。走行距離でいうと、5万㎞前後〜で交換時期を迎えることが多いでしょう。
10万㎞以上未交換でいけることもあります。

ブレーキパッドは自分で交換できる?

ブレーキパッドの交換は、特定整備(従来の分解整備)と呼ばれる整備にあたることがほとんどです。特定整備は、整備工場において整備主任者によるチェックが必要な、安全に関わる非常に重要な整備です。自分でブレーキパッドを交換することはおすすめしません。

・交換費用の目安-整備工場の場合

交換費用は部品代と工賃を合わせて、1万円〜3万円と考えておきましょう。車種によって大きく異なりますが、工賃は4,000〜12,000円程度です。ブレーキパッドはさらに性能やメーカーによって、部品価格にはかなり幅があります。2,000円〜15,000円あたりがボリュームゾーンです。ここで解説している交換費用は、前輪のみ又は後輪のみの費用です。

ラジエーター液(エンジン冷却水)の交換時期

ラジエーター液(LLC)は車検ごと(2年)の交換を推奨しています。ただし、いまの国産車は長寿命タイプが一般的です。車の平均所有年数が約7年ですが、新車で購入すればその間に交換することはない程度に長寿命化されています。国産の主要乗用車メーカーの新車で使用されているLLCの交換目安時期についてまとめました。

  • トヨタ…7年または16万㎞
  • 日産…7年または16万㎞
  • ホンダ…11年または20万㎞
  • マツダ…9年または18万㎞
  • スバル…11年または22万㎞

ラジエーター液は自分で交換できる?

LLCの交換には専門知識やコツが必要なこともあるので、自分で交換することはおすすめしません。まず、ラジエーター液(LLC)は産業廃棄物ですので、一般家庭の排水口や道路の溝に廃棄することはNGです。また、LLCを入れ替えた時に通路内に空気を含むので、エア抜きの作業が必要となります。エア抜きをしないまま走行をするとオーバーヒートにつながることがあります。

交換費用の目安-整備工場の場合

ラジエーター液(LLC)の交換費用の目安は「工賃+LLC代」で4,000〜15,000円程度です。LLCの交換量はエンジンによって変わってきます。また使用するLLCが、希釈するタイプかそのまま使用するタイプによっても、LLCの使用量が異なります。そのため、交換費用に違いがでるので注意しましょう。希釈なしの場合で、おおむね3〜8Lほどの使用量で考えておきましょう。

エアクリーナーの交換時期

エアクリーナーの交換時期は3〜4万㎞ごとです。基本的にはある一定以上汚れたら交換がおすすめなので、使用環境により前後はあります。

エアクリーナーは自分で交換できる?

エアクリーナーは、車種・エンジンによって搭載場所や脱着方法は千差万別です。しかし、エンジンルームを開けると目視できる場所に位置してることが多く、工具が不要なこともあるので、自分でエアクリーナーの交換をすることのハードルは高くないです。

交換費用の目安-セルフの場合

部品代だけだと1,000円〜5,000円です。

交換費用の目安-整備工場の場合

工賃は1,000円〜4,000円です。

ワイパーブレード・ゴムの交換時期

ワイパーブレード・ゴムは1年ごとの交換を推奨している整備工場が多いです。しかし、基本的には拭き取りが悪くなってきたと感じてから、もしくはゴムが劣化で切れてきてからの交換でも十分です。

ワイパーブレード・ゴムは自分で交換できる?

自分で交換することは可能です。比較的、自動車整備の中では簡単な部類です。ただ整備士である私が仕事をしていると、ワイパーゴムの交換を正確にできずに相談を受けることもあります。車両に合ったワイパーゴム・ブレードの選択をすることと、簡単な整備と甘く見ずに交換方法は事前に調べるようにしましょう。

また、交換時にワイパーアームを誤って勢いよくフロントガラスに当ててしまうと、ガラスを割ってしまうリスクがあります。そうならないように、タオルなどでもしもの時に備えて保護することが重要です。

交換費用の目安-セルフの場合

安いゴムだとフロント2本で1,000円以内で収まることもあります。撥水仕様ワイパーなどになると、2本で2,000〜3,000円です。ワイパーブレードごとだと、2本で1,000円〜5,000円ほどです。

交換費用の目安-整備工場の場合

ワイパーの交換工賃は500円〜2,000円ほどです。

スパークプラグの交換時期

スパークプラグはガソリンエンジンについており、ディーゼルエンジンにはついていません。スパークプラグは種類によって交換の目安時期が異なります。

  • ノーマルプラグ…2万㎞
  • 片貴金属プラグ…2万㎞
  • 両貴金属プラグ…8〜10万㎞

貴金属プラグはイリジウムプラグ・白金プラグと呼ばれ、長寿命タイプの代名詞です。片貴金属タイプはノーマルタイプと交換時期はほぼ同等です。

また、軽自動車は乗用車と比べると寿命が短くなる傾向にあります。そのため上記の半分の距離を交換時期の目安にします。

スパークプラグは自分で交換できる?

車を整備する知識があり、軽自動車に搭載されているエンジンのようなレイアウトであれば、自分で交換することは可能です。しかし、エンジンの種類によって交換の難易度が大きく異なります。気を付ける点は、締め付ける際のトルク管理と交換するスパークプラグの正しい選択です。オーバートルクで締めてしまったり、間違ったスパークプラグを取り付けると、エンジンを損傷させてしまうこともあるので注意が必要です。

交換費用の目安-セルフの場合

スパークプラグは1本、500円〜2,500円です。例外もありますが、エンジンの気筒数分必要です。国産車だと3〜4気筒、6気筒が現在は一般的です。

交換費用の目安-整備工場の場合

スパークプラグの交換工賃は1台あたり1,500円〜15,000円前後と幅があります。また、V型エンジンは高額になる傾向にあります。工賃に幅がある要因はスパークプラグへのアクセスのしやすさによるものです。交換はエンジンルームを開けてすぐにできるものから、さまざまな部品を外す必要のあるものまであります。

車の消耗品交換は走行距離4万㎞超から特に注意

車には多くの定期的に交換が必要な消耗部品があります。これらは走行距離が4万㎞を超えたあたりから、交換時期を迎えるものが多いです。交換時期を迎えた消耗品を放置したままでいると、ほかの部品に悪影響を及ぼしたり、交換タイミングが重なり高額な整備費用が必要となることもあります。そうならないためにも、日々の定期点検やメンテナンスが車を健康に保つためには大切です。

一方で、メンテ不良や年式が古くなり、なおかつ走行距離も増えたことによって部品の交換が重なるようであれば、思い切って車の乗り換えを検討するのもよいでしょう。

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消耗品の交換は車検時に行われるものもあります。noricoでは車検時のとき気になる部品交換についての記事を発信しています。車検の時期が近づいてきているという方は是非参考にしてみてください。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。