ミニ カントリーマンSE ALL4に試乗!乗ると笑顔になるBEV?!

ミニ カントリーマンSE ALL4の全景の画像

MINI(ミニ) カントリーマンのガソリン車が2023年11月に発売された。従来のミニ クロスオーバーから、グローバルで使用されている車名に変更されたものだ。「クロスオーバー」時代を含め、第3世代になった。

 

2024年3月1日にはカントリーマンのラインナップにBEV(バッテリー電気自動車)の「E」「SE ALL4」が追加された。

今回はミニ カントリーマンSE ALL4の走行性能や乗り心地について試乗を通して評価した。

カントリーマンは多彩なパワーユニットを誇る

ミニとBMWのコンパクトカーは、年々、その関係が強化されている。プラットフォームを含む多くの部品でBMW X1やX2などと共通化されている。素晴らしいのは、ミニとBMWそれぞれのブランドらしさを十分に生かし、まったく違ったクルマに仕上げていること。今回試乗した新型ミニ カントリーマンも同様だ。

 

また、BMWはBEV(バッテリー電気自動車)に積極的で、急速に車種を増やしている。この要因のひとつが、内燃機関車との共通化だ。プラットフォームなどを内燃機関車と共通化し、コストを抑えながらBEV車種を増やしているのだ。ザックリ言えば、ボンネットの中にあるのがエンジンなのか、モーターなのかの違いということになる。

 

新型ミニ カントリーマンは多彩なパワーユニットをもつ。

ガソリン車は以下の4タイプを設定。

  • 1.5L直3ターボ
  • 2.0L直4ターボ(2タイプ)
  • 2.0L直4ディーゼルターボ

さらに、BEVのシングルモーター(前輪駆動)とツインモーター(4WD)の2タイプが加わる。輸入車でこれだけ多くのパワーユニットを日本マーケットに導入するモデルは数少ない。

カントリーマンはミニなのに大きい!

ミニ カントリーマンSE ALL4の後景の画像

今回、試乗したのはBEVでツインモーター(4WD)の新型ミニ カントリーマンSE ALL4だ。

ミニ カントリーマンSE ALL4のフロントフェイスの画像

新型カントリーマンSE ALL4は、ひと目見るなり「ミニなのにデカっ」と感じる大きさだ。全長は4,445mmとCセグメントのサイズ。だが、全幅は1,845mmとかなりワイドだ。全高はやや高めの1,640mm。

ミニ カントリーマンSE ALL4のリヤエンドの画像

国産CセグメントSUVの人気モデルであるカローラクロスと比べると、新型カントリーマンは全長以外ちょっと大きいくらいだ(全長は45mm小さく、全幅は20mm大きく、全高は20mm高い)。

 

なのに、何故かかなり大きく見えた。その理由は、きっとデザインだろう。小さな窓に対して、大きくスクエアなドア、角度を立てたAピラーとCピラーなど、大きく見せるデザイン要素が詰まっている。

カントリーマンの内装はユニークで洗練されたデザイン

ミニ カントリーマンSE ALL4の内装:インパネデザインの画像

インテリアデザインは、他のミニと共通している。ステアリング奥にメーターパネルが無く、ヘッドアップディスプレイとセンターコンソール上部に設置された大径丸形メーターに各種情報が表示される斬新なデザインだ。

ミニ カントリーマンSE ALL4のメーターの画像

この大径丸形メーターは、なんと直径240mmもある。世界初となる円形のOLED(有機EL)タッチスクリーンで、美しいグラフィックが表示される。全体的にミニマルなデザインが特徴で、ミニらしい個性を感じた。

 

大径の円形モニターの下に集約されているスイッチ類の操作には、少し慣れが必要だった。ミニ伝統のトグルスイッチで、エンジンスタータースイッチ、シフトノブなどが並ぶ。各スイッチ類は、それぞれかなり小さい。とくに、シフトノブは慣れが必要で、バックするときなど慌てて操作すると間違えそうな印象が強かった。慣れれば問題は無いとは思うが、年配者が使うことを考えると、全体的にもう少し大きくし、レバーのストロークも大きい方が使いやすいと感じた。

