メルセデス・ベンツはエントリーモデルでも新車価格が400万円を超える。中古車になると価格が安くなり、購入を心配する人もいるだろう。今回はベンツの中古車を購入しても問題ない理由と、購入にあたって確認・注意すべき点を解説する。
- メルセデス・ベンツの中古車はやめたほうがいい? その理由は?
- メルセデス・ベンツの中古車が安い理由とは?
- メルセデス・ベンツの中古車を購入する時の注意点
- メルセデス・ベンツお勧め中古車3選
- まとめ:中古車でベンツもあり!
メルセデス・ベンツの中古車はやめたほうがいい? その理由は?
根拠なき「輸入車が壊れやすい」というイメージが原因
最近の輸入車は、昔と比べて品質や耐久性は大幅に向上している。日本車ほどではないが、壊れにくい車となっている。
しかし、輸入車の購入をやめた方がいいと言われる原因のひとつとして「輸入車は壊れやすい」という昔のイメージが今でも語り継がれたことが挙げられる。
日本車は、昔から壊れないことを重要し開発されてきた。部品の精度や耐久性はもちろん、組み立て精度も高かった。
一方、昔の輸入車は、品質の高い日本車に比べると壊れやすかった。日本の高温多湿、とにかく多い渋滞とストップ&ゴーの繰り返しなど、日本の環境に合っていなかったことが挙げられる。
そのため、日本車から輸入車に乗り換えたユーザーは、「輸入車は壊れやすい」というイメージを強く持った。
現在の輸入車は、品質や性能が向上し壊れにくい車となっている。今でも「輸入車は壊れやすい」と誤解している人も一定数いるが、これは昔のイメージや口コミが根拠なく伝わっているからだと考えられる。
こうした不安から、販売台数の多いベンツですら「メルセデス・ベンツの中古車はやめた方がいい」というワードで検索されるようになったのだろう。これは、メルセデス・ベンツだけの問題でなく、輸入車全般についたイメージの問題と考えられる。
輸入中古車の場合、メーカー毎の壊れやすさというより、個車毎のコンディションの問題でもある。
コンディションでチェックすべき点はこの記事の後半で紹介する。
メルセデス・ベンツの中古車が安い理由とは?
プレミアムブランドは中古車になると買い手が少なくなる
メルセデス・ベンツはCセグメントに分類される。Aクラスの新車価格は約440万円~と、高額車に当てはまる価格帯だ。
プレミアムブランド車の中心購入層である高所得者は、新車を好む傾向があるため、中古になるとなかなか売れにくいとされている。
買い手が少なければ、中古車価格は下がる。メルセデス・ベンツの中古車価格はこのような原理で安くなっているのだ。
また、メルセデス・ベンツの象徴的なモデルとしてセダンがある。近年、セダンの人気が低迷していることもあり、さらに安く感じるだろう。
世界的に人気のSUVは、メルセデス・ベンツでも高値維持
SUVは、新車・中古車問わず高い人気を誇っている。中古車価格は、マーケットでの人気で決まるため、ほとんどの中古SUVは高値を維持している。
セダンでは、やや安価なメルセデス・ベンツでも、SUVは別だ。しかも、プレミアムブランドのメルセデス・ベンツというのもあり、高値を維持し続けている。
未使用車の存在が中古車価格を下げている
未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で、買い手がいないのに登録した車両のことだ。未使用車が多く流通すると、中古車価格が下がりやすい。
未使用車は、一度登録すると中古車扱いになるので、新車コンディションでも中古車店に並ぶ。未使用車でも新車と同価格帯では売れないため、価格を大幅に下げて販売される。それに連動して、高年式中古車も価格を下げることになるのだ。
また、需要と供給のバランスも中古車価格に大きな影響を与える。とくに、需要の少ないセダンモデルは、価格も大幅に下がりやすい。
これは、リセールバリューにも影響する。新車に乗り換えるときの下取り価格や買い取り価格も下がるため、新車に乗換えにくくなるのだ。
ただし、購入する側にとっては、未使用車はメリットが大きい。
