ホンダは、スポーツカーの新型NSXの発売を開始した。NSXは、このモデルで2代目となる。


2代目NSXようやく登場


ホンダNSX初代NSXは1990年にデビューした。ちょうどバブル期だったこともあり、NSXは投資の対象ともなった。当時のNSXの価格は800万円を超えていたが、爆発的な人気モデルとなる。あまりの人気で、NSXはあっと言う間に数年待ちという状態になった。中古車マーケットには、転売目的で購入されたNSXが売れるようになる。その中古車価格は、新車価格を大幅に上回っていた。そうした行為は、ドンドンエスカレート。北米仕様のアキュラNSXが輸入され、販売されるほどだった。しかし、バブルの終焉と共にNSX人気も下降していった。
その後、NSXは長期間に渡り改良を繰り返す。そして、2005年に販売が終了するまで、デビューから15年も販売された。販売終了後、何度か2代目NSX復活の話題が何度か出てきたが、いつの間にか立ち消えというパターンを繰り返す。そして、ようやく約11年後に新型NSXが登場した。

気になる外観・性能・内装は

2代目NSXの外観デザインは、先代NSXのイメージをまったく感じさせない。ボディサイズは、全長4,490×全幅1,940×全高1,215mm。先代NSXが全長4.430×全幅1.810×全高1.170㎜なので、ボディサイズは先代比で全長+60㎜、全幅が+130㎜、全高が+45㎜となった。かなりワイドになり全高がやや上がっている。2人乗りのミッドシップ車ということもあり、日産GT-Rと比べると220㎜短い全長となっている。

V6 3.5Lツインターボエンジンは、507ps&550Nm!

ホンダNSX
新型NSXには、V6 3.5Lツインターボエンジンが搭載された。出力は、507ps&550Nm。このV6エンジンは、一般的な60度のVバンク角に対して75度に設定されていて、シリンダーヘッドを大幅にコンパクト化し低重心化に貢献している。エンジンオイルの潤滑は、レーシングカーなどに採用されているドライサンプ式となり、オイルパンが不要になったことで、エンジン搭載高を60㎜低くすることができた。
ミッションは、ツインクラッチの9速DCT。1~8速はスポーツドライビングに対応するためクロスレシオ化されているが、9速は高速クルージング用としてセッティングされている。低燃費化とスポーツ走行の両立を考えたミッションといえる。

先進の3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」搭載で、異次元のハンドリング性能を実現

新型NSXの最大の特徴といえるのが、3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」。1つ目のモーターが、9速DCTとエンジンの間にあり、このモーターは48ps&の馬力と148Nmのトルクを誇る。このモーターをクランクシャフトに直結することで、9速DCTのギヤがどの状態でも駆動力をアシストすることができる。NSXはターボエンジンなので、どうしてもターボラグが伴う。モーターは瞬時にして最大トルクを出すという特性をもつため、アクセルを踏んだ瞬間にモーターがターボラグを補い、レスポンスの良い気持ちのいい走りをアシストする。
そして、2つ目と3つ目のモーターは、左右の前輪にそれぞれ独立して装備される。この2つのモーターで駆動するTMU(ツインモーターユニット)を組み合わせで駆動力を電動で制御するシステムを搭載した。TMUは、プラスのトルク(駆動力)のみならず、マイナスのトルク(減速力)も自在に制御することができる。そのため、高度なトルクベクタリング効果を得ることができ、全速度域での高いハンドリング性能を得た。

こだわりのシステム構成

ホンダNSX
サスペンションは、フロントがアルミ製のダブルウイッシュボーン式。リヤもアルミ製のマルチリンク式が採用された。ダンパーは、磁性流体式のMRダンパーを用いたアクディブ・ダンパーシステムが採用されている。こうしたサスペンションは、4つのモードで制御可能。ドライバーの操作や路面の状況に合わせ、優れたパフォーマンスを発揮する。モードはQUIET/SPORT/SPORT+/TRACKと呼ばれる4タイプが用意された。EV走行や街中からサーキットまで幅広いセッティング幅がある。
ブレーキは、アルミモノブロック製キャリパーが採用。フロントが15インチ6ピストン。リヤが14.2インチの4ピストンとなっている。オプションで、カーボンセラミックマテリアルディスクも用意された。タイヤ&ホイールサイズは前245/35ZR19、後305/30ZR20という前後異径。ホイールは鍛造製だ。

価格は驚きの2,370万円! なんと、GT-Rの2倍以上! ライバルはポルシェやランボルギーニ?

新型NSXの価格は2,370万円となった。初代が約800万円とすると、3倍に近い価格アップとなっている。この価格帯になると、かなり購入できる顧客は限られてくる。この価格は、日産GT-Rのエントリグレードのほぼ2倍という価格だ。この価格帯は、アウディR8やポルシェ911ターボ、ランボルギーニ ウラカンなどとほぼ同等。完全に価格は、世界のスーパーカーと同等の領域に入った。いわゆる富裕層でなくとも、無理をすれば手の届いた先代NSXと比べると、随分遠い存在になった。

メイド・インUSAという微妙な生産体制で、ブランドイメージは?

ホンダNSX
新型NSXの生産は、米国オハイオ州のメアリズビル四輪車工場の隣接地に位置する専用工場「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で行われる。日本のホンダが、最先端技術を駆使したスーパースポーツカーをアメリカで生産することに関しては、日本人的には少々感傷的になってしまう。やはり、日本のモノづくり技術を世界にアピールして欲しいと思うのだ。

日本での受注開始は8月25日、2017年2月27日に発売へ

新型NSXは、アメリカから年間100台程度が日本に導入されるという。しばらくの間、数年待ちの状態になる可能性が高い。ホンダは、こうしたスポーツモデルに関しては、少量生産しながら長期間大切に売っていく方向性となっているようだ。

ホンダNSXの価格・スペック

■ホンダNSX車両価格:23,700,000円

代表グレード ホンダNSX
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,490×1,940×1,215mm
トレッド前:後[mm] 1,655:1,615mm
車両重量[kg] 1,780kg
総排気量[cc] 3,492cc V6ツインターボ
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 373(507)/6,500-7,500rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 550(56.1)/2,000-6,000rpm
モーター最高出力前後[kw(ps)/rpm] 前:27(37)/4,000 後:35(48)/3,000
モーター最大トルク前後[N・m(kg-m)/rpm] 前:73(7.4)/0-2,000 後:148(15.1)/500-2,000
ミッション 9速DCT
タイヤ前後 前:245/35ZR19 後:305/30ZR20
JC08燃料消費率[km/l] 12.4km/l
バッテリー リチウムイオン
定員[人] 2人