クロストレックの特徴-燃費や値段、走行性能を解説。値引きなしならXVとの検討も視野

スバル クロストレックは、2022年12月に価格が発表され、2023年春に販売が開始された。ライバル車は、トヨタ カローラクロスやマツダCX-30など。2023年秋にカローラクロスが大幅改良されるため、比較検討して選びたい。

今回は、クロストレックの値段や燃費といった特徴のほか、値引きの際の検討ポイントについて紹介する。

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販売順調、納期も短めなスバル クロストレック

クロストレックの車両画像。

2023年1~6月におけるスバル クロストレックの販売台数は好調だ。半導体不足の影響もあり、正常な生産体制ではないものの、販売台数は好調を維持している。また、登録車販売台数ランキングは、27位だった。インプレッサシリーズとして合算されているが、スバル車の中ではトップという結果だ。クロストレックは、スバルにとって非常に重要な車種のひとつとなった。

クロストレックの特徴として、納期がやや短いことが挙げられる。人気のハイブリッド車などは、1年以上の納期になっているケースが多い。しかし、クロストレックの納期は3~4カ月程度だ(2023年7月調べ)。最近では、納期が早いことも売れるクルマの要因のひとつとなっている。

スバル クロストレックの特徴

クロストレックの車両画像前景と後景

スバル クロストレックは、XVと呼ばれているモデルだった。名称は、フルモデルチェンジのタイミングで、北米モデルと同様のクロストレックに統一された。

2010年に初代XVが登場した。初代XVは、ベースとなるインプレッサにSUVテイストを少しだけプラスしている。最低地上高は、インプレッサと同じくらいだ。そのため、悪路走破性はそれほど高くなく、やや中途半端な仕様だった。

初代XVの反省を活かし、2代目と3代目XVの最低地上高を200mmとした。この最低地上高は、本格派SUV並みの高さだ。さらに、スバルの4WD技術と、X-MODEによる緻密な制御も加わり、クラストップレベルの悪路走破性能を誇るモデルとなった。

2013年には、2代目GP系XVに初の1モーター式2.0Lハイブリッドが投入された。このシステムは、改良されながら継続的に採用されてきた。クロストレックでは、e-BOXERと呼ばれている。2代目GP系XVは、2.0Lガソリンのみの設定だ。駆動方式は、全車4WDのみとなっている。

 

2017年に3代目GT系XVが登場した。最新のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が採用され、運動性能が大幅に向上した。安全装備面も充実している。歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「アイサイト」を全車標準装備した。さらに、歩行者用エアバッグも全車に標準装備するなど、クラストップレベルの安全性能を手に入れた。

クロストレックのベースとなるインプレッサは、優れた運動性能や安全性能などが高く評価され、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

2018年には、3代目GT系XVのパワーユニットにハイブリッドの2.0L e-BOXERを追加した。その他、1.6Lと2.0Lのガソリンエンジンが用意されていた。駆動方式は、全車4WDのみだ。

 

2022年12月にGU系スバル クロストレックが発表された。プラットフォームであるSGPは、3代目GT系XVから改良し、使用されている。

パワーユニットは、2.0L e-BOXERのみだ。グレードは、2グレードとシンプルになった。GU系クロストレックでは、FF(前輪駆動)も設定された。FFモデルを設定したことで、エントリーグレードの価格が下がり、選びやすくなっている。

安全装備面では、自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「アイサイト」が、大幅に機能向上している。従来のステレオカメラに広角単眼カメラがプラスした。よりワイドに監視できるようになったことで、見通しの悪い道や交差点内の右左折などでの衝突リスクを軽減してくれる。

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スバル クロストレックの走行性能

卓越した運動性能

クロストレックの運転席、インパネの画像

スバル クロストレックは、先代のGT系XVと同じプラットフォームを採用している。プラットフォームは、そのまま使用するのではなく、フルインナーフレームを構造化した。また、構造用接着剤を積極的に採用している。さらに、サスペンションメンバーやリアのサブフレームなどの取り付け部の締結力も強化した。こうした改良により、ボディのねじり剛性は約10%アップした。その結果、SUVとは思えないような反応の早いハンドリングや快適な乗り心地になっている。

パワーユニットは、e-BOXERのみの設定だ。FB20型2.0L水平対向4気筒エンジン+モーターを組み合わせている。145ps&188Nmのエンジン出力に加え、13.6ps&65Nmの小さなモーターが加わるシステムだ。小さな出力のモーターとはいえ、それなりに存在感があった。パワフルとまではいかないが、1,610㎏という車重には十分なため、加速性能に不満はない。モーターのみでのEV走行は、走行できるシーンが限定される。だが、アクセルレスポンスが優れているため、アクセルを踏むと、瞬時に最大トルクを発生させるモーターがエンジンをアシストする。クルマと一体感のある走りを楽しむことが可能だ。

 

