車のメンテナンスや作業の際に「脱脂」をおこなう場面があります。
脱脂には「シリコンオフ」と呼ばれるエアゾール溶剤を使うことが一般的です。
しかし、似たようなケミカル用品で「パーツクリーナー」があります。
これらの違いや用途、代用できるものがあるのか？また、おすすめの商品についても解説します。
車を脱脂するのはどんな時？
車を脱脂する場面は以下のような時です。
- ボディに塗装をする
- ボディにステッカーを貼る ボディにエアロ等を装着する
- ボディコーティング施工の下地処理
これらはいずれもボディの表面に何かを施工、または両面テープを使用して取り付けるときです。
ボディを脱脂することで、塗料やコーティング剤のボディへの密着力を高めます。
また、ステッカーやエアロを取り付けるための両面テープの密着力を高めて剥がれにくくする効果が期待できます。
パーツクリーナーとシリコンオフの違い
パーツクリーナーとシリコンオフはどちらも同じように脱脂に使えると思われがちですが、パーツクリーナーはあくまで「油分の洗浄」、シリコンオフは「油分の除去」という明確な目的の違いがあります。
パーツクリーナーは油分の洗浄
パーツクリーナーは洗浄剤です。主に金属製パーツ、機械部品の「洗浄」に使用します。
パーツクリーナーの中にはゴム、プラスチック製品に対しての使用はダメージを与えたり変色を伴うことから、推奨していない商品もあります。（例:白ボケするなど）
一方で、一部のゴム製品等には問題なく使用できるものもあるので、商品ごとの用途や使用上の注意をよく読んで、購入するようにしましょう。
シリコンオフは油分の除去
シリコンオフは油分の「除去」を目的とするものです。車で使用するときはコーティングや塗装、パーツ取り付け前の下地を作るために使用します。
ボディ表面に油分が存在すると、コーティングや塗料の密着が悪くなり、施工クオリティが低下し、仕上がりにムラができてしまいます。
両面テープで貼り付けるパーツは、時間の経過と共に剥がれてしまう要因にもなります。
油分を除去する（脱脂する）ためには、あくまで油分の洗浄を目的とするパーツクリーナーでは不十分です。
車の脱脂に代用品はある？
車の脱脂作業に際して、家庭にあるものでシリコンオフの代用品となるようなものがあります。
家庭にもあるシリコンオフの代用品
以下はシリコンオフの代わりに使えるものの一例です。
- ホワイトガソリン
- 食器用洗剤
- 消毒用アルコール
- 無水エタノール
- 除光液
- シンナー
身の回りには意外とシリコンオフの代わりに使えるものがあります。
純正エアロパーツの取り付けで脱脂が必要な際に、取付要領書にも「ホワイトガソリン等を使用して脱脂をおこなう」と記載があるほどで、ホワイトガソリン自体はアウトドアが趣味の方には非常に身近なものです。
他の代用品もそれぞれに、油汚れを落としたり油分を分解する成分が含まれていることから、シリコンオフの代用ができます。
代用品は自己責任で
ただし、本来は別の目的で使うものを代用しているので、車の作業に使うために販売されているシリコンオフと比べると油分除去の効果が弱いなどのデメリットや、使う場所によってはパーツを傷めるリスクもあることを理解しておきましょう。あくまで代用品の使用は自己責任となります。
心配な方は商品の価格も決して高くないので、シリコンオフを使用して脱脂作業をおこないましょう。
【シーン別】車の脱脂剤おすすめ3選
使用するシーン毎に分けたうえで、厳選したおすすめの脱脂剤を3つご紹介します。
- プロも使用する万能タイプの脱脂剤
- 気軽に使えるシートタイプの脱脂剤
- コーティング施工前に使うシャンプータイプの脱脂剤
塗装やパーツの取付けに絶大な信頼感
SOFT99のシリコンオフは、カー用品店やホームセンターなど身近な場所でも販売されています。
みんなの知ってるシリコンオフといえば、これ！…というほど多くの人に選ばれている脱脂剤です。
わたし自身も整備の仕事でこのシリコンオフを使っていますが、両面テープの密着力も高まり、非常に信頼して使用している商品です。
樹脂部品にも安心！かつ少量で必要十分という方に
この脱脂剤は慣れない人にも使いやすいシートタイプなのが特徴です。
先ほどご紹介した同じソフト99のシリコンオフと異なる点は、エアゾールタイプとシートタイプの違いだけではなく、脱脂剤としての主成分も異なります。
この商品の主成分はアルコールで、先ほどのエアゾールタイプの方は石油系溶剤です。
油分除去の性能としては多少劣るところはありますが、必要十分で扱いやすく手軽に使えます。
使い切れる容量で頻繁に脱脂剤を必要としない方にもおすすめです。
ボディコーティング前に必須の脱脂シャンプー
ボディコーティング施工時、コーティング剤とボディの密着力を高めるためにも、下地作りのひとつである脱脂作業は非常に重要です。
こちらの脱脂シャンプーは濃度を変えることで、用途に応じた使い方が可能です。
濃度を濃くすると、虫汚れやピッチタールといった頑固な汚れも除去でき、これ一本でコーティングの下地作りができることを謳っています。
一方で濃度を薄くして使うと、施工済みのコーティングを除去しない程度の洗車や、窓ガラスの清掃等にも使うことができる万能タイプの脱脂シャンプーです。
整備士のまとめ
パーツクリーナーがシリコンオフの代わりに使えるようなシチュエーションも0ではありませんが、あくまで洗浄が目的なので完全に油分を除去するには不十分です。
脱脂が必要な作業において完成クオリティを求める場合には、シチュエーションに合った脱脂を目的とした商品を使うのがベストです。
また脱脂剤を使うときは、それを拭き取るクロスやウエスにも油分が付着していないか注意しておきましょう。
【関連記事】
- Supervised by 整備士 ヒロ
-
保有資格：２級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。
