ホンダ アコード vs トヨタ クラウンクロスオーバー徹底比較!国産ミドルセダンを買うならどっち?

ホンダ アコードvsトヨタクラウンクロスオーバー徹底比較!国産ミドルセダンを買うならどっち?

SUV人気が加速する一方、セダンの存在感は急速に薄れている。とはいえ、フォーマルなセダンは無くならないカテゴリーだ。

今回は、国産セダンの2車種を徹底比較する。1車種目はトヨタ クラウンクロスオーバーだ。SUVとクロスオーバーし再び注目を集め、復活を遂げている。対するホンダ アコードは北米マーケットを主戦場とした定番セダンだ。どちらも全長5m弱のラージクラスだが、キャラクターは大きく異なる。

当記事では、この2車種を比較しつつ、セダンの魅力もお伝えする。

ホンダ 11代目アコード(CY2型) の特徴

11代目アコード(CY2型)の全景

※上図:11代目アコード(CY2型)の全景

11代目にあたるCY2型アコードは、2024年3月に登場した。グランドコンセプトは「Driven by My ACCORD~相棒アコードとより高みへ~」だ。初代から一貫して持ち続けてきた「人と時代に調和したクルマ」の思想を踏襲しつつ、ホンダの最新安全技術や先進装備を搭載した。

 

ホイールベース(2,830mm)と全高(1,450mm)は先代モデルを踏襲している。が、全長を+75mm、リアトレッドを+10mm拡大することで、ロー&ワイドのフォルムの安定した佇まいとなった。

 

駆動方式はFF(2WD)のみ、搭載しているパワートレインはハイブリッドシステムの1種類だ。2.0L直列4気筒エンジン+駆動・発電を行う2つのモーターを組み合わせたe:HEVである。

 

アコードには、最新の全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」が搭載された。従来のHonda SENSINGの機能に以下が加わり、全20の機能となった。

  • 前方交差点車寮警報
  • 車線変更時衝突抑制機能
  • 車線変更支援機能

また国内向けホンダ車として、初めてGoogleを搭載した。Googleアシスタント、Googleマップ、Google playを車内で簡単に利用することが可能だ。また普段スマートフォンなどで使っているアプリをドライブでもシームレスに使える。より便利でパーソナライズされた快適なモビリティライフを実現している。

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トヨタ 16代目クラウンクロスオーバー(35系)の特徴

16代目クラウンクロスオーバー(35系)の全景

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)の全景

クラウンクロスオーバーは、2022年7月に同時に4モデルが世界初公開され話題となった。第1弾として発売されたクラウンクロスオーバーは、セダンとSUVを融合させた革新的なパッケージが特徴だ。これまでの概念にとらわれない、新たな価値を提供するクルマに仕上がっている。

 

外観デザインは、流麗さとダイナミックさを両立させている。これはTNGAプラットフォームを採用し、スタイリッシュなクーペライクなスタイルと、強さを感じさせるリフトアップスタイルを組み合わせることで実現した。

 

駆動方式は全車4WD、搭載しているパワートレインは2種類だ。

  • ハイブリッドシステム:2.4L直列4気筒ターボエンジン+高い駆動力を発揮する最新の電動パワートレイン「eAxle」。新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を組み合わせている。
  • シリーズパラレルハイブリッドシステム:2.5L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせた。

安全装備は、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車標準装備し、クラストップレベルの予防安全性能を誇る。

 

クラウンクロスオーバーは2022年に登場、2024年に一部改良を実施した。また、特別仕様車として「クロスオーバーRS ランドスケープ」を設定。ブラック×アーバンカーキの専用外装色を纏い、アウトドアな世界観を表現した。

2.5Lハイブリッド車には、新グレード「Z」が設定された。従来RSにしか設定のなかった上級安全装備や上級ナビを標準装備している。後席の快適オプションだったハンズフリーパワートランクリッド、イージークローザー、カラーディスプレイなどは好評につき標準化されている。

また、クラウンクロスオーバーのグレードはRS、Z、G、Xの4種類となった。

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クラウンクロスオーバーは4WDのみだが20km/L超えの超低燃費

燃費比較

アコードの評価は4.5

クラウンクロスオーバーの評価は5.0

 

