スズキは、女性をターゲットにしたカワイイ系の軽自動車、アルトラパンに特別仕様車「モード」を設定し発売を開始した。気になるのは安全装備だけで、外装や内装、価格面では優れたクルマとなっている。各要素の優劣を、理由を添えて解説している。また、買うならどこで、どういった状態のものがいいかにも言及した。

この記事の目次 CONTENTS
1.個性的なデザインで存在感をアピールするアルトラパン
2.低燃費だが予防安全装備面では物足りない仕様に
3.ひとクラス上の上質感ある内装をもつ特別仕様車「モード」
4.アルトラパンを狙うなら、特別仕様車「モード」は買うべき?
5.コストパフォーマンスを重視する場合のかしこい選択
6.スズキ アルトラパン特別仕様車モード価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.個性的なデザインで存在感をアピールするアルトラパン

アルトラパンは、可愛いルックスからも分かる通り、女性をメインターゲットにした個性派軽自動車だ。
車名のラパンとは、ウサギという意味をもつことから、フロントグリルに入れられたエンブレムは、ウサギをモチーフにしている。
アルトラパンは、2015年にフルモデルチェンジし、3世代目となっている。

アルトをベースに可愛らしさをアピールしたラパン

ベースとなっているモデルは、車名からも分かる通り、ベーシックな軽自動車として人気のアルトだ。
アルトをベースとしながら、アルトラパンには角が丸いシルエットのデザインが採用された。
ボディには大型の丸目ヘッドライトが組み合わされ、可愛らしさをアピールしている。

ベージュ系で広さを強調したインテリアデザインが特徴

アルトラパンのインテリアは、明るいベージュ系カラーでコーディネイトされている。
ブラック系とは異なり、室内が明るく見えることで広さが強調されている。

インパネには、水平基調のデザインが採用された。こちらも、広さをアピールできるデザインだ。
全体的にスッキリとした印象が特徴的だ。

2.低燃費だが予防安全装備面では物足りない仕様に

アルトラパンに搭載されたエンジンは、660㏄の直3自然吸気エンジンのみとなっている。出力は52ps&63Nmとなった。
燃費が最もよいグレードでは、JC08モード燃費で35.6㎞/Lとなっている。

低い燃費値は、スズキの低燃費技術である「エネチャージ」や、一部グレードを除き装備されている「副変速機構付CVT」による効果だ。

歩行者検知式自動ブレーキの用意がないアルトラパン

高齢者事故をきっかけに、最近話題になっているのが予防安全装備だ。
残念ながら、アルトラパンには歩行者検知式自動ブレーキが搭載されておらず、約30㎞/h以下で作動する、低速域のみの自動ブレーキしか装備されていない。

追突被害軽減ブレーキの他に、誤発進抑制機能が全車に標準装備化されているが、この安全装備は少々物足りない。
サイド&カーテンエアバッグの設定が無いのも残念だ。

安全装備面では、ライバル車となるダイハツ トコットより遅れていると言わざるを得ない。

3.ひとクラス上の上質感ある内装をもつ特別仕様車「モード」

アルトラパン特別仕様車モードのベース車となったのは、Sグレードだ。
Sグレードをベースとし、上質感のあるシート表皮、ドアトリムクロスとフロアマットをネイビー基調で統一している。
シンプルながらもスタイリッシュな空間に仕上がっている。

上質感をプラス、シックで落ち着いた印象の内外装

インパネまわりは、高級感をプラスするために、ブラックパールのガーニッシュやヘリンボーン模様の木目柄が取り入れられた。
こちらも品の良い上質感があり、シックで落ち着いた雰囲気がある。

エクステリアデザインは、特徴的な装備となっている。
メッキフロントグリル、シルバーとホワイトの2トーンに塗り分けたフルホイールキャップ、ブルーのアクセントカラーを施したフロント・バックドアのエンブレムなどだ。

女性に嬉しい、カラー展開と上級装備

ボディカラーは、全8パターンが用意されている。
ノクターンブルーパールをはじめ、モノトーン5色、ホワイト2トーンルーフ3パターンだ。
外観も、内装同様に上質感がプラスされている。
ボディカラーの選択肢が豊富なのは、女性ユーザーにとってはうれしい点だろう。

装備面では、「ナノイー」搭載フルオートエアコンや、助手席シートヒーター(2WD車)といった、上級装備を追加採用している。

4.アルトラパンを狙うなら、特別仕様車「モード」は買うべき?

スズキ アルトラパン特別仕様車モードの価格は1,353,240円となっている。
具体的には、ベースのSグレードより、約7万円の価格アップに収まっている。
専用特別装備分を加味すれば、十分に納得できる範囲の価格アップだ。
上質感は十分なので、逆にお買い得感のある特別仕様車といえるだろう。

特別仕様車は、アルトラパンのキャラに合った内外装としたことで、魅力的がさらに増している。
アルトラパンの購入を考えているのなら、特別仕様車をメインに検討してみるのもいいだろう。それだけの価値がある。

予防安全性能重視の場合は購入対象外に

注意したいのは予防安全装備だ。
今時、歩行者検知式自動ブレーキの装備くらいは、軽自動車でも当たり前の時代。
予防安全性能を重視するのであれば、アルトラパンは購入対象から外れる。

5.コストパフォーマンスを重視する場合のかしこい選択

予防安全装備の優先順位が低く、よりリーズナブルにアルトラパンを手に入れたいというのであれば、登録済未使用車の購入をおススメする。

登録済未使用車とは、簡単に言うと、メーカーやディーラーの都合で、自社名で登録して売ったことに見せかけたクルマのことだ。
登録しただけなので、新車と同じコンディションなのが魅力だ。

しかし、一度登録してしまうと、中古車扱いになる。
そのため、中古車店で登録済未使用車として販売されるのだ。
新車コンディションながら、価格が安い点がおススメの理由だ。

コストパフォーマンスに優れる登録済未使用車

スズキは、こうした登録済未使用車を、中古車マーケットに積極的に供給するメーカーだ。
アルトラパンも、非常に多くの登録済未使用車が出回っている。

アルトラパンのリセールバリューは悪くない。
そのため、登録済未使用車で安く購入できれば、その後売却したときのリターンもある程度見込める。
コストパフォーマンスに優れたクルマだ。

6.スズキ アルトラパン特別仕様車モード価格

アルトラパン特別仕様車モードの価格は以下の通り。

駆動 価格
2WD 1,353,240円
4WD 1,452,600円