トヨタ ヤリスクロスは、コンパクトSUVの中でも圧倒的な人気を誇る。だからこそ納期も長い。一方、2代目KF系マツダCX-5は中古車価格に買い得感が出ている。新車ヤリスクロスの価格と、1クラス上のボディサイズであるCX-5の中古車価格が同等に近づいたのだ。そこで、新車のヤリスクロスか、中古だがすぐに手に入る、1クラス上のKF系2代目CX-5を徹底比較評価した。
*ヤリスクロスの画像は、改良前のもの
*中古車価格は2024年4月調べ
買い替え前に愛車の買取相場を確認する
- ヤリスクロスの新車価格で、1クラス上のKF系CX-5の中古車が買える!
- コンパクトなボディに高い走行&安全性能のヤリスクロス
- 走行性能だけでなく利便性も年々進化し続けるCX-5
- 燃費はヤリスクロスの圧勝。ディーゼルならハイブリッドの燃費に肉薄のCX-5
- ヤリスクロスの新車価格で高級ナッパレザーを装備したCX-5エクスクルーシブモードも狙える
- 新車の納期が長期化しているヤリスクロスの値引きは厳しめ
- どちらも無駄を極限まで省いたシンプルなデザインが特徴
- ヤリスクロスのキャビンスペースは、コンパクトサイズながら、ボディの大きいCX-5に近い広さを誇る
- グレードによって装備差が大きいヤリスクロスと、装備差の少ないCX-5
- 街乗りが得意なヤリスクロス。ロングドライブが得意のCX-5
- トヨタブランドの強さを発揮しリセールバリューが高いヤリスクロスだが・・・
- 何を重視するかで選択は異なるが、豪華装備が魅力的な中古車CX-5
- ヤリスクロスとCX-5の価格、スペック
ヤリスクロスの新車価格で、1クラス上のKF系CX-5の中古車が買える!
トヨタ ヤリスクロスとKF系2代目マツダCX-5を比較してみよう。
|
ヤリスクロス |
CX-5 |
全長 |
約4.2m |
4.6m |
新車価格 |
190万7000円~ 315万6000円 |
290万9500円~ 422万5100円 |
中古車相場 |
― |
約230~280万円 (2021年式) |
ボディサイズはマツダCX-5のほうが1クラス大きい。そのぶん新車価格も約100万円高価だ。
しかし、2017年に登場したKF系CX-5は中古車も豊富に流通している。2021年式という高年式でも、中古車相場はとヤリスクロスの新車価格と同等レベルだ。
ヤリスクロスは人気モデルであるため、納期は6ヶ月以上(トヨタ公式HPより)と長い。一方KF系CX-5は、中古車とはいえ、より上質なクルマがすぐに乗れる状態といえる。
そこで、ヤリスクロスと中古車KF系CX-5を徹底比較。どちらを購入すべきかを検証する。
コンパクトなボディに高い走行&安全性能のヤリスクロス
トヨタ ヤリスクロスの特徴
※上図:ヤリスクロスの車両全景
コンパクトSUVのヤリスクロスは2020年8月31日に登場した。その名の通りコンパクトカー、ヤリスの派生モデルだ。
ヤリスクロスは、ヤリスと同じコンパクトカー向けGA-Bプラットフォームを採用している。ボディサイズは全長4,180(一部4,185、4,200mm)mm×全幅1,765mm×全高1,590(一部1,580)mmだ。ライズとカローラクロスの中間に位置するBセグメントのコンパクトSUVである。
ヤリスクロスは1.5Lハイブリッドシステムを搭載しており、システム最高出力は116psだ。1.5Lのガソリンエンジンも用意されている。駆動方式はガソリン車、ハイブリッド車ともに2WDと4WDがある。
ヤリスクロスの予防安全装備は、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備している。全車速追従機能付のレーダークルーズコントロール、アダプティブハイビームシステム(AHS)をはじめ、高度運転支援「トヨタチームメイト(アドバンストパーク)」を、ヤリスに続き採用した。
また、最新のコネクティッドサービスとして、ディスプレイオーディオおよびDCM(車載通信機)を全車に標準装備しているのも特徴だ。
ヤリスクロスは、2022年7月19日に一部改良を実施した。同時にGR SPORTとZアドベンチャーという2グレードを新設定している。
GR SPORTは、Gグレードをベースとして以下の専用装備を装着し、走行性能に磨きを掛けたグレードだ。