ミニ カントリーマンSE ALL4の内装:運転席の画像

ミニ カントリーマンSE ALL4の内装:後席の画像

色使いは斬新だ。グラデーション塗装されたドアパネルは、なかなかユニーク。さらに、オプションのべスキンダーク・ぺトロールというシート生地のカラーも洗練されている。こうした色使いができるモデルは数少ない。

ミニ カントリーマンSE ALL4の荷室の画像

静粛性が高く、パワフルでスムースな走りのカントリーマン

ミニ カントリーマンSE ALL4のエンジンルームの画像

新型カントリーマンSE ALL4は、BMWのX1やX2と共通のプラットフォームやパワーユニットを使っている。

新型カントリーマンSE ALL4はBEVなので、BMW iX1と基本的に同じ。以下のスペックもiX1と同じだ。

  • ツインモーター4WDのシステムトータル最高出力:225kW(306㎰)
  • ツインモーター4WDのシステムトータル最大トルク:494Nm(4㎏-m)
  • 駆動用リチウムイオンバッテリーの容量:5kWh

新型カントリーマンSE ALL4は、コンパクトSUVながら車重は2,020㎏と重い。しかし、アクセルをグッと踏み込むと弾けるような瞬発力で加速する。しかも静粛性が高く、とてもスムース。いいクルマに乗っている、と実感できる瞬間だ。

この瞬発力は、システム最大トルク494Nmという大トルクと、瞬時に最大トルクを発揮するモーターの特性の恩恵だ。

また、カントリーマンSE ALL4の一充電走行距離(WLTCモード)は451kmだ。車重が重いながらバッテリー容量が大きいため、実用的な一充電走行距離となっている。

BMWのBEVと同様、コースティングの上手さが光る!

新型カントリーマンSE ALL4の制御もBMW iX1とほぼ同じ印象で、高速道路などではコースティングの上手さが光る。

多くのBEVが軽い回生ブレーキを発生させ、ガソリン車のエンジンブレーキ感を与えているのに対し、新型カントリーマンSE ALL4は徹底したコースティング走行だ。アクセルオフであまり減速しないので、慣れないと前方車両との車間距離がすぐに縮まり慌ててブレーキを踏むことが多くなる。

だが、新型カントリーマンSE ALL4には車間が詰まると自動で回生ブレーキを強めてくれる機能がある。全車速追従式クルーズコントロールの一部機能をオンにすることで、自動で適切な車間を維持してくれるのだ。この機能は、一般道でも使える。

ミニ カントリーマンSE ALL4の給電口の画像

新型カントリーマンSE ALL4は、こうしたコースティングの上手さで電費を稼いでいる。一般的にBEVは、速度が上がれば上がるほど電費が悪くなる傾向にあるのだが、新型カントリーマンSE ALL4は、一般道より高速道路の方が電費がよい傾向になるのだ。試乗時間は短かったが、高速道路を80~100km/hで流して走っていた状態で7km/kWh前後の優秀な電費値を記録した。

SE ALL4は最低地上高に注意!

新型カントリーマンで「SE ALL4」を選ぶ際に少し注意したいのが最低地上高だ。

カントリーマンの内燃機関モデルの最低地上高はJCWを除き202mmとなっている。この数値から高い悪路走破性を予感させる。

対して、新型カントリーマン SE ALL4の最低地上高は171mmとなっている。内燃機関モデルとの差は大きめだ。これは床下に駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載している影響によるものだ。

 

最低地上高が170mmであっても、ラフロードや圧雪路などで十分なレベルにある。だが、ハードな悪路と言われるレベルになると、もう少し最低地上高の高さが欲しいところだ。

