トヨタは、人気ハイブリッドカーであるプリウスをマイナーチェンジし発売を開始した。
今回行われた外観デザインの変更点についてだけでなく、現行の4代目プリウスの燃費や走行性能、安全装備といった点についても詳しく解説している。また、買うべきモデルについても触れているため、購入の際は、是非参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
1.発売直後から大人気となった4代目プリウス
2.海外で不評?リヤ周りを大幅デザイン変更
3.再び万人受けするデザインを目指したプリウス
4.4年目以降有料でやや高価な設定のT-Connect
5.同じプラットフォームのカローラスポーツと異なる安全装備
6.トヨタ プリウス価格一覧
7.燃費や走行性能が変わらない高年式中古プリウス

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.発売直後から大人気となった4代目プリウス

現行プリウスは、4世代目で50系と呼ばれている。
2015年末にフルモデルチェンジし、トヨタ車初のTNGA(Toyota New Global Architecture)を採用した。

4代目プリウスの燃費は世界トップレベル37.2㎞/L!

4代目プリウスに搭載されたハイブリッドシステムは、3代目プリウスにも搭載されていた1.8LTHS-Ⅱの進化バージョンを搭載。燃費性能も向上され、売れ筋グレードの燃費はJC08モードで37.2㎞/Lと世界トップレベルの実力をもつ。

プリウスのエンジン

TNGA採用によりスポーティな走りが可能

従来のプリウスは、燃費重視で走りはイマイチという印象が強かった。
しかし、優れた走行性能を目指したTNGAを採用。
このTNGAにより、従来のプリウスとは比べ物にならないくらいスポーティな走りが可能になった。

新車販売台数ナンバー1にも輝く人気モデルに

燃費性能だけでなく、走行性能も磨いた4代目プリウスは、発売直後から人気モデルとなっている。
軽自動車を除く新車販売台数ランキングでは、2016年度と2017年度にナンバー1に輝くといった、従来のプリウスと同様に高い人気を誇っている。

2.海外で不評?リヤ周りを大幅デザイン変更

50系プリウスのマイナーチェンジでは大幅なデザイン変更と同時に、装備工場などの変更も行われた。ハイブリッドシステムの進化による、更なる燃費アップは行われていない。

プリウスの外観後ろ

リヤコンビネーションランプを縦基調から横基調へ

外観デザインの変更に注目したい。
ひと目で気が付く変更点は、リヤまわりのデザイン。従来、縦基調だったリヤコンビネーションランプが、横基調に変更された。

大幅なデザイン変更は不評を意味する?

リヤコンビネーションランプの変更には大きな意味がある。
トヨタは販売好調には、マイナーチェンジでもほとんど大きな変更をしない。これは、売れている、つまり顧客から支持されているので、変更する理由がないということだ。
こうした姿勢の強いトヨタがここまで大幅にデザイン変更するということは、縦基調のリヤコンビネーションランプが不評であることを浮き彫りにさせた。

プリウスのリヤエンド

デザインの変更は北米での評価が原因か

日本でのプリウスの販売は好調であった。ということは日本以外、とくに主戦場でもある北米での評価が悪かったと予想できる。

3.再び万人受けするデザインを目指したプリウス

リヤまわりのデザイン変更だけでなく、フロントまわりのデザインも随分変更されている。

デビュー時のコンセプトは「ICONIC Human-tech」

プリウスはデビュー時、「ICONIC Human-tech(アイコニックヒューマンテック)」という、コンセプトを掲げていた。
これは、人の記憶や直感で分かる先進機能に遊び心を融合させた、一目でプリウスとわかるユニークなデザイン、ということだ。

先鋭的なデザインへ変更した4代目プリウス

コンセプトゆえにやや先鋭的なデザインとなった。それはある意味、好き嫌いが明確に出るデザインとも言える。

先代プリウスは、比較的大人しい万人受けのデザインだったのに対して、4代目プリウスは大きくデザインの方向性を変更したのだ。

プリウスらしさを持ちつつ大掛かりなフェイスチェンジ

方向性の変更で縦型のリヤコンビネーションランプと同様に、フロントフェイスもエッジの効いたシャープさをアピール。しかしこの度のマイナーチェンジでは、グリルやバンパーを丸くし、やや押し出し感のあるデザインへと変更した。

プリウスのフロントフェイス

さらにランプ類も変更するなど、かなり大掛かりなフェイスチェンジとなっている。
従来のプリウスらしさこそ失っていないものの、全体的に先鋭さは無くなり、より万人受けするデザインになったともいえる。

