親水と撥水どっちが良い?ミラーの水滴対策を整備士が解説

親水と撥水どっちが良い?ミラーの水滴対策を整備士が解説

ドアミラー(サイドミラー)は、走行中の安全確認のために欠かせないものです。
しかし、雨の日には付着した水滴などでその視認性が低下してしまい、それが原因でヒヤッとした思いをしたことのある人もいるのでは?
そこで現役の整備士がミラーの水滴対策のための知識について、わかりやすく解説していきます。

親水コーティングとは

親水コーティングを施工したミラー面は水が平たくまとまり、「膜のようになって流れ落ちていく」「水が膜になって引いていく」のが特徴です。
ドアミラーの場合、ガラス表面に付着した水が細かい水滴となって残りにくいです。

撥水コーティングとは

撥水コーティングしたミラーのガラス面は、付着した水をはじくことで、水滴が細かく無数の球状になります。球状になった水滴が、コロコロと転がって流れ落ちていくのが特徴です。

ミラーには親水と撥水どっちが良い?

ドアミラー(サイドミラー)に施工するコーティング剤には、親水タイプと撥水タイプがあります。
「一見、撥水タイプはむしろ逆効果では…?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、ドアミラーに施工する撥水コートは、通常のボディコート剤のものとは異なるので、十分に視界確保のための効果は得られます。

基本的には親水コーティングがおすすめ

ミラーにコーティングをする場合、基本的には親水コーティング一択で間違いありません。一般的な撥水コーティングの場合、球状の水滴がガラス面に残ってしまうと、水滴が邪魔になってミラーの視認性が大きく低下してしまうためです。
親水コーティングだと、ミラー表面に水分が残っていても膜状になっているので、視界を妨げません。

ドアミラー専用の超撥水タイプなら撥水コーティングでもOK

ガラコやシュアラスターのゼロシリーズから、超撥水を謳ったミラー表面に水滴の残らないタイプの撥水コーティング剤も販売されています。
これらは撥水コーティング剤であるものの、ドアミラー専用品となっている特殊なものです。
同じガラコでも、フロントガラス用とも異なるので購入の際には注意しましょう。

ミラーに親水コーティングを施したときのメンテナンス時の注意点

親水コーティング後に注意したいのは洗車です。ミラーに親水コーティングをしていても、洗車機で撥水コーティングメニューを選択すると、洗車中にミラーにボディ用の撥水剤が付着してしまうことになります。この場合、せっかくの親水効果が失われることがあります。もちろん、通常の洗車を行うときも撥水剤の付着には注意が必要です。

サイドミラーの水滴対策おすすめグッズ

サイドミラーの水滴対策におすすめのグッズは大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  • ミラーにコーティングを施工
  • 親水加工されたフィルムをミラーに貼る

またコーティングを施工する場合、まずはミラー表面に残った汚れやコーティング剤を落とすために、下地処理をすることが必須となるので注意しましょう。

油膜取り剤も入った塗り込みタイプの親水コーティング剤

コーティングをするうえで大切なのが下地処理ですが、この商品はそのための油膜取り剤もセットになっているので、施工時はこれ1つですべて賄えます。
塗り込みタイプのなのでスプレータイプと異なり、施工時の溶剤の飛散を気にする必要がありません。

ネームバリューのあるガラコの超撥水コーティング剤

雨のつかない超撥水を謳ったミラーコート剤で、ガラコというネームバリューもあって圧倒的なレビュー件数と評価の高さから、信頼性のある商品です。
ミラーコート剤で迷っている方は、まずはこれを試してみてはいかがでしょうか。
こちらは手軽に施工できるスプレータイプです。

汎用タイプのミラー用親水フィルム

フィルムの親水効果により、ミラーに貼り付けた部分の視界を確保します。
万が一貼るときにズレてしまったりしても、貼り直しのできる素材なので安心です。
また、ミラーに貼るタイプのフィルムは、車種ごとに異なるサイズや形状に対応した、車種別に専用設計されたものも販売されています。
防眩効果のあるブルータイプのものもあるので、好みに応じて購入してみてもよいでしょう。

ディーラーオプションのミラーレンズ交換タイプ

親水加工の施されたミラーのレンズそのものを交換して、水滴対策する方法もあります。
ディーラーオプションの用品としてラインナップされており、レンズを交換するだけでOKです。
もっとも費用のかかる対策ですが、純正のオプション部品とだけあって、もっともシンプルかつスマートに対策できます。
対応していない車種やメーカーもあるので、検討する場合には一度、車屋さんに問い合わせてみるのがよいでしょう。

整備士のまとめ

ドアミラーによる視認性の確保はとても大切です。
わたし自身も愛車はメーカーのオプション用品である親水ミラーを装着し、家族の車には親水コーティングを施工しています。
ただし、親水ミラーであっても永久的に効果が持続するわけではありません。

  • コーティング
  • フィルムを貼る
  • ミラーレンズの交換

それぞれにメリットデメリットがあるので、自分に合ったタイプを選ぶとよいでしょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。