車のサビ放置はダメ!錆止め・錆取りを整備士が解説

車のサビ放置はダメ!錆止め・錆取りを整備士が解説

車のサビは様々な要因で発生します。自分で応急処置が出来るたり、予防ができたりするサビもあれば、車の下回りのサビといった業者に対応をお願いした方がいいものもあります。今回は車のサビが出来る要因や応急処置、予防策を中心に開設します。

車のサビを放置してはいけない理由

車に発生した錆は車のボディや塗装、サスペンションやブレーキといった各部品を侵食し、部品の劣化を早めます。

長年、錆を放置しているとフロアに穴が開いてしまうほど錆で酷く朽ち果て、室内から車外が見えてしまうような車も、わたし自身遭遇したことがあります。

また、車のサビを放置することは安全面でも非常に危険です。たとえば、錆により足回りやブレーキ回りの部品が固着して正常にブレーキが作動しなくなることも、決して珍しい話ではありません。
そのため、車の錆を放置することは、可能な限り避けなければいけません。

車にサビが出来る要因

車に錆ができる要因は様々ですが、外的な要因がほとんどです。
住んでる地域によっては、錆の被害が受けやすい場所もあります。
特に降雪地帯や沿岸部では錆が発生しやすいです。

車にサビが出来る要因

主なサビの要因

車の主な錆の要因と、どのような被害が出るのかを以下にまとめました。

  1. 飛び石
    ボディに傷がつき塗装が剥げた所からボディに錆が発生
  2. ぶつけたり、擦った痕を放置
    →飛び石による要因と同様
  3. 潮風(沿岸部)
    →潮風がボディや下回りなどに当たり、車の様々な部分に塩分が付着することで錆が発生。酷い場合はボディの腐食にもつながる。
  4. 融雪剤
    →融雪剤に使用される(塩化カルシウム等)が、車の下回りを中心に付着することで、足回りブレーキ回りや、フロアを含むボディ下端部に錆が発生。酷い場合はボディの腐食にもつながる。
  5. 鉄粉
    →線路の近くや工場地帯などで被害を受けやすい。ボディに付着し放置したままにしておくと錆の発生原因になることがある。
  6. 雨漏れ
    →室内に雨水が侵入して、水気がとどまってしまうと錆の原因になる。パネルの合わせ面や、ラゲッジルームを含む普段は目につかないフロア面に発生しやすい。
  7. 経年劣化
    →錆対策をしていても、使用環境によっては年数経過により、ある程度の錆の発生がある

上記の要因の1,2にあるような傷については応急処置を早めにすることがおすすめです。また、3,4のように環境要因によるものは、日頃のメンテナンスに加えて、かかりつけの整備工場や業者に対策をお願いすることも大切です。詳しくは次章にて解説します。

【補足】車体にポツポツとサビが出来るのは?

車体の下側に、黒色や焦げ茶色のポツポツがたくさんできているのを見つけたり、気付いた人は、一体それがなんなのか不思議に思っていませんでしたか?

一見すると、鉄粉の付着や錆の発生と見間違いがちですが「ピッチタール(通称:ピッチ)」である可能性があります。
これは新しく舗装して間もないアスファルトの上を走ったり、アスファルトが焼けるような夏の暑い日にアスファルトの道路の上を走った時に、跳ね上げて付着する油分を含んだ汚れのひとつです。
錆の原因にはなりませんが、放置し続けていると汚れが落ちづらくなるので、早めに綺麗にすることをおすすめします。

車の傷からの錆止め対策

車のボディに傷ができたときの応急処置の方法と、注意点について解説します。
錆の発生が懸念される、ここでは、前後のバンパー(一部左右サイドステップ含む)以外のボディに傷ができたときの対処方法です。

傷が出来たときの応急処置方法

もっとも簡単な応急処置の方法は、傷の上からタッチアップペイントを塗ることです。
錆が発生する前であればこの処置で問題ないでしょう。

すでに錆が発生していて、錆の拡大を防ぐためには、すこし手間が掛かりますが以下のような手順で応急処置が可能です。

  1. 錆を落とす
    →カー用品店などで販売されている「錆取り剤」を使う。筆塗りタイプやペーストタイプが使いやすくておすすめです。
    すでに錆が進行している場合は、サンドペーパーをあてて錆を削り取る必要があることも。
  2. 錆止めペイント(錆転換剤)を塗る
    →錆止めペイントを塗ることで、錆の被害が拡がらないようにします。錆転換剤というものもあり、これは塗った箇所の錆が錆止めの被膜に変化して、錆の進行を抑えることができます。
  3. タッチアップペイントを塗る
    →ボディカラーに合ったタッチアップペイントを塗ることで、処置した箇所を目立ちにくくします。