- 剛性アップパーツ
- サスペンション
- 電動パワーステアリング制御
- パワートレイン制御&ドライブシャフト(ハイブリッド車のみ)
- ラジエターグリル&リアバンパーロアカバー
- アルミホイール
- スポーティシート&シート表皮
GR SPORTはガソリン、ハイブリッドの両方に設定されているが、駆動方式は2WDのみだ。
Zアドベンチャーは、Zグレードをベースにシルバー加飾の施された専用バンパーを前後に採用した。さらにシルバーのルーフレール、合成皮革(サドルタン)×ツイード調ファブリックの専用シート表皮を用いて、アウトドア色を強めたグレードだ。
2024年1月には2度目の一部改良を実施した。GR SPORTを除くグレードでは、アッパーグリルのパターンをよりSUVらしい力強いデザインに変更している。インテリアでは、上級グレードにコンソールボックス付フロントソフトアームレストを採用したのをはじめ、7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを標準装備した。さらに、最新のディスプレイオーディオを搭載している。
走行性能だけでなく利便性も年々進化し続けるCX-5
マツダKF系(2代目)CX-5の特徴
※上図:CX-5(2代目)の全景
KF系CX-5の特徴の一つに、毎年のように改良が加えられている点が挙げられる。2018年2月には各エンジンに改良が加えられ、実用燃費や走行性能を向上した。
同年10月には最高出力230psを発生する2.5L直4ガソリンターボエンジンを追加し、ラインナップを強化している。さらに、車両の姿勢制御「G-ベクタリングコントロール」を、「G-ベクタリングコントロールプラス」に進化させている。ハンドルを切った際の制御に加えて、ハンドルを戻す際の制御が追加された。
同時に安全装備にも改良が加えられた。
- 「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」の検知対象に夜間の歩行者を追加
- 高速道路などで追従走行が可能な「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」や「交通標識認識システム」を全車に標準装備
- コネクティビティシステムの「マツダコネクト」は、スマートフォンとの連携を強化
2019年の一部改良では「オフロード・トラクション・アシスト」を採用した。4WD車が悪路における想定外のスタックした際、AWDとトラクションコントロールを協調制御することで、悪路からのスムーズな脱出をサポートする機能だ。
2020年の一部改良では、ディーゼルエンジンの最高出力が200ps、最大トルク450Nmにアップした。インテリアでは、ディスプレイのサイズを10.25インチに拡大している。さらに全車に車載通信機を標準装備した。コネクテッドサービスとスマートフォンアプリ「マイ・マツダ」との連携よる利便性の向上や、緊急通報サービスの提供などによってユーザーをサポートする。
2021年には大幅改良を実施した。外観のデザイン変更をはじめ、長時間運転しても疲労感の少ない運動性能を実現している。新採用の「Mi-DRIVE」は、走行シーンに応じてスイッチ一つで任意に走行モードが切り替えられる機能だ。オンロードだけでなく、オフロードでも人馬一体感を味わえる。さらに快適性、静粛性も向上した。
また、多用化するユーザーに向けて、スポーツアピアランス、フィールドジャーニーという特別仕様車を追加し、すでに設定されているエクスクルーシブモードと合わせて3つの世界観を表現している。
2022年の一部改良ではボディカラーに新色を追加した。そしてマツダコネクトにはアップルカープレイのワイヤレス機能とUSBタイプC端子を追加している。
2023年9月に行った一部改良ではグレードの整理と装備の変更、ボディに新色を追加、そしてメーカーセットオプションの変更を行った。グレードの整理では、以下が廃止されている。
- プロアクティブ
- Lパッケージ
- 25Sエクルクルーシブモード
- 6速MT搭載車
エクスクルーシブモードは洗練された上質さをより感じられる内外装デザインに変更されている。運転席と助手席にはベンチレーション機能を追加し、快適装備が強化された。