クロストレックには、新開発のフロントシートが採用されている。シート構造は、腰の仙骨部分をしっかりと押さえ、体や頭部の揺れを抑えることに成功した。その結果、クルマ酔いのような不快感を抑制し、乗り心地が快適に感じるシートとなった。カーブで車体が大きく傾いても、シートがしっかりと体を支えるので、安心感も増している。

先代GT系XVの走行性能も高いレベルにあったが、乗り心地や静粛性、ハンドリングなどは大きく進化している。より上質感があるクルマに仕上がった。

スバル クロストレックの燃費性能

ハイブリッドだが、燃費はやや物足りない

スバル クロストレックの燃費は以下の通りだ(すべてWLTCモード)。

 

燃費

2.0L e-BOXER FF車

16.4km/L

2.0L e-BOXER 4WD車

15.8km/L

先代GT系XVの燃費は以下の通りだ(全車4WD)。

 

燃費

1.6L

13.3km/L

2.0L

16.4km/L(JC08モード)

2.0L e-BOXER

15.0km/L

トヨタ カローラクロス(改良前)の燃費は以下の通りだ。

 

FF

E-Four

1.8Lハイブリッド

26.2km/L

24.2km/L

1.8Lガソリン

14.4km/L

マツダCX-30の燃費は以下の通りだ。

 

FF

4WD

2.0Lガソリン

16.2km/L

15.5km/L

1.8Lディーゼル

19.5km/L

18.7km/L

2.0L e-SKYACTIV X

17.4km/L

16.6km/L

スバル クロストレックのパワーユニットは、e-BOXERのみの設定だ。e-BOXERは、FB20型2.0L水平対向4気筒エンジン+モーターを組み合わせている。1モーター式で、13.6ps&65Nmと小さなモーターが加わるシステムだ。そのため、EV走行できるシーンが限定されるため、燃費を稼ぎにくい。一般的なガソリン車より、やや燃費が良い程度だ。

それでも、クロストレックではエンジン単体やCVT制御などに改良を加え、先代GT系XVより燃費を向上させている。

マツダCX-30のモーターが装着されていない2.0Lの純ガソリン車の燃費よりわずかに勝っているレベルだ。しかし、世界トップレベルの燃費性能を誇るトヨタ カローラクロスハイブリッドの燃費は24.2km/L(E-Four、WLTCモード)とは、大きな差になっている。

さらに、CX-30の1.8Lディーゼル車とは、大差が付いている。クロストレックは、ハイブリッド車ではあるものの、燃費性能重視という人には選ばれにくいモデルだ。

スバル クロストレックの安全装備

圧倒的クラストップレベルの実力

スバル クロストレックの予防安全装備は、このクラスで世界トップレベルを誇る。スバルの予防安全装備パッケージといえば知名度の高い「アイサイト」だ。従来のアイサイトは、2つのカメラを使ったステレオカメラ方式を採用している。今回、クロストレックでは3つ目の広角カメラを追加した。

この広角カメラが追加されたことによって、よりワイドな視界を得ることができた。その結果、衝突リスクを大幅に軽減できるようになった。広角カメラは、交差点内で右左折時の対向歩行者や自転車、バイクなどが発見できる。また、右折時の対向にも対応する。交差点内は衝突リスクの高い場所なため、頼りになる機能だ。重要な自動ブレーキは、歩行者と自転車、自動二輪にも対応している。

 

さらに、ドライバー異常時対応システムも装備した。病気などで意識を失ったドライバーなどが暴走することで起きる2次被害リスクを軽減するシステムだ。システムが、ドライバーに異常があり、車両の運転ができていないと判断すると、ハザード点滅やホーンを鳴らすなどし、徐々に減速し停止する。停止後は、ヘルプネットへ接続し、救急・警察への通報も行われる。このシステムは、全車速追従式クルーズコントロール(アイサイト・ツーリングアシスト)の使用時など、活用できるシーンは限定される。

こうした、自動ブレーキ作動対象の多さや、交差点内での衝突リスク軽減機能などは、世界的にもクラストップレベル実力だ。

先代GT系XVの予防安全装備は、高いレベルにあり、今でも業界平均レベルにある。最新のクロストレックは、GT系XVよりも、安全なクルマに仕上がっている。

クロストレックのお勧めグレードは?

スバル クロストレックのグレード構成は、とてもシンプルだ。エントリーグレードのツーリングと最上級グレードのリミテッドの2グレード構成となっている。それぞれに、FF(前輪駆動)と4WDが設定されている。

お勧めグレードはリミテッドだ。価格は上級グレードのリミテッドの方が高い。グレード間の価格差は、約41万円だ。そのため、装備差は大きい。主な装備差は、下記の通りだ。

  • 6インチセンターインフォメーションディスプレイ
  • フルLEDランプ
  • 運転席助手席パワーシート
  • アダプティブドライビングビーム
  • デジタルマルチビューモニター
  • 前側方警戒アシスト
  • ドライバーモニタリングシステム
  • リヤビューカメラ
  • コネクティッドサービス