CY2型アコードと35系クラウンクロスオーバーの燃費は以下の通り(WLTCモード)。

  • アコード 2WD:23.8km/L
  • クラウンクロスオーバー 4WD:15.7~22.4km/L 

クラウンクロスオーバーには、2種類のハイブリッドシステムが設定されている。最もパワフルなスポーツグレードのRSは、直4 2.4Lターボエンジンを搭載。システム最高出力は349㎰とかなりパワフルだ。走行性能重視のグレードということもあり、燃費(WLTCモード)は15.7km/Lと、それほど優れてはない。

 

人気の2.5Lハイブリッドの燃費性能は22.2~22.4km/L。4WDながら、とても優れた燃費値となった。しかも、システム最高出力は234㎰と十分だ。

 

対するアコードは、e:HEVを搭載している。2.0Lエンジンをベースとしたハイブリッドシステムだ。

燃費値は23.8km/Lとクラウンクロスオーバーを上回っている。以下などが大きな要因だ。

  • 搭載エンジンの排気量が少ない
  • 2WD(FF)である
  • 車重がクラウンクロスオーバーより約230㎏も軽い

燃費値だけで見れば、アコードが上回る。しかし、クラウンクロスオーバーは燃費値が落ちる4WDであり、よりパワフルなハイブリッドシステムを搭載していることを含めると、クラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッドシステムの評価は高い。

割安感では快適装備で、クラウンクロスオーバーがやや有利?

価格比較

アコードの評価は4.0

クラウンクロスオーバーの評価は4.5

 

CY2型アコードと、35系クラウンクロスオーバーの最上級グレードの新車価格は下記の通りだ。

  • アコード 2WD:544万9400円
  • クラウンクロスオーバーZ 4WD:595万円

本来、クラウンクロスオーバーの最上級グレードは、670万円のクロスオーバーRSである。搭載しているハイブリッドシステムはパワー重視のものだ。今回はアコードと性能が近いグレードであるクロスオーバーZ(2024年4月に登場)で比較する。

 

クラウンクロスオーバーZの価格は595万円、対するアコードは544万9400円と価格差は約50万円だ。クラウンクロスオーバーZが4WDなのに対し、アコードは2WD(FF)なので、実質的な価格差はグッと縮まる。

 

装着しているタイヤ&ホイールは以下の通りだ。

  • クラウンクロスオーバーZ:225/45R21
  • アコード:235/45R18

ホイールのサイズは3インチも異なる。大径ホイールの方が高価だ。

 

インテリアでは、両車ともにシート表皮に本革を採用した。シートヒーター機能もフロントシートには標準装備となっている。クラウンクロスオーバーZにはシートベンチレーション機能も装備されている。また、オプションでリアシートにもヒーター機能を設定可能だ。

 

クラウンクロスオーバーZは、運転席8ウェイ・助手席4ウェイパワーシートを標準装備している。対するアコードe:HEVは運転席、助手席ともに8ウェイパワーシート(スライド、リクライニング、ハイト前・後)だ。加えてクラウンクロスオーバーZは、オプションでリアシートにも電動調整機能を設定している。

 

快適装備では、両車ワイヤレス充電器をはじめとするUSBジャックを設定している。さらにクラウンクロスオーバーZはアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)をセンターコンソール後部とラゲッジルーム右側に各1個ずつ用意した。

 

ナビゲーションは、どちらも12.3インチのディスプレイだ。それぞれ以下を標準装備している。

  • クラウンクロスオーバーZ:ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)plus+トヨタプレミアムサウンドシステム(10スピーカー)
  • アコードe:HEV:Google搭載のホンダコネクトディスプレイ+BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)

クラウンクロスオーバーZ に標準装備で、アコードe:HEVに装着されていない装備は以下の通り。

  • フロントシートベンチレーション機能
  • リアシートヒーター機能
  • アクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)

アコードe:HEVに標準装備で、クラウンクロスオーバーZに装着されていない装備は以下の通り。

  • 助手席8ウェイパワーシート
  • 車線変更時衝突抑制機能
  • Google機能

クラウンクロスオーバーZとアコードe:HEVの価格を比較すると、クラウンクロスオーバーZのほうが約50万円高い。

しかし、駆動方式や装着されているタイヤサイズ、快適装備を比べると、クラウンクロスオーバーZのほうが割安感は高い。

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値引き額はわずかにアコードが上回る

購入時の値引き術

アコードの評価は4.0

クラウンクロスオーバーの評価は3.5

 