フィールドジャーは、フロントグリルの変更、そして内装はパーフォレーション加工を施した合成皮革をシート座面に採用した。
KF系CX-5は毎年のように改良が加えられていて狙い目が難しいが、2019年の一部改良以降であれば、充分価格面にあった満足感を得られるだろう。
燃費はヤリスクロスの圧勝。ディーゼルならハイブリッドの燃費に肉薄のCX-5
1.燃費性能
トヨタ ヤリスクロスの評価は5.0
マツダCX-5の評価は4.0
トヨタ ヤリスクロスの燃費(WLTCモード)は下記の通り。
|
FF(2WD) |
4WD |
1.5Lガソリンエンジン車 |
17.6~19.8km/L |
17.1~18.4km/L |
1.5Lハイブリッド車 |
25.0~30.8km/L |
26.0~28.7km/L |
KF系マツダCX-5の燃費(WLTCモード)は下記の通り。
|
FF(2WD) |
4WD |
2.0Lガソリンエンジン車 |
14.6km/L |
14.0km/L |
2.5Lガソリンエンジン車 |
13.8km/L |
13.0km/L |
2.2Lディーゼルターボエンジン車 |
17.4km/L |
16.6km/L |
ヤリスクロスはガソリン車とハイブリッド車が存在するが、CX-5は排気量の異なる2種類のガソリンエンジンとディーゼルエンジンの合計3種類がある。
燃費に直結する重量を比較すると、ヤリスクロスは1,110~1,270kgなのに対して、CX-5は1,540~1,720kgだ。CX-5のほうが400~450kg重い。
そのため、燃費性能ではハイブリッド車のある現行型ヤリスクロスのほうが大きくリードしている。だが、ディーゼル車の燃料である軽油は、レギュラーガソリンより20円/L前後も安価だ。そのためCX-5のディーゼル車は、燃費では敵わないものの、燃料費はハイブリッド車に近いレベルになる。
ヤリスクロスの新車価格で高級ナッパレザーを装備したCX-5エクスクルーシブモードも狙える
2.価格比較
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.0
マツダCX-5の評価は4.5
ヤリスクロスの新車価格と、KF系CX-5の中古車相場を比べたのが下記の表だ。双方最上級グレードで比較している。
- トヨタ ヤリスクロス ハイブリッド Zアドベンチャー: FF(2WD):292万5000円、4WD:315万6000円
- マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード :約140万~約390万円(2WD/4WD)
コンパクトSUVのヤリスクロスは燃費性能や取り回し面で有利だ。しかしリアシートの居住性やラゲッジスペースの広さは、ボディサイズの大きなCX-5には及ばない。また、本革シートや電動シートなどの快適装備でも、新車価格の高いCX-5の方が充実している。
続いて安全性能で比較する。
ヤリスクロスのプリクラッシュセーフティは、以下の検知対象に加え、事故割合が高い交差点でも支援する。
- 車両
- 歩行者
- 自転車運転車
- 自動二輪車(昼)
さらに、最新の予防安全パッケージである「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備している。プロアクティブドライビングアシストという、運転の状況に応じたリスクを先読みして、ドライバーのステアリングやブレーキ操作をサポートする機能を採用したものだ。
一方のCX-5は、アイアクティブセンスというマツダの安全技術を搭載している。12の運転支援システムの機能を標準装備しており、そのうち「アドバンスト・スマート・シティブレーキ・サポート」は先行車や歩行者などを検知してブレーキを自動制御し、衝突被害の軽減を図る。
CX-5の新車価格は、ヤリスクロスより約100万円高価だ。この差は、主に快適装備で生じている。ヤリスクロスは、最上級グレードでもシート表皮は合成皮革だが、CX-5の最上級グレードでは高級なナッパレザーを使用している。また、電動調整式のパワーシートも差がある。ヤリスクロスは運転席側のみだが、CX-5では助手席側にもパワーシートが用意されている。