新車と比べ大幅に価格が安く、車種によっては、新車価格より100万円以上安価なこともあるからだ。
新車コンディションで、安価なら買い得である。
メルセデス・ベンツの中古車を購入する時の注意点
中古車相場は確認必須! 極端に安価な車両は要注意
中古車相場より極端に安価な車両は、注意が必要だ。
中古車店は利益を出したいと考えるが、価格が高過ぎると売れない。そのため、中古車相場を注視しながら価格を付けている。
また、修復歴(事故車)ありの車両を伏せて売る中古車店も少なからず存在する。こういった事例は、最近は少なくなってはいる。だが「中古車相場よりも妙に安いな」と感じたら疑って調べることが重要である。修復歴ありではなくても、基幹部分の調子が悪い、どこかが壊れそうなど、売り手にとって都合の悪いことが隠されている可能性があるからだ。
中古車相場の確認方法には、中古車検索サイトを使うと良いだろう。車種、グレード、年式を選択し、価格を安価な順に並べると確認することができる。
走行距離や色、程度などにより価格が異なるが、おおよその中古車相場が見えてくる。
整備記録簿付き、高年式&ワンオーナーがおすすめ
整備記録簿は、人間でいう病院のカルテのようなものだ。いつ、どこで、何の整備・点検・修理をしたか記載されている。この記録簿が無い車両は、避けた方がベターだ。どんな扱いを受けてきたか分からない。
もちろん、整備記録簿があればいいというものではない。定期点検や点検記録を確認することも重要だ。
定期点検をしっかりと受けていれば、消耗品なども含めしっかりと交換されているはずなので、後々の故障リスクも低い。
メルセデス・ベンツの高年式のワンオーナー車(新車時に購入した人だけが所有していた車両)であれば、定期点検などはしっかりと受けているケースが多く、程度のよい車両も多い。
しっかり整備している車両であれば、多少走行距離が長く、年式が古くても安心して乗れるだろう。
輸入車ビギナーは、高年式&保証期間が長い車両を
輸入車ビギナーにおすすめしたいのは、下記条件に当てはまる輸入中古車だ。
- ワンオーナー
- 高年式で新車保証が継承されている
- 整備記録簿がある
- しっかり整備されている
- 走行距離が少なめ
プレミアムブランドのメルセデス・ベンツでも、経年劣化は避けられない。車両が古くなれば、部品交換の頻度も増え、故障リスクも高くなる。せっかく購入した輸入車が壊れてばかりでは、余計な出費が増える一方だ。
ビギナー条件を満たした車両であっても、機械なので故障する可能性はある。そのため、購入したお店独自の保証があれば、さらにお勧めだ。
超高額車の低年式車は、容易に手を出すのはNG
メルセデス・ベンツのフラッグシップセダンであるSクラスは、中古車になるとグッと買い得感が出てくる。セダン人気の低さや、高額車の中古車を選ぶ人が少ないなどの理由によるものだ。
例えば、6代目のW222型Sクラスで、最上級グレードとなるS63AMGの新車価格帯は約2,400~3,200万円だ。これが、中古の2014年式になると約580~900万円で売られている。なんと、新車価格の24~28%にまで価格が落ちている。
低年式化しているとはいえ、未だその性能は高いレベルにある。2,400万円を超えるような超高級車が約580~900万円で購入できるのであれば、一度は手に入れてみたいと思うはずだ。
しかし、なんとか購入できたとしても、その先には大きな落とし穴があり得るので注意したい。超高級車で低年式車の場合、保証も切れているケースが多く、修理費はほぼ自費になる。超高級車らしく、ちょっとした修理費でも超高額になりやすい。「憧れのクルマを手に入れても、維持できず、即売却。残ったのは借金だけ…。」そんなケースも少なからず耳にする。
低年式の超高級車に手を出すのは、維持するだけの覚悟とお金が必要だ。
メルセデス・ベンツお勧め中古車3選
メルセデス・ベンツらしさが味わえ、買い得感もあるおすすめ車種を紹介する。
メルセデス・ベンツ Cクラス
