- この記事の目次 CONTENTS
- バッテリー上がりを確認する方法
- バッテリー上がりと似た症状は?
- 車のバッテリー上がりの原因は?
- バッテリー上がりの対処法
- バッテリー上がりでやってはいけないことは?
- バッテリー上がりの前兆と予防法
- バッテリー上がりは日ごろのメンテナンスが大切
バッテリー上がりはロードサービス出動理由の40〜50%と言われるほど、身近なトラブルです。
出先などで急にバッテリー上がりに見舞われると、その後の予定も狂ってしまいます。
この記事では、もしもの時に冷静に対処できるように、バッテリー上がりの原因とその対処方法を、現役整備士が解説します。
バッテリー上がりを確認する方法
手順1:イグニッションをONにする
バッテリー上がりを確認するには、まずイグニッションをONにします。
プッシュボタンスタート式でのイグニッションをONにする方法
→国産車であれば、ブレーキを踏まずにボタンを2回押す
→輸入車であれば、ブレーキを踏まずにボタンを1回押す
キーシリンダ式でのイグニッションをONにする方法
→キーをIG-ON位置まで回す
手順2:各設備の状態を確認する
イグニッションをONにした状態で車内のナビやメーター、エアコンパネルなどの照明の状態や動きを確認します。
以下のような症状はバッテリーが上がり、電圧が下がっていることで起きている可能性が高いです。
- 照明がチカチカしてる
- 照明が薄い(暗い)
- いつもは点灯する照明が点灯しない
- ナビが起動しない
- メーターが起動しない
- メーターが変な動きをする
手順3:いつも通りにエンジンをかけてみる
以下の症状が確認できたときも、バッテリー上がりの可能性が高いです。
- セルモーター(スターター)の回る音がするが、弱くてエンジンがかからない
- セルモーター(スターター)のピニオンが出る音(カチカチ音)はするが、エンジンがかからない
- 車はエンジンをかけようとするが、うんともすんとも言わない(その間、メーター内照明等は一旦暗くなる)
補足:その他のバッテリー上がりの確認方法
以下のような症状もバッテリー上がりの参考になります。
ただし、先に解説した確認方法の方が確実な判断ができるでしょう。
- キーレスの電池が間違いなくあるのに反応しない
- ルームランプが点かない
- ハザードスイッチを押してもハザードが点かない
バッテリー上がりと似た症状は?
バッテリー上がりと似ている症状がいくつかあるので紹介します。
以下の3つは車に異常がある訳ではなく、適切な方法を取ればエンジンをかけることができるパターンです。
- AT車であればPレンジまたはNレンジにギヤが入っていない
- MT車であれば、クラッチを踏んでエンジンをかけていない(車種による)
- ガス欠を起こしている
一方で以下のような原因でエンジンがかからない可能性もあります。
- エンジンのコンピュータやセンサー等が壊れている
- セルモーター(スターター)の故障
- 燃料ポンプの故障
- フューズ切れ(特定の箇所。他に要因がある可能性あり)
これらが原因の場合、修理を要するのでユーザー自身で対応することは難しいです。
そのため、車屋さんに診断・修理を依頼することになるでしょう。
車のバッテリー上がりの原因は?