さらに、ヤリスクロス、CX-5ともにフロントシートにヒーター機能が用意されているが、CX-5のフロントシートには涼しい風を出すベンチレーション機能も搭載したグレードもある。リアシートにもヒーター機能を採用するなど、すべてのシートで快適に過ごせる仕様だ。
荷室の扉の開閉は、ヤリスクロスはスイッチ一つで開閉できるハンズフリーパワーバックドアを上級グレードにオプション設定している。一方、CX-5は、全グレードでパワーリフトゲートを採用した。上級グレードではハンズフリー機能付となっている。
このように、元々の新車価格が高い現行型CX-5は、ボディサイズの大きさだけでなく、快適装備の充実ぶりが目立つ。
中古のCX-5の上級グレード(XDエクスクルーシブモードなど)なら、こうした豪華装備が用意され十分に満足できる仕様になる。中古車なら、上級グレードでも新車ヤリスクロスと同等レベルの価格だ。豪華装備を重視するのであれば、CX-5をお勧めしたい。
新車の納期が長期化しているヤリスクロスの値引きは厳しめ
3.購入時の値引き術
トヨタ ヤリスクロスの評価は3.0
マツダCX-5の評価は3.0
トヨタ ヤリスクロスの新車納期は、ハイブリッド車が6ヶ月以上(2024年4月調べ)となっている。一部改良を行った上、大量にバックオーダーを抱えているので、値引き額も10~20万円と厳しめだ。
一方、現行型マツダCX-5は中古車での購入となるため、値引きは無いものだと考えたい。もし「大幅値引きします」というのであれば、何か裏があると思った方がよい。現金値引きは厳しいものの、用品サービスや有料延長保証のサービスなどで交渉するのも手だ。
どちらも無駄を極限まで省いたシンプルなデザインが特徴
4.デザイン比較
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.0
マツダCX-5の評価は4.0
コンパクトモデルらしい凝縮感を強調
※上図:ヤリスクロスの後景
ヤリスクロスのデザインキーワードは「ENERGETIC SMART」、デザインテーマは“EASY FAST SMART~楽に 楽しく スマートに~”として開発された。
※上図:ヤリスクロスのフロントフェイス
日常生活を基軸とし、その中に見られる驚きや発見、そしてアクシデントも含めた「日常の中の“非日常”」に着目し、これまでのコンパクトSUVでは表現できなかった独自の魅力を追求している。
※上図:ヤリスクロスのリヤエンド
加速するスピード感をボディの映り込みで表現
※上図:CX-5(2代目)の後景
一方CX-5のデザインキーワードは「REFINED TOUGHNESS=洗練された力強さ」だ。外観デザインは、先代モデルの躍動感に満ちた個性を成長させ、精悍かつ堂々とした佇まいを創出することに注力している。ボディを戦後方向に貫くひとつの大きな動きを中心に据え、しなやかに加速するスピード感を表現している。
※上図:CX-5(2代目)のフロントフェイス
強い前進感とスタンスを強調する骨格や、シンプルな造形の中に美しい映り込みを作り込んだフォルム、随所に取り込んだ彫りの深いディテールデザインにより、艶めきのある精悍な外観を実現している。一部改良でフロントヘッドライトの形状やグリルデザインが変更されているが、小変更にとどまっており、CX-5のデザインの素性の良さが感じられる。
※上図:CX-5のリヤエンド
ヤリスクロスのキャビンスペースは、コンパクトサイズながら、ボディの大きいCX-5に近い広さを誇る
5.室内空間と使い勝手
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.5
マツダCX-5の評価は4.5
トヨタ ヤリスクロスとKF系CX-5のボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。
*室内サイズは、各社測定方法に違いがあるため参考値
トヨタ ヤリスクロス
ボディサイズ |
全長4,180mm×全幅1,765mm×全高1,590mm |
ホイールベース |
2,560mm |
室内サイズ |
室内長1,845mm×室内幅1,430mm×室内高1,205mm |
荷室容量 |
390L(5人乗車時) |