新車を購入する際に気になる項目のひとつが、納期だ。2024年11月現在、クラウンクロスオーバーは2~3カ月とトヨタ車の中ではやや早い。アコードは4~5カ月と、少々長めだ。

クラウンクロスオーバーの値引き額の目安は約0~18万円で、ほぼ横這いが続いている。ただ、2022年に登場したモデルなので、そろそろマイナーチェンジの時期だ。そのため、徐々に値引き額が大きくなる可能性も高い。

 

対するアコードの値引き額は約10~20万円とわずかに大きめ。値引き額はどんどん上がっている傾向にある。

ホンダは他のメーカーよりも値引き勝負に出る傾向がある。アコードの商談時にクラウンクロスオーバーなどのライバル車と競合させれば、大幅値引きも期待できそうだ。

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新感覚のクラウンクロスオーバー。スポーティなアコード

デザイン比較

アコードの評価は4.5

クラウンクロスオーバーの評価は4.0

 

クラウンクロスオーバーは、SUVテイストがプラスされている。従来のセダンにはないアクティブさを感じさせるデザインが特徴的だ。逆にアコードは、正統派セダンのデザインながら、流麗なクーペテイストをプラスしたスタイリッシュ系セダンとなっている。

両車のデザインは方向性が全く異なっているため、デザインの良し悪しというより好みで選ぶのが良いだろう。

アコード:フォーマルさを追求した内外装のデザインが特徴

11代目アコード(CY2型)の後景

※上図:11代目アコード(CY2型)の後景

11代目にあたるCY2型アコードは、“相棒”としての在り方をデザインとして表現するために、ドレスコードのひとつである「CREATIVE BLACK TIE」をコンセプトに開発された。

最もフォーマルな礼装である「BLACK TIE」に対し、「CREATIVE BLACK TIE」は、正装の基本に則りながら、個性を主張することが認められている。アコードもフォーマルでありながら、創造性や遊び心を兼ね備えたデザインとなっている。

11代目アコード(CY2型)のフロントフェイス

※上図:11代目アコード(CY2型)のフロントフェイス

アコードのフロントビューは、加飾に頼らず造形そのもので力強さを表現した。アッパーグリルとロアグリルをブラックアウトさせ、ボディカラーとのコントラストにより強さと品格を創出している。

 

サイドビューは、芯の太さを感じさせる大胆な塊感を持つ。低く長いノーズからリアエンドまで、ノイズレスかつスリークな面で統一された。

また、サイドシルにブラックガーニッシュを施すことでボディパネルの上下幅を短く見せ、伸びやかさをより強調している。

11代目アコード(CY2型)のリヤエンド

※上図:11代目アコード(CY2型)のリヤエンド

リアビューは、ボディ全体をノイズレスで優雅なフォルムとして完結させている。伸びやかなサイドビューをフラッシュサーフェス化したテールレンズで受け止めているのが特徴だ。加えて、バンパーサイドから大径タイヤを覗かせたことによるスタンスの良さも感じさせている。

11代目アコード(CY2型)の運転席

※上図:11代目アコード(CY2型)の運転席

インテリアは、伸びやかさと広さを感じさせる水平基調のインストルメントパネルだ。ステアリングコラムカバーやグローブボックスの薄型化は、足元空間の拡大と視覚的な爽快感をもたらした。また、ソフトパッドからメタル部品まで異なる素材を黒で統一したことで、フォーマルな印象を強めた。

11代目(CY2型)アコードの後席

※上図:11代目(CY2型)アコードの後席

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これがクラウン!?というスタイリッシュな攻めたデザイン

16代目クラウンクロスオーバー(35系)の後景

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)の後景

16代目にあたる35系クラウンクロスオーバーは、セダン+SUVという新感覚のモデルだ。スタイリッシュでクーペライクなシルエットと、力強さを感じさせるリフトアップスタイルを組み合わせている。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)のフロントフェイス

