3月23日(木)より、車両購入に対する2023年度(令和5年度)CEV補助金の申請受付が開始されました。交付条件や補助金の支給額、2022年度との違いを解説します。
CEV補助金が3月23日より受付開始
CEV補助金とは、電気自動車(EV)をはじめとするクリーンエネルギー車の購入や、V2H充放電設備などインフラ設備の導入時に国から受けられる補助金のことです。
2023年3月23日より申請受付が開始されたのは、令和4年度補正予算分の車両購入に対する補助金。対象には2023年4月以降の登録車両だけでなく、2022年11月8日~2023年3月末までの登録車両も含まれます。
予算は900億円に拡充
2022年度のCEV補助金(車両購入分)に充てられた予算は、令和3年度補正予算375億円と令和4年度当初予算115億円を合わせた合計530億円分でした。
これに対して令和4年度補正予算でCEV補助金に充てられた金額は700億円。さらに経済産業省は令和5年度当初予算案でも200億円を計上し、2023年度のCEV補助金の予算は合計900億円となる見込みです。
対象車両と補助額
車両購入で補助の対象になるのは、2022年11月8日以降に新車登録(届出)を行ったクリーンエネルギー車。対象車両の種類と補助額は以下の通りです。
新車登録日と購入条件 /車の種類 |
2022年11月8日~2023年3月31日 | 2023年4月1日~未定 | ||
---|---|---|---|---|
ベース | 条件付き (外部給電機能付き) |
ベース | 条件付き※2 | |
電気自動車(EV) | 上限65万円 | 上限85万円 | 上限65万円※1 | 上限85万円※1 |
軽EV | 上限45万円 | 上限55万円 | 上限45万円※1 | 上限55万円※1 |
プラグインハイブリッド車(PHEV) | 上限45万円 | 上限55万円 | 上限45万円※1 | 上限55万円※1 |
燃料電池車(FCV) | 上限230万円 | 上限255万円 | 上限230万円※1 | 上限255万円※1 |
超小型モビリティ(個人利用) | 定額25万円 | 定額35万円 | 定額25万円 | 定額35万円 |
ミニカー(個人利用) | 定額20万円 | 定額30万円 | 定額20万円 | 定額30万円 |
電動二輪 | 6~12万円 | ー | 6~12万円 | ー |
クリーンディーゼル車(CDV) | 上限15万円 | ー | 交付なし | 交付なし |
※1 車両価格が税込840万円以上の高額車両(EV、PHEV及びFCV)は、算定の補助額に価格係数0.8を乗じる
※2 2023年4月以降の登録車両(EV及びPHEV)では、外部給電機能を有し、かつ省エネ法トップランナー制度の2030年度燃費基準の対象となる車両(型式指定自動車)が「条件付き」に認められる
補助額は、基本的に2022年度と2023年度で変わりません。ただし2023年4月以降の登録車両では、交付基準が厳しくなっている部分もあります。詳しくは次の章で確認してください。
具体的な補助金額を知りたい場合は、「補助対象車両一覧(2022年度登録分)」または「補助対象車両一覧(2023年度以降登録分)」を参照してください。
2022年度との交付要件の違い
2023年度CEV補助金では、新車登録(届出)のタイミングによって補助金の交付要件が異なります。
2022年度中に新車登録(届出)を行った車両には、2022年度の交付要件が引き継がれます。一方で、2023年4月1日以降に新車登録を行った車両に対しては、以下のように3つの変更点が生じています。
- 変更① 「条件付き」給付に新条件が追加
- 変更② 高額車両では補助額が減額
- 変更③ クリーンディーゼル車は対象外
変更①「条件付き」給付に新条件が追加
2022年度CEV補助金では、以下のいずれかの外部給電機能を有する車両に対して「条件付き」の金額の補助を行っていました。
- A. 車載コンセント(1500W/AC100V)からの給電機能がある
- B. 外部給電器やV2H 充放電設備を経由して電力を取り出せる
2023年4月以降の登録車両(EV、小型・軽EV及びPHEV)では、上記のいずれかの条件を満たし、且つ「C. 省エネ法トップランナー制度の2030年度燃費基準の対象となる車両(型式指定自動車)」である場合に「条件付き」の金額が給付されます。
【トップランナー制度とは】
エネルギー消費効率の決め方の一つ。対象機器でエネルギー消費効率が最も優れたものを「トップランナー」とし、それを省エネの目標基準に定めてエネルギー消費効率の向上を促す制度のこと。
変更②高額車両では補助額が減額
2023年4月以降の登録車両(EV、PHEV及びFCV)では、車両価格が税抜き840万円以上の高額車両について、補助額が以下のように減額されています(算定された補助額に価格係数0.8を乗じた金額)。
- EV(ベース)…上限52万円
- EV(条件付き)…上限68万円
- PHEV(ベース)…上限36万円
- PHEV(条件付き)…上限44万円
- FCV(ベース)…上限184万円
- FCV(条件付き)…上限204万円
経済産業省は、高額車両への補助額減額の経緯を「価格低減を促す」ためと説明しています。
なお2023年3月23日時点で減額の対象になっているのはベンツやBMW、ポルシェなどの高額車両です。国産車で減額の対象になるクルマはありません。
変更③クリーンディーゼル車は対象外
2022年度では、クリーンディーゼル車の購入時にも最大15万円の補助金を受け取ることができました。しかし2023年4月以降の登録車両は、補助金を受け取れません。
以下の記事では、ディーゼル車廃止に向けた流れについて解説しています。
CEV補助金の申請における注意点
CEV補助金の申請は、購入後いつまでも行える訳ではありません。また今後各自治体からも補助金制度が発表される可能性があります。
注意点①年度途中でも予算満了となれば受付終了
2022年度の場合、車両購入に対する補助金は12月15日到着分を以って予算満了となり、交付が締め切られました。2023年度中に購入した車両全てが補助金を受けられるとは限らないため、年度の後半でクルマの購入を検討している場合はタイミングの見極めが必要です。
注意点②申請は原則登録日から1ヶ月以内
CEV補助金の申請書の締め切りは、車両の新車登録(届出)日から1ヶ月以内(翌月の前日までの消印有効)が原則です。「納車日」でなく「登録日」であることに注意してください。
なお2022年11月8日~2023年3月31日に新車登録が行われた車両については、補助金申請書の提出期限が5月31日(消印有効)までとなっています。
注意点③補助金交付には申請後1~2ヶ月かかる
申請を行っても、実際の補助金の交付には1~2ヶ月程度かかります。申請先では申込車両の審査を1台ずつ行っているため、時間がかかるようです。審査が終了すると補助金交付決定通知が届き、その後1週間程度で補助金が交付されます。
注意点④購入時は自治体の補助金もチェック
自治体によっては、独自でEVやPHEVの購入に対して補助金の交付を行っています。例えば東京都の場合、令和4年度は4月27日よりZEV補助金(EV、PHEV、FCV購入時)の交付を行っていました。
こうした自治体の補助金の中には、CEV補助金と併用できるケースもあります。お住まいの自治体に補助金制度があるかどうかも必ず確認しましょう。
愛車を高く売ることも忘れずに
2023年度CEV補助金は、クリーンエネルギー車の普及を目指して昨年度以上の予算が投入されています。一方で、高額車両への補助額の低減や、交付要件の見直しも行われました。購入予定のクルマの補助額等を確認してください。
車両購入では、補助金とともに愛車の売却額も意識しましょう。買い替えの場合、愛車を高く売却できれば次のクルマの購入費に充てることもできます。ガリバーでは各車種の買取相場や買取実績を公開しているので、下取り前の確認にご活用ください。