KF系マツダCX-5
ボディサイズ |
全長4,575mm×全幅1,845mm×全高1,690mm |
ホイールベース |
2,700mm |
室内サイズ |
室内長1,890mm×室内幅1,540mm×室内高1,265mm |
荷室容量 |
505L(5人乗車時) |
※上図:ヤリスクロスの運転席
※上図:ヤリスクロスの後席
※上図:CX-5(2代目)の運転席
※CX-5(2代目)の後席
ヤリスクロスとCX-5の大きさで、最も異なるのが全長だ。CX-5が395mm上回っている。しかし、大きな排気量のエンジンを搭載しているため、室内長はそれほど大きな差がなくなっている。
※上図:ヤリスクロスの荷室
※上図:CX-5(2代目)の荷室
5人乗車時ラゲッジ容量を比べると、ヤリスクロスは390L。対してCX-5は505Lと差が付いている。どちらも分割可倒式リアシートを倒せば、ラゲッジスペースは拡大するが、ベースの荷室空間の広いCX-5のほうが、より多くの荷物が積める。
また、取り回しの良さの指標となる最小回転半径は、ヤリスクロスが5.3m。CX-5は5.5mと健闘していると言える。取り回しではコンパクトSUVのヤリスクロスが優位だが、ミドルサイズのCX-5も最小回転半径も小さく抑えているため、使い勝手の良さという点は高ポイントだ。
グレードによって装備差が大きいヤリスクロスと、装備差の少ないCX-5
6.安全装備&運転支援機能の比較
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.0
マツダCX-5の評価は4.5
※上図:ヤリスクロスのインパネデザイン
ヤリスクロスは、トヨタセーフティセンスを標準装備している。8つの機能がパッケージ化されており、プリクラッシュセーフティや、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)も含まれている。
以下の機能はZ、Zアドベンチャー、GR SPORTは標準装備だが、Gはオプションとなり、Xは設定もされていない。
- ブラインドスポットモニター+安心降車アシスト
- 後方接近車両に対応したパーキングサポートブレーキ
- パノラミックビューモニター
※上図:ヤリスクロスのメーター
ハイブリッドZもしくはGR SPORTを選ばないと装着できない装備が多い。高度な運転支援機能であるトヨタチームメイトアドバンスドパーク+パーキングサポートブレーキ(周囲停止物)はハイブリッド車のZ、GそしてKINTO専用のUにオプション設定されている。
※上図:CX-5(2代目)のインパネデザイン
一方CX-5は、アドバンスド・スマート・ブレーキ・サポートをはじめとした12の機能が全グレードで標準装備されている。グレードで異なるのは、2021年の大幅改良で搭載されたクルージング&トラフィックサポート(CTS)がエントリーグレードのスマートエディションだけ装着されていない点だ。
CX-5の中古車は年々運転支援機能が充実しているが、200万円台後半で手に入る2020年~2021年式は、現在の運転支援システムと遜色のないレベルとなっている。
※上図:CX-5(2代目)のメーター
街乗りが得意なヤリスクロス。ロングドライブが得意のCX-5
7.走行性能の比較
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.0
マツダCX-5の評価は4.5
現行型ヤリスクロスと現行型CX-5のパワートレインのスペックは以下のとおりだ。
【ヤリスクロス】
- 5L直列3気筒DOHCエンジン
最高出力120ps、最大トルク145N・m
- 5L直列3気筒DOHCエンジンのハイブリッド
最高出力91ps、最大トルク120N・m
フロントモーター最高出力80ps、最大トルク141N・m
リアモーター最高出力5.3ps、最大トルク52N・m
システム最高出力116㎰
【KF系CX-5】
- 2L直列4気筒DOHCエンジン
最高出力156ps(115kW)、最大トルク199N・m
- 5L直列4気筒DOHCエンジン2WD仕様
最高出力190ps(140kW)、最大トルク252N・m
- 5L直列4気筒DOHCエンジン4WD仕様
最高出力188ps(138kW)、最大トルク250N・m
