「何とか外車購入に手が届きそう」というときに気になるのが、高いといわれる維持費。ここでは税金、保険料、修理費用、車検代、ガソリン代などの項目別に、外車の維持費について解説しています。
また「外車は故障しやすい」というイメージについての検証を行った上で、維持費を抑えるための購入方法をご紹介します。
外車(輸入車)の維持費の内訳
ここでは、外車を持つ場合にどのような維持費がかかるのかをご紹介します。
税金(自動車税・重量税)
自動車税と自動車重量税は、国産車・外車に関係なく同じ基準で課されます。
自動車税
自動車税は排気量を基準に課税額が設定されており、毎年5月頃に一年分を納めます。
現在の税額は以下の通りです。
排気量(cc) | ~1,000 | 1,001~1,500 | 1,501~2,000 | 2,001~2,500 | 2,501~3,000 |
税額(円) | 25,000 | 30,500 | 36,000 | 43,500 | 50,000 |
排気量(cc) | 3,001~3,500 | 3,501~4,000 | 4,001~4,500 | 4,501~6,000 | 6,001~ |
税額(円) | 57,000 | 65,500 | 75,500 | 87,000 | 110,000 |
※2019年10月以降にクルマを購入した場合
※初度登録から11年経過したディーゼル車及び13年経過したガソリン車・LPガス車には重課制度あり
外車と聞くと、大型車や高級車をイメージする人が多く、それに比例して自動車税が高いと思われがちです。しかし外車の中には排気量の小さな車もあり、外車だからといって一概に自動車税が高いとはいえません。
自動車重量税
自動車重量税は、車両重量によって税額が決められています。車重が重いほど課税額も高いです。新車購入時と車検時に納税します。
継続車検時(2年ごと)の税額を以下に一部抜粋でご紹介します。
重量(kg) | 501~1,000 | 1,000~1,500 | 1,500~2,000 | 2,000~2,500 | 2,500~3,000 |
税額(円) | 16,400 | 24,600 | 32,800 | 41,000 | 49,200 |
※エコカー減税対象外の場合
※初度登録から13・18年経過した車両には重課制度あり
自動車重量税も外車だから高いということはなく、国産車と同じ税額が課されます。外車だからといって特別に車両重量が重いという訳でもありません。
なおエコカーに対しては、「エコカー減税」による税制優遇があります。対象車両は、初度登録時や初回継続車検時に重量税の減免措置を受けられます。
保険料(自賠責保険と任意保険)
自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があります。自賠責保険はクルマの使用者が必ず加入しなければいけない保険であり、「強制保険」ともいわれます。
自賠責保険
自賠責保険料は国産車・外車の区別なく、期間によって保険料が定められています。
2023年4月以降の自賠責保険料は以下の通りです。(本土用)
2023年4月~ |
12ヶ月 | 13ヶ月 | 24ヶ月 | 25ヶ月 | 36ヶ月 | 37ヶ月 |
普通車 | 11,500 | 12,010 | 17,650 | 18,160 | 23,690 | 24,190 |
軽自動車 | 11,440 | 11,950 | 17,540 | 18.040 | 23,520 | 24,010 |
任意保険料
任意保険はクルマの使用者が自分で加入する保険です。
保険料を決定する要素の1つに「車両料率クラス」というものがあります。これは全国における事故データをもとに、各車種(型式ごと)の事故リスクの高さを数値化したものです。数の大きさに比例してリスクが高いと判断され、保険料も高くなります。
外車の場合、車両料率クラスは高く設定される傾向があります。国産車に比べて、外車は事故で故障した場合の修理費が高くなりやすいからです。
ただし外車でも、ミニクーパーやゴルフといったコンパクトカーはそれほどスピードが出ず、危険な運転をする人が少ないので、車両料率クラスも低く設定されています。一方で、外車の中でもスポーツカーや高級車の車両料率クラスは高く設定されています。
修理・メンテナンス代金
外車は国産車よりも修理・メンテナンス費用が高くなりがちです。場合によっては国産車の2~3倍の金額がかかることもあります。
外車の場合、修理・メンテナンスに必要な部品を海外から取り寄せなければいけないことが多く、部品代に輸送費が含まれます。そのため修理・メンテナンス費用が高くなりやすいです。
また最近のクルマにはオートクルーズやシートヒーターといった先進機能が搭載されています。これらには電気系統パーツが欠かせませんが、外車のパーツは日本の高温多湿な環境に耐えるよう製造されていません。そのため日本で外車に乗ると、修理やメンテナンスの回数が多くなりがちです。
車検代
車検代には法定費用と整備費用が含まれます。法定費用には自動車重量税と自賠責保険料が含まれており、これらの費用は国産車と外車で変わりません。
整備費用には、部品を交換する際に発生する部品代、工賃が含まれます。前述のように外車の部品代や工賃は国産車より高いです。そのため総合的に考えると、国産車より外車のほうが車検代は高くなります。
ガソリン代
ガソリン代は、ガソリンの種類と燃費性能で費用が変わります。外車はハイオク指定のクルマが多いため、ガソリン代がレギュラーガソリンより10円/Lほど高くなるのが一般的です。
燃費性能も、外車は国産車より劣る場合がほとんどです。国産車の燃費性能は「世界で一番」といわれるほど高性能。そのため外車は国産車よりガソリン代がかかりやすいです。
ただしフィアットやミニクーパーなどのコンパクトカーであれば燃費が良いため、ガソリン代を抑えやすいでしょう。
外車は故障しやすいって本当?