インパネ周りはホワイトからブラック加飾に変更

インテリアもプリウスの特徴でもあった、ホワイトのコンソールトレイはブラック加飾に変更。こちらもまったく異なる色に変更されたということは不評だったのだろう。
ブラック加飾に変更したことで、上質感のある落ち着いた大人のインパネまわりといった印象になった。

4.4年目以降有料でやや高価な設定のT-Connect

装備面では、流行りのコネクティッドサービスが強化された。専用車載通信機DCMを全車に標準搭載。T-Connectサービスを3年間無料で使用することができる。

プリウスの内装

専任オペレーターに24時間365日依頼できるサービス

T-Connectサービスにはまず、専任のオペレーターによる24時間365日、ナビの目的地設定や情報検索を依頼できるオペレーターサービスがある。
その他にも、トヨタスマートセンターで収集したリアルタイムの交通情報や地図データなどをもとに、最適なルートを探索するハイブリッドナビを搭載。
さらに、エアバッグなどが作動するような大きな事故などのあった場合、警察や消防などに自動通報するヘルプネットサービスといった機能を搭載している。

無料期間は3年間、4年目以降は12,000円/月

今後の発展性を含め、とても便利なサービスだが、注意しなくてはならないのは無料期間が3年間のみであるということ。4年目以降は、12,000円/月(税抜き)という高額な使用料が発生する。これだけ高額だと、クルマの使用頻度が少ないユーザーにとって大きな負担になる。

その他、快適機能ではシートベンチレーションを設定。夏場の快適性を大幅に向上している。

5.同じプラットフォームのカローラスポーツと異なる安全装備

歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「トヨタセーフティセンス」が、ようやく全車に標準装備化された。これにより、プリウスはどのグレードでも一定の予防安全性能をもった。

プリウスの予防安全装備

プリウスには夜間歩行者検知機能の装備なし

だた、残念な点もある。
同じプラットフォーム(車台)を共用するカローラスポーツに標準装備化されている、夜間の歩行者検知と昼間の自転車を検知できる自動ブレーキが、プリウスに装備されなかったことだ。せっかくアップデートしても、旧式の自動ブレーキではあまり意味がない。
流行りのコネクティッドサービスくらい、歩行者の命を守るための予防安全装備にも力を入れてほしいものだ。

6.トヨタ プリウス価格一覧

トヨタ プリウスの価格は以下の通り。

グレード 駆動 価格
E FF 2,518,560円
S FF 2,565,000円
  4WD 2,759,400円
S “ツーリングセレクション” FF 2,732,400円
  4WD 2,926,800円
A FF 2,842,560円
  4WD 3,036,960円
A “ツーリングセレクション” FF 3,006,720円
  4WD 3,201,120円
Aプレミアム FF 3,175,200円
  4WD 3,369,600円
Aプレミアム“ツーリングセレクション” FF 3,284,280円
  4WD 3,478,680円

7.燃費や走行性能が変わらない高年式中古プリウス

主に外観を中心とした変更を施したマイナーチェンジが行われたプリウス。
燃費性能や走行性能面に関しては、ほとんど手が入れられていない。こうなるとよほどマイナーチェンジ後のデザインが好き、ということでなければ、中古車という選択肢の方がコストパフォーマンスに優れる。

プリウスの運転席

お買い得感がある価格帯に入る中古車プリウス

プリウスは非常に人気モデルなので、中古車マーケットでも豊富に流通している。ただ、流通量が需要に対してやや多い印象だ。
そのため中古車価格は低めに推移しており、なかなかお買い得感のある価格帯に入っている。

3年落ちで車両価格の55~60%程度に

例えば、高年式の2016年式だと170万円台から、そこそこの程度のものが選べるようになっている。ナビなどが装備されていれば、300万円前後になっていたモデルも多い。
こうなると、3年落ちながら車両価格の55~60%程度になっている。予算を重視するのであれば、こうしたモデルを選ぶのも賢い。

予算200万円台で上級グレードが中古で狙える

予算が200万円台ということであれば、上級グレードのA系を狙える。こちらは、ナビを装着したモデルなら300~350万円以上になっていたモデルだ。装備やグレードによりやや差があるものの、かなりお買い得感がある。
我慢して新車の安価グレードを買うより、中古で豪華な仕様の上級グレードに乗るという選択肢もありだろう。