車のバッテリーが上がってしまうのには、主に5つの原因が考えられます。
バッテリーに蓄えている電気が無くなると、バッテリー上がりが起きます。
ここでは5つの原因がバッテリー上がりにつながる理由を解説します。
ライトをつけたままにしている
エンジンを切った状態で、ヘッドライトやルームランプを点けたまま放置していると、バッテリーは充電されずに、一方的に電力を消費するだけです。
そのため、最終的にはバッテリーが上がってしまいます。
車種によっては、ライトの消し忘れによるバッテリー上がりを防ぐための機能を備えている場合があります。
例えば、エンジンをオフにすると、ライトがON状態でも自動で消えたり、ルームランプが一定時間後に自動消灯したりする機能です。
また昨今、従来のバルブに代わって省電力のLEDが普及したことにより、消し忘れによるバッテリー上がりのリスクは低くなりました。
ただし、機能の改善は一例であり、ライト類の消し忘れがバッテリー上がりの原因の上位であることに変わりはありません。
車のドアを閉めていない
車のドアを閉め忘れていることで、ルームランプ等が消えない、または車両のコンピュータがスリープモードに入らず、電力を消費し続けてしまうことがあります。
これもバッテリー上がりの原因になります。
カー用品が多くの電力を消費している
近年、増えているトラブルは、車両に接続している様々な社外カー用品が原因によるバッテリー上がりです。
例えば、駐車監視モード付きのドラレコは停車中も作動しているので、その分電力を消費しています。
バッテリーが上がらないように、しきい値を設定して自動オフ機能があるものもあります。ただし、安価なドラレコは自動オフが機能しないものもあります。
また、カー用品本体の不具合・不良で過大な電気を消費していることもあります。(安価なタイプに多いトラブル)
例えば、DC/DCコンバーターを車に接続している場合は要注意です。
DC/DCコンバーターはアクセサリーソケットやUSBポートを通してモバイルオーディオや携帯充電器、家庭用コンセントを使うためのものです。
少なくないトラブルとして、商品や車によっては電力が逆流して、IG-OFF後(エンジンを切った後)も車両システムのコンピュータが起動したままになることがあります。
本来スリープしないといけないコンピュータが起動したままになり、電力を消費してしまうのです。
そのほか、レーダー探知機といった社外用品が車両システムに悪影響を及ぼしているパターンもあります。
新しい車・バッテリーなのにバッテリーが上がってしまうというトラブルの場合には、まずはカー用品類の取り扱い状況を確認していただきたいです。
また、車屋さんに診断・修理で入庫する場合は、確実にこれら社外品の使用状況を伝えるようにしましょう。
バッテリー交換をしていない
バッテリー上がりは単純にバッテリーを交換していないことで、バッテリーが寿命を迎えてる場合があります。
バッテリーの寿命は、使用環境や車により大きく左右されますが、早い場合は1〜2年で寿命を迎えることがあります。
長い場合は、5〜7年問題なく使用できることもあります。
以下のような使用環境だとバッテリーが早期に劣化し、上がりやすくなります。
- チョイ乗りが多い
- 車に乗る頻度が少ない
- 駐車監視モード付きドラレコ 装着など、エンジンオフ時の消費電力が大きい
また、アイドリングストップ付き車専用バッテリーは、従来のバッテリーとは内部構造が異なっており、上記のような使用環境はとくに弱いです。
少なくとも半年ごとに、車屋さんでバッテリーの点検をしてもらい、バッテリーが上がってしまう前に劣化したバッテリーを交換するようにしましょう。
車の発電機が発電してない
車の発電機(オルタネーター)の不良で正常な発電ができずに、バッテリーが十分に充電されない結果、バッテリーが上がってしまうことがあります。
走行中に、メーター内に赤色のバッテリー警告灯が点灯していると、充電ができていないことを知らせる警告灯です。
また、警告灯が点灯しないまでも発電能力が落ちていることもあります。
バッテリー上がりの対処法
バッテリーが上がってしまったとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ユーザー自身でできる対処法をいくつか紹介します。
バッテリーの充電をする
バッテリーの充電をすることで、上がってしまったバッテリーが復活することもあります。
充電器はカー用品店やホームセンターで市販されているものでよいです。
バッテリーを交換する
充電するよりも手っ取り早いのは、バッテリーを交換してしまうことです。
ただし、車を整備する知識がないひとがバッテリー交換をするのは、更なるトラブルの元にもなるので危険です。
また、先ほどバッテリーの充電をすると復活すると紹介しましたが、可能であれば一度上がったバッテリーは交換することがベストです。
ロードサービスを呼ぶ
レスキューのプロであるロードサービスを呼ぶことは最善の方法のひとつです。
最近では多くの任意保険にロードサービスが付帯されています。
また、JAFに加入している方も少なくないでしょう。
ロードサービスを呼ぶことで、場合によっては以下のような対応をしてもらえます。
- 簡易的な原因の診断
- ジャンピングスターターでエンジン始動
- バッテリーの交換
- 整備工場にレッカー搬入
「バッテリーが上がってどうしたら良いかわからない…」という方はまず、ロードサービスを呼んでみることをおすすめします。
JAFを呼ぶ場合は短縮ダイヤル#8139を使うと便利です。※
※ロードサービス救援コール 0570-00-8139(全国共通・年中無休・24時間)
または、短縮ダイヤル #8139
※通話料は有料です。固定電話と一部のIP電話等からはご利用になれません。
ジャンピングスターターを使う
ジャンピングスターターをお持ちの方は、それを使ってエンジン始動可能か試してみるとよいでしょう。
また、手元にジャンピングケーブルをお持ちであれば、エンジンがかかった車のバッテリーとバッテリー上がりの車のバッテリーを繋いで、エンジンがかかるか試してみます。
ただし、ケーブルを繋ぐ箇所・順番にはルールがあります。
このルールを理解していないひとがやると、車を壊してしまう恐れもあるので注意しましょう。
質問:バッテリー上がりはしばらくまてばいい?
