この記事の目次 CONTENTS
2020年上半期は登録済み未使用車購入のチャンス
おすすめの登録済み未使用車ベスト3
登録済み未使用車が発生する仕組み
登録済み未使用車のメリットとデメリット

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

2020年上半期は登録済み未使用車購入のチャンス

2020年上半期は、安価な登録済み未使用車*が増える見込みだ。

というのも、困ったことに2019年度末は新型コロナの影響や消費増税も重なり、国内の自動車販売は完全に低迷した。
自動車メーカーにとっては、想定外の結果だった。
こうなると、登録済み未使用車が増えるのは必至といったところだ。

自動車メーカーにとっては最悪な状態といえるが、一方で、これからクルマを買いたいと考えている顧客にとっては千載一遇のチャンスといえる。

*初度登録された車両で、かつ使用または運行に供されていない中古車

おすすめの登録済み未使用車ベスト3

そんな登録済み未使用車の中で、おすすめとなるベスト3を選んでみた。

1位:日産セレナ

日産セレナのような人気の5ナンバーのミニバンが、登録済み未使用車になるケースは少ない。
しかし理由は不明だが、現在多くの登録済み未使用車が流通している。
セレナの購入を考えているのであれば、積極的に選択肢に入れたい。

多く流通しているのは、人気グレードであるセレナ ハイウェイスターVの2.0Lガソリン車だ。
新車価格で2,986,500円するモデルが、なんと220万円程度から売られている。
メーカーオプションの有無にもよるが、約70万円引きとなっていてお買い得感がある。
メーカーオプションが装備されているモデルは、200万円台半ばから後半に入る価格が設定されている。

全般的にナビなどは装備されていないモデルが多いので、後で装着する費用を予算に入れておくとよいだろう。
なお、人気のハイブリッド車であるe-POWERの登録済み未使用車は、極端に少ない。

2位:ホンダN-BOX

圧倒的な販売台数で、新車販売台数ランキングでナンバー1を獲得し続けているホンダN-BOX。
しかし、さすがにこの不況下では厳しいようで、大量の登録済み未使用車が発生している。

ただ、注意したいのは、Gグレードでホンダセンシングが装備されていないモデルだ。
価格は110万円前後と安価なのだが、自動ブレーキが無いクルマは避けたい。
自動ブレーキが装備されたGホンダセンシングになると、115万円台前後から売られている。

おすすめは、売れ筋グレードでもあるG・Lホンダセンシング。
新車価格は1,543,300円。こちらは、130万円前後から売られている。
新車価格から約25万円も安い。
登録済み未使用車の流通量も多いので、異なる店舗で競合させて、さらに値引き交渉してみるのもよい。

また、人気のN-BOXカスタムも安い。
カスタムG・Lホンダセンシングの新車価格は1,746,800円。
登録済み未使用車は140万円前後から売られている。なんと、新車と比べると35万円も安い。
予算に余裕があるのであれば、カスタムを選択したほうが満足度は高いだろう。

なお、基準車、カスタム共にETCやナビが装備されている車両を中心に比較検討したい。
ナビやETCは後付けすると高額な出費になるからだ。

N-BOXは、人気・クルマの完成度共に高いモデル。
スーパーハイト系軽自動車を考えているのであれば、選択肢の上位に入れてよいクルマだ。

3位:ダイハツ タント

ダイハツは、元々登録済み未使用車を多く市場に流通させているメーカーのひとつだ。
看板車種でもあるタントの登録済み未使用車も、大量に流通している。

タントのエントリーグレードとなるLの新車価格は、1,331,000円。
タントLの登録済み未使用車価格は、110万円前後。約20万円以上安価だ。

ただし、Lには歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「スマートアシスト」の非装着モデルが設定されており、それなりに流通しているが、注意したい。
安全ではないグレードを選択するのは、購入後大きなリスクになる。
こうした仕様は選択肢から外すのが良いだろう。

Lグレードは装備がシンプルなので、とにかく予算重視という人向けのグレードと言える。
一定の満足度を得たいのであれば、Xグレード以上を選びたい。
タントXの新車価格は1,490,500円。登録済み未使用車の価格は120万円前後から。
約30万円も安い計算になる。
ナビやパッケージオプションなどが付いているモデルなら、さらにお買い得感がある。

人気のタントカスタムは、Xグレードの新車価格が1,699,500円。
登録済み未使用車は、135万円前後からになっている。ざっくり35万円程度安価だ。

現行のタントは、ダイハツの技術コンセプトであるDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用したモデルで、走りの質を従来モデルから大幅に引き上げている。
伝統のピラーレスで大開口を誇るミラクルオープンなど、優れた使い勝手も魅力だ。
Xグレード以上なら、十分に満足できるモデルだといえる。

登録済み未使用車が発生する仕組み

そもそも、登録済み未使用車とは、ディーラーが自社名義で登録(届出)した車両のことだ。
基本的に登録(届出)しただけなので、ほとんど新車コンディション。
しかし一度登録(届出)してしまうと「中古車」扱いになるため中古車販売店で売られる。
こうした登録済み未使用車はとくに軽自動車に多く、登録済み未使用車専門店まで存在する。

登録済み未使用車は、毎年、年度末の3月に多く発生する。
その理由は、ディーラーが決算に向けてインセンティブを得るために、自社名義での登録(届出)を行うケースが多いからだ。
また、自動車メーカー側の理屈もある。
自動車メーカーは計画された生産台数に達しないと利益は出ない。工場を効率よく稼働させなければ、利益に大きな影響が出るのだ。
こうした複雑な要因により自社登録が行われ、その結果、登録済み未使用車が生まれるのだ。

登録済み未使用車のメリットとデメリット

登録済み未使用車は、登録(届出)しただけなので、ほぼ新車コンディションだ。
しかし価格は、新車ではないので新車と比べて大幅に安くなっている。
大量に流通している車種であれば、コンディションが共通ということになると、価格競争になり、さらに安価傾向になる。
こうしたモデルを上手く手に入れることができれば、非常にリーズナブルな買い物となるだろう。

しかし、安価な登録済み未使用車だがデメリットもある。
登録済み未使用車は、新車ではないので自分の好きなグレードや色、メーカーオプションの選択ができない。
今ある現車が自分の好む仕様かどうか、という問題があるのだ。
こうしたデメリットを多少妥協できれば、大きな経済的メリットが得られるだろう。