カントリーマンSE ALL4は硬めな乗り心地

新型カントリーマンSE ALL4のハンドリングと乗り心地には驚いた。BMW iX1と同じプラットフォームやパワーユニットを使っていても、乗るとまったく別モノだった。iX1もやや硬めの乗り心地でスポーティさを演出。しかし、新型カントリーマンSE ALL4の乗り心地は、とにかく硬い。一般道で大きな凹凸を通過すると、ドン、ドンと体が揺さぶられる。iX1の硬めの乗り心地が、むしろソフトに感じるほどだ。

 

ところが、高速道路に乗ると印象が少し変わる。とにかく硬かったサスペンションは、少ししなやかさを増してきて、全高の高いSUVながらフラットな姿勢を維持。ビシッと高い速度でも安定感ある走りを披露した。それでも乗り心地は硬めであることに変化は無いが、尖った突き上げ感は無い。

 

そして、いかにもMINIブランドのモデルであることをアピールするのがハンドリングだ。キレッキレのシャープなハンドリングは、SUVであってもゴーカートのようだ。キュンキュンと、とにかくよく曲がる。しかも、とにかく硬めのサスペンションとの相乗効果で、車体が大きく傾くこともほとんどなく、カーブでもフラットライドだ。

 

新型カントリーマンSE ALL4はBEVなので、フロアに大きく重いリチウムイオンバッテリーを搭載している。重心高が低いため、内燃機関車と比べるとよりカーブでの安定感も増している。

走れば走るほど「なんかいい」スポーティーなSUV

ステアリングを切ると、シュッと向きを変え、イメージした走行ラインにピタッと乗り、路面に張り付くようにカーブを抜ける。SUVなのに、何故こんなにスポーティなのかと一瞬思ったのだが、それことがMINIブランドのモデルであることの証なのだ。

 

正直、試乗直後は「乗り心地が・・・」というセリフと共に、ちょっと渋い顔をして話をしていた。しかし、試乗時間が長くなるにつれて徐々に笑顔に変わり、最後は同乗スタッフと共に「新型カントリーマンSE ALL4最高!」となってしまった。個性的で洗練された内外装含め、新型カントリーマンSE ALL4は、オーナーを毎日笑顔にしてくるクルマだ。

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ミニ カントリーマン価格

COUNTRYMAN C(ガソリン)

4,930,000円

COUNTRYMAN D(ディーゼル)

5,130,000円

COUNTRYMAN S ALL4(ガソリン)

5,660,000円

JOHN COOPER WORKS COUNTRYMAN ALL4(ガソリン)

6,670,000円

COUNTRYMAN E(BEV)

5,930,000円

COUNTRYMAN SE ALL4(BEV) 

6,620,000円

ミニ カントリーマン(BEV)電費、航続距離、ボディサイズなどスペック

代表グレード

カントリーマン SE ALL4

全長×全幅×全高

4,445mm×1,845mm×1,640mm

ホイールベース

2,690mm

最低地上高

171mm

車両重量

2,020kg

荷室容量

460L

モーター型式(前/後)

HB0001N0/HB0002N0

フロントモーター最高出力

140kW(190㎰)/8,000rpm

リヤモーター最高出力

140kW(190㎰)/8,000rpm

フロントモーター最大トルク

247Nm(25.2㎏-m)/0-4,900rpm

リヤモーター最大トルク

247Nm(25.2㎏-m)/0-4,900rpm

システムトータル最高出力

225kW(306㎰)

システムトータル最大トルク

494Nm(50.4㎏-m)

一充電走行距離(WLTCモード)

451km

バッテリー容量

66.5kWh

電費(一充電走行距離÷バッテリー容量)

約6.8km/kWh

電力用主電池

リチウムイオンバッテリー

駆動方式

4輪駆動

サスペンション

前:ストラット、後:マルチリンク式

タイヤサイズ

225/55R18

最小回転半径

5.5m

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員