回答:バッテリーが上がったときは、しばらく待ってから再度試すとかかるかもしれないと考える方もいます。
残念ながら、何もせずにしばらく待ったとしても状況は変わりません。(むしろ悪化します。)
バッテリー上がりでやってはいけないことは?
バッテリーが上がったときにやってはいけないことを解説します。
バッテリー上がりを長時間放置しない
長時間放置することは直接的に、エンジンがかかるか、かからないか、またはバッテリーに悪影響を及ぼす問題ではありません。
車を長時間動かさないことで様々な箇所に不具合や問題が発生するリスクが高まることが問題です。
車に限らず工業製品は、定期的に動かすことが健康につながります。
車のバッテリー上がりを放置し続け、車を動かさないことで具体的に以下のようなリスクが高まります。
- ブレーキ廻りを中心に錆の発生や固着が起きる
- 数年単位となると燃料タンクのガソリンが腐る
- カビの発生
- タイヤやブッシュ類などゴム部品の早期劣化・変形
バッテリー上がりを放置しただけで、余計な修理費用がかかる可能性も出てくるので注意しましょう。
慣れていないなら無理に触らない
バッテリー交換やジャンピングスタートは、車の整備に詳しくなければやるべきでないです。電気に関連する整備は、プロの整備士であっても気をつけるべきポイントがたくさんあります。
- 工具で端子をショートさせてしまった
- バッテリーのプラスとマイナスを逆に繋いでコンピュータが壊れた
- フューズを飛ばしてしまう
- バッテリー交換後の適切な設定・学習ができない
自分は大丈夫だと思っていても、慣れていないひとが整備ミスを起こし、トラブルに見舞われる話は少なくありません。
場合によっては車両火災に及んだり、修理に際して余計な出費が増えるといった問題が出てきます。
取り返しのつかないことになる前に、ロードサービスや車屋さんに頼るようにしましょう。
バッテリー上がりの前兆と予防法
バッテリー上がりの前兆のひとつとして、エンジンのかかりが悪いことが挙げられます。
バッテリーがもっとも電気を使うのが、エンジンをかけるとき(スターターを回すとき)です。
スターターの回る音が、重そう・鈍い・元気がない場合はバッテリーが弱くなっており、バッテリー上がりの前兆である可能性があります。
また、パワーウィンドウの開閉が普段よりも遅くなっていることも、ひとつの目安になります。
とくにエンジンをかけずにIG-ON状態で確認すると顕著にわかりやすいです。
ただし、パワーウィンドウのモーターの劣化やモールの硬化といった要因の可能性もあるので、素人による判断は難しいです。
アイドリングストップ付きの車はバッテリーが弱ってくると、アイドリングストップの頻度が低下、または充電を優先してアイドリングストップをしなくなります。
この車からのサインを放置したままバッテリーを使い続けていると、バッテリーが上がってしまいます。
また、車の発電機(オルタネーター)の不良によりバッテリーが充電されずに、バッテリーが上がってしまう場合は、走行中にメーター内に赤いバッテリーマークの警告灯が点灯したり、電力が足りずに室内の各照明やヘッドライトが暗くなる、ナビが落ちるといった症状が発生します。
バッテリー上がりは日ごろのメンテナンスが大切
バッテリー上がりを予防するためにもっとも大切なことは、日ごろから車のメンテナンスをきちんと実施することです。
少なくとも半年ごとには車屋さんに点検の入庫をし、専用のテスターを使用したバッテリーの点検をしてもらいましょう。
バッテリーの劣化具合を知ることができ、バッテリー上がりを起こす前に交換の必要があることを提案してもらえます。
また、滅多に車に乗らない場合は、バッテリーのマイナス端子を外してバッテリーの電力消費を抑えたり、ユーザー向けのバッテリー充電器を使用して、バッテリーを健康な状態に保つことも大切です。