輸入車の中でも、BMW3シリーズと並び、高い人気を博しているのがメルセデス・ベンツCクラスである。現行のW206型6代目Cクラスは、2021年に登場したばかりだ。中古車価格もまだ高めを維持している。
お勧めは、2014~2021年に発売された先代モデルのW205型Cクラスだ。中でもお勧めのグレードは、2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載した220d系である。
※上図: 220d アバンギャルド AMGライン
スポーティなルックスと装備で人気の220dアバンギャルドやローレウスエディションがイチオシだ。ディーゼルエンジンなので、燃費も当時18.9km/L(JC08モード)と良好だった。
年式では、2018年のマイナーチェンジ後のモデルが狙い目といえる。Cクラスで2019年式220dアバンギャルド系とローレウスエディションの中古車相場は、約310~400万円だ。新車価格が590~610万円程度だったので、新車価格の53~66%にまで価格が落ちている。新車価格の55%以下程度であれば、買い得感ある車両といえそうだ。
メルセデス・ベンツEQC 先進EVがお買い得!?
※上図:EQC
メルセデス・ベンツEQCはBEV(バッテリー電気自動車)として2019年に登場した。化石燃料を使うSUVのGLCがベースだ。
EQCには、80kWhもの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載している。航続距離は400km(WLTCモード)を誇る。
モーターは、前後各1基、計2基搭載した4WDだ。モーター出力はなんと408ps&765Nmも有する。停止状態からアクセルを床まで踏み込むと、もはや暴力的ともいえる強烈な加速を始める。ドライバーは、瞬時に体をシートに押し付けられるほどの強烈なGに見舞われるほどだ。
通常走行では、モーター駆動らしくスムースそのものだ。BEVらしい静粛性の高さと安定したスポーティな走りも楽しめる。
そんな先進技術の塊であるEQCが、なかなか買い得感がある価格帯に入ってきた。
2020年式の中古車価格は、おおよそ670~800万円だ。中古車流通量が少ないので、価格帯が広い。新車価格は、約1,080~1,200万円だ。中古車価格は、新車価格の約62~67%にまで落ちている。
この中古車価格はかなり買い得感がある。新車との価格差は非常に大きいので、EQCはまさに中古車で買うべきBEVといえる。
GLC 人気SUVだが年式次第で買い得感アップ
メルセデス・ベンツ GLCは、CクラスをベースとしたSUVだ。SUVながら、スポーティな走りが高いモデルといえる。2019年のマイナーチェンジ前となる前期モデルには、2.0Lターボと2.2Lディーゼルターボ、2.0LターボのPHEV用意されていた(年式によってグレード名は異なる。)
お勧めは、2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載した220d系だ。最大トルクは400Nmを誇り、SUVで車重が重いGLCとの相性は抜群だ。
※上図:GLC 220d 4マチックスポーツ
前期モデルである2018年式GLC 220d系の中古車価格は、約370~470万円だ。新車価格が640~760万円程度だったので、新車価格の約58~62%にまで落ちてきている。もう少し中古車価格が落ちることを期待したいところだ。しかし爆発的なSUV人気が続いているため、2018年式でも高値を維持している。SUV人気が続く限り、リセール価格が急激に下がることは考えにくい。少し高い中古車価格だが、短期での売却なら高値で売れるので十分な買い得感といえそうだ。
後期モデルの中古車価格は非常に高いため、まだ買い時とは言い難い。
まとめ:中古車でベンツもあり!
今回紹介したようにベンツをはじめとした輸入車の購入で、中古車をやめたほうがいいという根拠はない。購入が初めてという人は、高年式の車のなかで買い得感があるものを中心に探してみるようにしよう。