- 2L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジン
最高出力200ps(147kW)、最大トルク450N・m
GA-Bプラットフォーム+ハイブリッドにより高次元の走行性能を実現
※上図:ヤリスクロスのエンジンルーム
ヤリスクロスは、1.5Lガソリン車と1.5Lエンジンのハイブリッド車の2種類があるが、ここではハイブリッドのみ解説する。
ヤリスクロスは、剛性を上げつつ低重心なGA-Bプラットフォームを採用している。背の高いSUVにもかかわらず、コーナリング時やブレーキング時の揺れを抑えた。高い操作性に加えて、安定性を全乗員に提供することが可能だ。
また、大きく重いハイブリッド用バッテリーをリヤシート下付近に設置したことで、前後の重量バランスも良好だ。優れた操縦安定性を誇る。
熟成が進み国産ミドルサイズSUV屈指の走行安定性により疲労が少ない
※上図:CX-5(2代目)のエンジンルーム
CX-5は、現在2.0Lと2.5Lガソリンエンジン、2.2Lディーゼルターボエンジンの3種類だが、一時期2.5Lガソリンターボエンジンも搭載されていた。ここでは最も中古車の流通台数の多いディーゼルエンジンを解説する。
2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、2017年のデビュー当初は最高出力175ps、最大トルク420Nmだった。2018年2月の一部改良では、最高出力190ps、最大トルク450Nmに向上。現在では最高出力200psまで高められている。
また、ディーゼルターボエンジンは、低回転域から最大トルクを発揮する。高速走行時の燃費性能には目を見張るものがあり、ロングドライブが多い人に恩恵が大きい。優れた乗り心地や静粛性なども含め、長時間の運転でも疲れにくいSUVといえる。
CX-5の走行性能の良さは贅沢なリアサスペンションによるもの
走行性能は、CX-5が上回る。リアサスペンションの形状はヤリスクロスの2WD車がトーションビーム式、4WD車が2リンクダブルウィションボーン式だ。対するCX-5はマルチリンク式という贅沢なシステムを採用しており、リアシートの乗り心地はかなり差がある。燃費性能に目をつむれば、走行性能はボディサイズの大きなCX-5が快適だ。
トヨタブランドの強さを発揮しリセールバリューが高いヤリスクロスだが・・・
8.リセールバリュー比較
トヨタ ヤリスクロスの評価は4.5
マツダCX-5の評価は3.5
KF系CX-5(2021年式)の中古車相場は、約220~290万円だ。新車価格に対して約70~81%にまで価格が落ちている。人気のSUVなので、やや高めのリセールバリューを維持している。
対するヤリスクロス(2021年式)の中古車相場は、約210~270万円。新車価格に対して、約86~96%と非常に高いリセールバリューを維持している。
トヨタブランドは、総じて他社より高めのリセールバリューとなる傾向があるが、その中でもヤリスクロスのリセールバリューは高い。要因は新車の供給不足による納期の超長期化だ。「すぐに乗りたい」という顧客の多くが、すぐに乗れる中古のヤリスクロスに流れているのだ。
単純に見れば、確かにヤリスクロスのリセールバリューは魅力的といえる。しかし、この状況が恒久的に続くとは限らない。新車の納期が1~2か月程度になれば、新車価格並みの中古車を買う顧客は激減し、ヤリスクロスのリセールバリューも下がると予想できるからだ。そうなると、CX-5との差もグッと縮まってくるだろう。
また、CX-5も売り時に注意したい。KF系CX-5は、2017年に登場したモデルだ。そのため、いつフルモデルチェンジしてもおかしくない。フルモデルチェンジすると一気にリセールバリューが下がるので、フルモデルチェンジの噂が聞こえてきたら即売却がよいだろう。
ただ、リセールバリューが下がれば、中古車価格も下がる。中古車を購入する場合はより買い得感の出る、フルモデルチェンジ後半年ぐらい経過した頃がお勧めだ。