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)のフロントフェイス

タイヤは、最大で21インチだ。従来のセダンの常識を打ち破る大径を採用している。

ボディ側面近くまで外側に張り出した足回りと、ボディとタイヤの隙間の絶妙なバランスのボディ構造により、セダンでもない、SUVでもない踏ん張り感のある力強いスタイルを実現した。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)のリヤエンド

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)のリヤエンド

外観デザインは、シンプルながら鋭さと雄大さを兼ね備えている。左右一直線につながるヘッドランプ・テールレンズや、キャラクターラインに頼らず面の抑揚で質感を表現したサイドビューが功を奏している。

 

クラウンクロスオーバーのインテリアは、アイランドアーキテクチャーという考え方が導入された。。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)の運転席

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)の運転席

フロントシートは、乗員を包み込む造形と圧迫感のない水平な見晴らしで、居心地の良さと開放感を実現。また、加飾を追えば機能の「島」に辿り着く配置だ。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)の後席

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)の後席

リアシートは、サイドウインドウ前後長の拡大によって、流れる景色で心地良い空間とした。足元が広いため、リラックスした移動が可能だ。

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ボディサイズは同等だが、ラゲッジスペースはアコードが圧勝

室内空間と使い勝手

アコードの評価は4.0

クラウンクロスオーバーの評価は4.0

 

CY2型アコードと35系クラウンクロスオーバーのボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下の通りだ。

【アコード】

ボディサイズ

全長4,975mm×全幅1,860mm×全高1,450mm

ホイールベース

2,830mm

ラゲッジ容量

570L

 

【クラウンクロスオーバー】

ボディサイズ

全長4,930mm×全幅1,840mm×全高1,540mm

ホイールベース

2,850mm

ラゲッジ容量

450L

クラウンクロスオーバーのほうが全高は高く、アコードのほうが全長と全幅は大きい。

リアシートの居住性はクラウンクロスオーバーのほうがやや広く感じる。というのも、室内の広さに大きく影響するホイールベースは、クラウンクロスオーバーのほうが20mm長く、全高も90mm高いからだ。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)の荷室

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)の荷室

11代目アコード(CY2型)の荷室

※上図:11代目アコード(CY2型)の荷室

ラゲッジスペースは、アコードが120Lも大きい。さらに、アコードには一体可倒式リアシート(トランクスルー機構付)を採用しており、ラゲッジスペースを拡大することができる。荷室面の使い勝手では、アコードが優勢だ。

 

クラウンクロスオーバーが荷室より室内スペースを優先したのに対し、アコードは、荷室優先といった印象だ。ユーザーの使い方によって評価は異なると言える。

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充実した予防安全装備と運転支援機能。両車、ほぼ互角か?

安全装備&運転支援機能

アコードの評価は5.0

クラウンクロスオーバーの評価は5.0

16代目クラウンクロスオーバー(35系)のインパネデザイン

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)のインパネデザイン

35系クラウンクロスオーバーZの安全装備&運転支援機能は、トヨタセーフティセンスを標準装備している。プリクラッシュセーフティ、レーダークルーズコントロールなど9つの機能がパッケージ化されたものだ。

さらに後側方の車両を監視する以下の機能も標準装備している。

  • ブラインドスポットモニター(BSM)
  • 安心降車アシスト(SEA)
  • 後方車両接近告知
  • 周辺車両接近時サポート(通報提案機能)
  • 後方車両への接近警報
  • セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中衝突対応)
  • 周辺車両接近時サポート(録画機能)

16代目クラウンクロスオーバー(35系)のメーター

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)のメーター

他にも、パーキングサポートブレーキ(前後方静止物、後方接近車両、後方歩行者)、高度な運転支援機能である「トヨタチームメイト」、ドライブレコーダー(前後)、ドライビングモニターカメラなどを搭載している。

11代目アコード(CY2型)のインパネデザイン

※上図:11代目アコード(CY2型)のインパネデザイン

11代目アコード(CY2型)のメーター

※上図:11代目アコード(CY2型)のメーター

対するCY2型アコードは、Honda SENSING 360を標準装備している。

衝突軽減ブレーキ(CMBS)、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロールをはじめとした20の機能がパッケージ化されたものだ。

 

クラウンクロスオーバーZは、トヨタセーフティセンス、トヨタチームメイトなど機能により名称が分かれているが、機能はアコードのHonda SENSING 360とほぼ同等レベルと言える。