「外車は故障しやすい」という話をときどき耳にしますが、実際のところ外車は本当に故障しやすいのでしょうか?
故障しやすいか否かは、意見がさまざま
実際のところ「外車は故障しやすい」という人もいれば、「外車は故障しづらい」という人もおり、意見が分かれています。
外車の中でもドイツ車は、定期的なメンテナンスをしながら「長く1台に乗る」という文化があります。そのためエンジンなどの重要部分は、国産車よりも壊れにくいともいわれます。
ただし全体でみると、やはり外車の方が、故障が多いことに変わりありません。同じ外車でもメーカーや車種によって故障のしやすさが異なる可能性も高いです。
メンテナンスや部品交換の頻度が多め
今では国産車・外車ともに、新型モデルが登場するたびクルマに最先端機能が多く備えられています。
前述のように、外車は日本と欧米の気候の違いが要因で故障を起こす可能性も高いです。まだまだ電気系統の弱さは払拭されておらず、「パワーウインドウが動かない」「サンルーフが作動しない」「エアコンが効かない」といったトラブルが起きることもあります。
このように、外車は部品交換などが多くなりがちだと知っておきましょう。
外車の維持費を抑える方法
ここからは、外車の維持費を抑えるためのポイントやクルマの選び方をご紹介します。
維持費の安い(排気量が小さい)車種を選ぶ
外車の維持費を抑える方法として、維持費の安い車種を選ぶ方法があります。
特におすすめなのは、排気量の小さい外車を選ぶことです。排気量が小さいと自動車税が安くなります。また排気量の小さなクルマは車重が軽いことも多く、車両料率クラスも比較的低いことが多いです。
排気量の小さいクルマ以外に、エコカー減税対象車を選ぶと、自動車重量税が安くなります。
メンテナンスパックや保証サービスを利用する
外車のメーカーによっては、一定期間内であれば車のメンテナンスや修理を無料で受けられる保証サービスを設定しています。
保証サービスプランを受けるには料金がかかりますが、メンテナンスや修理の度に費用を請求されることもありません。長いスパンで考えると、保証サービスを受けた方が安く済む場合も多いです。
中古で外車を購入するときも、中古車販売店によって独自のメンテナンスパックや保証設定をされている場合があります。事前に相談してみてください。
メーカー保証がないなら民間の整備工場を利用
メーカーに保証サービスがなければ、民間の自動車整備工場を利用するといいでしょう。
ディーラーで修理・メンテナンスを受けると費用が高くなりやすいです。また民間の自動車整備工場では、新品部品だけではなく、中古品やリビルト品を使って修理してくれることも可能です。事前に整備士と相談して決めましょう。
車検代を抑えるならユーザー車検の選択肢も
車検もディーラーや車検の専門業者に依頼すると、費用が高くなります。運輸支局などに愛車を持ち込んでユーザー車検を受ければ、車検代を安く抑えられます。
ただしユーザー車検は平日の日中に自分でクルマを持ち込まなければいけません。また普段のメンテナンスをきちんとしていないと、車検に合格しない可能性が出てきます。
外車購入前は維持費の情報収集を
ここまでご紹介したように、外車は国産車と比較すると維持費が高くなりがちです。気候の違いなどからメンテナンスの頻度も多くなりやすいことも、特徴として知っておきましょう。
ただし外車には、デザイン性の美しさや走行性能の高さなど、国産車にない魅力もあります。維持費の安い車種を選んだり、保証サービスやメンテナンスパックを選んだりして維持費を抑え、外車ライフを楽しみましょう。
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- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!