錆取りおすすめグッズ

ボディの錆を落としたい場合、カー用品店で手に入るグッズで対策することができます。

値段も手頃で、初手として十分な応急処置ができるおすすめグッズはSOFT99です。

上記の商品は錆に対して筆で直接塗り込みます。
10分ほど置いた後に乾いた布で拭き取ると、浮いてきた錆を落とすことができます。
しつこい錆の場合は、何度も繰り返して施工することで、効果があります。
後処理として、再発を防ぐための錆止め油も同梱されていて便利です。


また液体だと垂れてしまって、うまく患部に塗り込めない場合には、以下のようなゼリー状・クリーム状の錆落とし剤もあるので、使用箇所に応じて使い分けることをおすすめします。

セルフで錆止めするときの注意点と範囲の目安

先ほど紹介した応急処置は、あくまで応急処置です。
指の爪の大きさくらいまでなら、セルフでやっても目立ちにくいので良いですが、それ以上広い範囲であれば、補修の専門業者である板金塗装屋さんに依頼するのが、確実かつ綺麗に仕上がるのでおすすめです。

特に錆びた箇所に凹みが発生していると、セルフで修理をするハードルは高いです。
応急処置は「あまり車の見た目は気にならないけど、錆が拡がるのは嫌」と考える人におすすめです。
それ以外の人は修理費用を払って、なるべく早めにプロに綺麗にしてもらうのがベストです。

日頃できるサビの予防対策

大切な愛車を錆から守りたいあなたに、日頃から簡単にできる錆の予防策を紹介します。

セルフで出来る予防策

潮風や融雪剤による塩害に起因する錆発生の予防策は、高圧洗浄機を使用してマメに車のボディや下回りを洗浄することです。
特に融雪剤の撒かれた場所を走行した場合は、付着した融雪剤をなるべく早く高圧洗浄機で洗い流します。

整備工場で下回りにパスター・防錆塗装などを施工してもらうことも予防策として大切ですが、最大の予防策は「マメに洗い流す」ことに尽きます。
高圧洗浄機がない場合は、散水ホースのノズルで「ジェット」にして塩分を洗い流すだけでも、何もしないのと比較すると全然違います。
また、鉄粉によるボディの錆予防策として、洗車のときにたっぷりの水をかけ流しながら「鉄粉除去専用の粘土クリーナー」を使用して、定期的に鉄粉を除去することが大切です。

セルフでは難しいサビやすいところは?

セルフではどうしても錆を予防することが難しいところは、車の下回りや足回りです。
一般ユーザーにとって普段、目につく場所ではないので錆に気付きづらい点も要因のひとつです。
下回り・足回りは塩害や水気による錆の影響を受けやすいので、車の新しい古い関係なく対策するにこしたことはありません。
しかし、下回りや足回りの錆対策や処置を十分に実施するには、タイヤを外して車をリフトアップできる環境がなければ難しいです。
整備工場・業者に依頼して錆対策してもらうことをおすすめします。

車の下回りのサビはどうしたらいいの?

整備工場には、下回りの「防錆コート」や「パスター塗装」といった錆対策メニューの用意もあるので、ぜひ相談してみましょう。
どれくらい長持ちするのか?防錆剤の成分など、さまざまな種類があります。

長く車に乗り続ける場合、足回りや下回りの錆対策・予防は、後々の各所部品の交換や整備に際してボルト1本がスムーズにはずれる・はずれない…といった問題に直結します。
錆が酷くなってからでは遅いです。
可能な限り早いうちから、定期的に錆対策の実施をするのが良いでしょう。

車のサビに関する整備士まとめ

車の錆対策・予防は定期的にプロに任せないと難しいものもあれば、日常的にできる簡単なものまで様々です。
特に沿岸部や、融雪剤の撒かれる地域に住んでいる方は、日常的な洗浄と防錆コート等の錆対策は必須と考えてもよいでしょう。
また、ボディにできた傷がボディの素地まで達している場合、錆が発生するのはあっという間です。
応急処置はあくまできちんと修理するまでの繋ぎとして、今後も車に長く乗り続けたい場合は、業者さんに確実かつ綺麗に修理してもらうようにしましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。