快適さ重視のクラウンクロスオーバー。スポーティなアコード。

走行性能の比較

アコードの評価は4.0

クラウンクロスオーバーの評価は4.0

 

CY2型アコードと、35系クラウンクロスオーバーのエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下の通りだ。

【アコード(2WD)】

  • 2.0L e:HEV(ハイブリッド)
  • モーター最高出力:184ps
  • モーター最大トルク:335Nm
  • 車両重量:1,580kg

【クラウンクロスオーバー(4WD)】

  • 2.5Lハイブリッド
  • システム最高出力:234㎰
  • 車両重量:1,750~1,810kg

 

  • 2.4Lターボハイブリッド
  • システム最高出力:349㎰
  • 車両重量:1,910kg

性能面が近い二車種で比較するため、今回は16代目35系トヨタ クラウンクロスオーバーは2.5LハイブリッドのZグレードについて解説する。

16代目クラウンクロスオーバー(35系)のエンジンルーム

※上図:16代目クラウンクロスオーバー(35系)のエンジンルーム

クラウンクロスオーバーZのシステム最高出力は234psと、アコードの184psを大きく上回る。しかし、クラウンクロスオーバーZは4WDであるため、アコードより車重が230kgも重い。そのため、実際に走行した時の力強さや加速感は同等レベルだ。

 

クラウンクロスオーバーは、E-Fourという電動4WDシステムの設定のみ。積極的に後輪側のモーターを使うことで、上質感ある走りを提供してくれる。

さらに、DRS(後輪操舵システム)も搭載した。走行状況に応じて後輪もハンドルで操舵するため、スポーティで優れた操縦安定性を有する。また、駐車では前輪と逆向きに後輪が動くことで、小回り性能も大幅にアップした。全長5m弱のセダンながら、最小回転半径は5.4mというコンパクトカー並みの小回り性能を得ている。大きなクルマだが、狭い道や駐車場が多い日本でも扱いやすい。

 

クラウンクロスオーバーZの乗り心地は、ややフワッとしている。特に静粛性や後席の快適性のレベルは高い。乗り心地や静粛性を重視するのであれば、クラウンクロスオーバーZがお勧めだ。

11代目アコード(CY2型)のエンジンルーム

※上図:11代目アコード(CY2型)のエンジンルーム

対するアコードの乗り心地は、やや硬め。凸凹の多い荒れた路面での乗り心地は、クラウンクロスオーバーが圧倒する。静粛性も同様だ。

 

ただしハンドリングに関しては、アコードの方がスポーティで気持ち良い。ステアリング操作に対するレスポンスの良さに加え、車重がクラウンクロスオーバーZより230㎏も軽いこともあり、軽快感がありキビキビと走れる。自らハンドルを握って走るスポーティセダンという印象で、いかにもホンダ車らしいセダンだ。

 

走りの味は、好みの問題だ。どちらが自分好みなのか、しっかり試乗して選択することをお勧めする。

セダン不振の中、クラウンクロスオーバーの健闘が光る

リセールバリュー

アコードの評価は3.0

クラウンクロスオーバーの評価は3.5

 

先代(10代目)にあたるCV3型アコードと、35系クラウンクロスオーバーの新車価格帯・中古車相場・リセールバリューは以下の通りだ。

※11代目(CY2型)アコードは登場したばかりなので、先代の中古車相場を例示した

※中古車相場は、2024年11月調べ

 

クラウンクロスオーバー

アコード

中古車相場

約440~510万円

約300~360万円

当時の新車価格帯

約510~570万円

約465万円

リセールバリュー

約86~89%

約65~77%

※クラウンクロスオーバーの中古車相場は2022年式、RSグレードを除く

※アコードの中古車相場は2022年式

 

クラウンクロスオーバーの2022年式中古車は、新車価格の約86~89%という高値を維持している。新世代クラウンの第1弾モデルとして登場し、非常に注目を集めた影響が大きく、セダンとしてはかなり高額なリセールバリューとなった。

ただし、この高値を長期間維持できるかというと、微妙なところだ。今のところ話題性で高いリセールを維持しているようにも見える。マイナーチェンジを終えた頃に、リセールをどれだけ維持できているかに注目だ。リセールバリューは不透明感が強いため、売却を考えている場合はなるべく早い方がよいだろう。

