フロントバンパーが外れたままの走行はダメ!応急処置や修理について整備士が解説

フロントバンパーが外れたままの走行はダメ!応急処置や修理について整備士が解説

フロントバンパーは言わば車の顔です。
フロントバンパーが外れたままの走行は、様々な危険が伴います。車をぶつけたり擦った、下廻りを引っ掛けたなどでフロントバンパーが外れてしまったとき、どう対処すれば良いのか?また、その後の修理にいくら掛かるかの目安について、現役の整備士が解説します。

フロントバンパーが外れたままの走行は控えよう

フロントバンパーがボディから外れてしまってる状態での走行は非常に危険です。
放置したまま走行することで、さまざまな二次被害の危険があります。

  • 外れたバンパーを巻き込み自車を損傷させる
  • 法令違反での公道走行の可能性があり、罰せられる
  • 歩行者や周囲の車を傷付けたり、事故を誘発させる原因になる
  • 街中にある公共物や他人の財産を損傷させる原因になる
  • 自動ブレーキ等の安全装置が正常に作動しない恐れがある

たかがバンパーと侮るなかれで、フロントバンパーが外れたまま放置することは、様々なリスクを抱えています。
フロントバンパーが外れたまま走行することは控えましょう。

フロントバンパーが外れた際のはめ方(応急処置)

フロントバンパーが外れた状態での走行を控えると言っても、自宅に帰る、車屋に持ち込むなど、どうしても車を走らせなければいけないシチュエーションが発生します。
どうしようもできない場合には、レッカーサービスの手配などが必要ですが、応急処置をして何とか走行できる状態にできる場合もあります。

ツメでかん合している箇所をはめる

バンパーは、ボルト・ビス・ネジ・クリップで取り付けられている以外にも、ツメでかん合して取り付けられている箇所もあります。
(例:バンパーの切り欠きが、フェンダーに取り付けられたリテーナーと呼ばれる部品のツメにはまる)
ツメでかん合している代表的な場所が、フロントバンパーとフェンダーの境目にあたるバンパーの側面です。
本来は、ツメでかん合したうえでビスやクリップでも固定されています。
フロントバンパーが外れた勢いでビスやクリップが紛失、損傷することで、該当箇所にバンパーの浮きが発生している場合、ひとまず押し込んでみることで、応急的に外れたフロントバンパーをはめることができます。

養生テープで固定する

フロントバンパーが外れたときの応急処置に、養生テープは非常に有効です。
先ほど解説した、はめこみ箇所が再び外れるのを予防したり、どうしても固定が難しいときに養生テープを使用してバンパーを固定します。
ガムテープや安価な布テープだと、テープの糊がボディに残ってしまうので控えてください。
剥がすときに糊の除去が大変で、万が一にもきれいにする過程でボディを傷めてしまう可能性があります。

結束バンドを活用する

結束バンド(=インシュロック、=タイラップ)を活用して外れたフロントバンパーを固定する方法もあります。
結束バンドを通せるような穴の開いてるところであれば活用できます。
養生テープだと剥がれたりしないか少し不安な場合にも、結束バンドは応急処置として固定することに長けているのでおすすめです。
結束バンドは、100円均一やホームセンターといった身近なお店で購入可能です。

フロントバンパーの修理費用の目安

フロントバンパーの修理費用の目安は交換が必要な場合は5万~15万円程度、軽度な修理であれば1.5万円ほどです。フロントバンパーの修理費は車種は交換パーツによって変わってきます。

交換費用の目安は5〜15万円

フロントバンパーが外れてしまうような損傷の場合、きれいに直すにはバンパーを交換しなければいけないことがほとんどです。
その場合、軽自動車などで安いものだと5万円〜程度の交換費用がかかります。
一般的な乗用車だと、8〜15万円ほどの費用が目安になります。
高価格帯の車になると、部品代も工賃も高くなりがちなのでこの限りではありません。
また、最近の車のバンパーには、複数の樹脂やメッキパーツが取り付けられています。
これらを再使用するのか、交換するのかによってもフロントバンパー交換にかかる費用は、同じ車であっても大きく変わってくる場合があることを理解しておきましょう。

修理費用の目安は1.5万円〜

一方で、完全に修復するのは費用が高くつくので避けたい、また目立つ傷さえ綺麗になれば良いという場合には、部分補修という選択肢もあります。
外れたフロントバンパーが再び外れるリスクのないことが大前提ですが、擦り傷の補修や、バンパーから脱着可能なパーツの交換のみで納得のできるものであれば1.5万円〜で修理できます。

修理には車両保険は使わないほうが良い

フロントバンパーの交換程度の修理費用であれば、自動車保険の特約のひとつである【車両保険】は使わないほうが良いことがほとんどです。
車両保険を使用すると保険等級がダウンします。
保険等級がダウンすると、保険料が上がることがその理由です。
保険料が上がることによる出費増と、バンパーの交換・修理にかかる費用を、この先も見据えたうえで天秤に掛けた場合、保険を使うことがお得とは言えません。
特別な場合を除いて、基本的には実費修理をすることをおすすめします。

フロントバンパーの修理費用が高くなる場合

フロントバンパーの修理費用が高くなることがあり、以下のような事例があります。

  • フェンダー側にも損傷があり修理が必要な場合
  • ヘッドライトなどのライト類にも損傷があり、修理または交換が必要な場合
  • コーナーセンサーや、レーダーセンサーなどの安全装備に関わる部品の交換が必要となる場合

フロントバンパーには、様々な役割を持つ部品が取り付けてあったり、隣接しています。
ユーザー自身は「フロントバンパーさえ交換すればそれで済むのでは…?」と思っていても、実は他の部品にも影響があり、想像以上に高額な修理費用が発生することは珍しいことではありません。
こういった場合には、車両保険を使用して修理するほうが良いこともあります。
自分自身での判断が難しい場合には、修理相談・見積もりの担当者に、実費修理か保険修理のどちらが適切か相談してみましょう。

整備士のまとめ

フロントバンパーが外れたまま走行することは、自分も周囲も危険に晒す可能性があるので控えましょう。
ユーザー自身も応急処置することは難しくない場合もあるので、身近にある養生テープや結束バンドを使って応急処置にチャレンジしてみても良いかもしれません。
ただ、最終的に部品の交換が必要なのか?修理の程度の判断などは、かならず整備工場のプロにしてもらいましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。