新車のヤリスクロス購入で、よりプラス査定が期待できるのは、トヨタ チームメイト[アドバンスト パーク]+パノラミックビューモニター(床下透過表示機能付)+パーキングサポートブレーキ(後方歩行者+周囲静止物)、ハンズフリーパワーバックドアなどの機能を搭載している車だ。グレードでは、GR SPORT(ハイブリッド)、Z Adventureになるだろう。
何を重視するかで選択は異なるが、豪華装備が魅力的な中古車CX-5
9.まとめ・総合評価
コンパクトSUVの新車ヤリスクロスと、ミドルサイズSUVの中古KF系CX-5を同じ200万円台で購入出来るとしたら、決め手はボディサイズと快適装備の充実度、そしてどのくらいの距離を乗るかだ。何を重視するかで選択肢は変わる。
ヤリスクロスとCX-5は新車価格で100万円も差があるが、CX-5を中古車でチョイスすれば同じ価格帯での選択が可能だ。しかも、今年初の車検サイクルを迎える2021年だけでなく、2023年式でも200万円台で狙える中古車もある。
同じ予算であれば、熟成の進んだ高年式のCX-5の中古車が狙い目だ。中でも本革シートを標準装備しているLパッケージやスポーツアピアランスならば、ヤリスクロスでは味わえない快適装備が充実している。豪華装備を重視するのであればお勧めだ。
ボディサイズの小ささやリセールバリュー、燃費を重視するのであれば、ヤリスクロスのハイブリッド車がお勧めだ。ただし、ヤリスクロスはハイブリッドZ、Zアドベンチャー、GR SPORTの3グレードを選ばないと装備面やリセールバリューも満足できるレベルに達しない可能性が高いことを覚えておきたい。
ヤリスクロスとCX-5の価格、スペック
ヤリスクロス価格
1.5Lガソリン車X 2WD |
190万7000円 |
ハイブリッドZアドベンチャー4WD |
315万6000円 |
現行型マツダCX-5価格(2023年9月一部商品改良後モデル)
20S スマートエディション2WD |
290万9500円 |
XDエクスクルーシブモード4WD |
422万5100円 |
ヤリスクロスのスペック
代表グレード |
ハイブリッド Z 2WD |
ボディサイズ |
4,180mm×1,765mm×1,590mm |
ホイールベース |
2,560mm |
最低地上高 |
170mm |
車両重量 |
1,190kg |
エンジン型式 |
M15A-FXE |
エンジンタイプ |
直列3気筒DOHC |
総排気量 |
1,490cc |
最高出力 |
91ps(67kW)/5,500rpm |
最大トルク |
120N・m(12.2kgm)/3,800~4,800rpm |
モーター型式 |
1NM |
モーター最高出力 |
80ps(59kW) |
モーター最大トルク |
141N・m(14.4kgm) |
燃費(WLTCモード) |
27.8km/L |
駆動方式 |
前輪駆動(FF) |
トランスミッション |
CVT |
サスペンション型式 |
前:ストラット 後:トーションビーム |
タイヤサイズ前後 |
215/50R18 |
最小回転半径 |
5.3m |
CX-5のスペック
代表グレード |
XDブラックトーンエディション 2WD |
ボディサイズ |
4,575mm×1,845mm×1,690mm |
ホイールベース |
2,700mm |
最低地上高 |
210mm |
車両重量 |
1650kg |
エンジン型式 |
SH-VPTS型 |
エンジンタイプ |
直列4気筒DOHCディーゼルターボ |
総排気量 |
2,188cc |
最高出力 |
200ps(147kW)/4,000rpm |
最大トルク |
450N・m(45.9kgm)/2,000rpm |
燃費(WLTCモード) |
17.4km/L |
駆動方式 |
前輪駆動(FF) |
トランスミッション |
6速AT |
サスペンション型式 |
前:マクファーソンストラット |
タイヤサイズ前後 |
225/55R19 |
最小回転半径 |
5.5m |
ヤリスクロスのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和2年8月(2020年8月)〜現在
- 新車時価格
- 179.8万円〜315.6万円
ヤリスクロスの在庫が現在210件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。