 

対して先代であるCV3型アコードは、やや低めのリセールバリューとなった。セダンは人気が低いため、アコードのみならず多くのセダンが同等程度のリセールバリューになっている。今後も徐々に中古車価格が下がっていくだろう。売却を考えているのであれば、もちろん早い方がよいが、焦って売却する必要もない。

裏を返せば、これだけリセールバリューが下がっているということは、中古車価格は安価になっている。上級セダンがお得に買えるというのは、中古車ならではの大きなメリットのひとつだ。アコードは、中古車で買うべきモデルといえるだろう。

ショーファーなクラウンクロスオーバーとドライバーズカーのアコード

まとめ・総合評価

11代目(CY2型)アコードがお勧めの人
  • 2WDで
  • 荷室スペースがより広いセダンが欲しい人
  • 自ら運転することが好きな人
  • スポーティなデザインが好きな人

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16代目(35系)クラウンクロスオーバーがお勧めの人
  • 4WDで燃費性能を重視したい人
  • リアシートに大切な人やオーナーが乗ることが多い人
  • 降雪地でも安心して運転したい人
  • 乗り降りしやすいクルマが欲しい人

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クラウンクロスオーバーは、ややアクティブな外観ながら、快適性を重視したモデルだ。対するアコードは、ホンダらしい走る楽しさ前面に出した自らが運転を楽しむスポーティセダンである。

 

このように、両車のキャラクターは明確に異なるため、どういう使い方、趣向なのかで評価は大きく異なる。セダンに望む優先順位を明確にして、タップリと比較試乗して選ぶのがお勧めだ。

 

クラウンクロスオーバー

アコード

総合得点(40点満点)

33.5

33.0

1.燃費

5.0

4.5

2.価格

4.5

4.0

3.購入時の値引きしやすさ

3.5

4.0

4.デザイン

4.0

4.5

5.室内空間と使い勝手

4.0

4.0

6.安全装備

5.0

5.0

7.走行性能

4.0

4.0

8.リセールバリュー

3.5

3.0

11代目(CY2型)アコード価格

e:HEV 2WD

544万9400円

16代目(35系)クラウンクロスオーバー価格

X 4WD

440万円

G 4WD

515万円

Z 4WD

595万円

RS 4WD

670万円

【特別仕様車】RSランドスケープ 4WD

685万円

   

11代目(CY2型)アコード スペック

代表グレード

e:HEV 2WD

ボディサイズ

4,975mm×1,860mm×1,450mm

ホイールベース

2,830mm

最低地上高

135mm

最小回転半径

5.7m

車両重量

1,580kg

エンジン型式

LFD

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量

1,993cc

最高出力

147ps(108kW)/6,100rpm

最大トルク

182N・m(18.6kgm)/4,500rpm

モーター最高出力

135kW(184ps)/5,000~8,000rpm

モーター最大トルク

335N・m(34.2kgm)/0-2,000rpm

燃費(WLTCモード)

23.8km/L

動力用主電池

リチウムイオン電池

駆動方式

前輪駆動(2WD)

サスペンション

前:マクファーソンストラット式 後:マルチリンク式

タイヤサイズ

235/45R18

16代目(35系)クラウンクロスオーバースペック

代表グレード

クラウンクロスオーバーZ 4WD

ボディサイズ

4,930mm×1,840mm×1,540mm

ホイールベース

2,850mm

最低地上高

145mm

最小回転半径

5.4m

車両重量

1,810kg

エンジン型式

A25A-FXS型

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量

2,487cc

最高出力

186ps(137kW)/6,000rpm

最大トルク

221N・m(22.5kgm)/3,600~5,200rpm

フロントモーター最高出力

88kW(119.6ps)

フロントモーター最大トルク

202N・m(20.6kgm)

リアモーター最高出力

40kW(54.4ps)

リアモーター最大トルク

121N・m(12.3kgm)

システム最高出力

234ps

動力用主電池

ニッケル水素電池

燃費(WLTCモード)

22.2km/L

駆動方式

四輪駆動(4WD)

サスペンション

前:マクファーソンストラット式 後:マルチリンク式

タイヤサイズ

225/45R21

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員