これらの装備は、ツーリングでもオプション装着できるものもある。しかし、魅力的なオプション装備をプラスしていくと、リミテッドに近い価格となってしまうパターンが多い。装備差と装備の価値を加味すると、リミテッドを買った方がお得に感じるだろう。

4WDかFFかという選択は、予算と使い方次第だろう。降雪地域に住んでいる、ウインタースポーツ、キャンプなどを積極的に楽しみたいならば、悪路に強い4WDという選択になる。ほぼ街中でしか使わない、予算重視というのであればFFということになる。予算に余裕があるのなら4WDがよい。雨の中の走行などでは、4WDの安心感や安定感は格別だからだ。

クロストレックの初期受注データによると、約75%が最上級グレードのリミテッドを選択している。その中の72%が4WDを選んでいる結果となっている。

クロストレックの値引きはいくら?おすすめの値引き交渉術

クロストレックのライバル車の車両画像。

※左上図:クロストレック。右上図:ZR-V。左下図:CX-30。右下図:カローラクロス。

スバル クロストレックは、2023年春に販売が開始されたばかりの新型車だ。そのため、値引きはかなり厳しい。デビューから1年くらいは、値引きゼロベースから5万円位と考えられる。上手に交渉して10万円前後といったレベルになるだろう。ただし、何もしなければ、本当に値引きゼロになる可能性が極めて高くなる。そのため、値引きの交渉術として、しっかりとライバル車と競合させることが重要だ。

クロストレックは、CセグメントのコンパクトSUVに属する。そのため、ライバル車はトヨタ カローラクロスやマツダCX-30、ホンダZR-Vあたりだ。こうしたモデルの見積りを先に取り、商談に向かう。先にライバル車の見積りを取りに行った帰りに、クロストレックを見に来た、という軽い感じで商談するとよい。あくまで、本命はライバル車だと思わせることが重要だ。「条件次第ではクロストレックもあり」と、購入意欲を示すのも大切である。営業マンに、ライバル車を欲しいと思っている客に対して、クロストレックを買わせたいと思わせることができれば、徐々に値引き額が増えてくるはずだ。

新車クロストレックと中古GT系XV、お勧めはどっち?

値引きが少ないなら、先代XVもあり!?

クロストレックとXVの車両画像。

※左図:クロストレック。右図:XV

クロストレックは、新型車のため、ほぼすべての部分で先代のGT系XVを上回るパフォーマンスを持っている。性能だけを比較するなら、クロストレックがお勧めとなる。だが、クロストレックと先代GT系XVの性能差は、それほど大きくない。さらに、先代GT系XVは中古車なので価格が安価だ。価格も含めた評価になると、何を重要視するかで選択は異なる。

先代GT系XVの中古車相場は、2019年式の大幅改良前モデルで約180~240万円となっている。新車価格が約220~290万円(4WD)くらいだったので、新車価格の82~83%とかなり高値を維持している。XV人気の高さが表れている中古車相場だ。

これだけ中古車価格が高いのであれば、新車を買うという判断になる。しかし、クロストレックの新車価格は高く設定されている。クロストレックの新車価格は、約290~330万円(4WD)と、先代GT系XVよりもかなり高価になった。高値維持の中古先代GT系XV(2019年式)と、クロストレックの新車価格を比べると、約90万円安価といった状態になる。これだけ価格が異なると、予算重視であれば先代GT系XVという選択もありだろう。先代GT系XVの2.0e-Sアイサイトか、アドバンスを約200万円で購入できれば買い得感もあるのでお勧めだ。

<関連記事>クロストレックとXVの違いは?新旧型モデルを徹底比較

XV(2019年式以降~)の中古車情報をチェックする>

スバル クロストレックの価格

 

FF

AWD

クロストレックTouring

2,662,000円

2,882,000円

クロストレックLimited

3,069,000円

3,289,000円

クロストレックの燃費、サイズなどスペック

代表グレード

クロストレックリミテッド 4WD

ボディサイズ

全長4,480mm×全幅1,800mm×全高1,575mm

ホイールベース

2,670mm

最低地上高

200mm

車両重量

1,560kg

エンジンタイプ

水平対向4気筒 DOHC16バルブ

総排気量

1,995cc

最高出力

107kW(145ps)/6,000rpm

最大トルク

188N・m(19.2kgm)/4,000rpm

モーター最高出力

10kW(13.6ps)/rpm

モーター最大トルク

65N・m(6.6kgm)/rpm

電力用主電池

リチウムイオン電池

燃費(WLTCモード)

15.8km/L

駆動方式

4輪駆動(4WD)

トランスミッション

CVT

サスペンション

前:ストラット 後:ダブルウイッシュボーン

タイヤ

前後:225/55R18 オールシーズンタイヤ

最小回転半径

5.4m

クロストレックのカタログ情報

現行モデル
令和4年9月(2022年9月)〜現在
新車時価格
266.2万円〜328.9万円

クロストレックの在庫が現在9件あります

以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員