この記事の目次 CONTENTS
スポーツモデルとなるトゥインゴGTを発売開始
軽自動車を上回る最小回転半径を誇るトゥインゴ
ハイパワー化により、109ps&170Nmを達成
軽快なステアリングフィール
ルノー トゥインゴGT価格、スペックなど

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スポーツモデルとなるトゥインゴGTを発売開始

ルノーは、コンパクトカーのトゥインゴにスポーツモデルとなるトゥインゴGTを設定して発売を開始した。

ルノー トゥインゴは、現行モデルが3代目。2016年に導入されている。トゥインゴは、メルセデス・ベンツのスマートと車台部分などを共用化していて姉妹車関係にある。そのため、従来まで前輪を駆動だったトゥインゴだったが、3代目トゥインゴはリヤエンジンリヤドライブのRRになった。

基本骨格は、スマートと同じなのだが、デザインやパワーユニットなどはまったく異なっている。

軽自動車を上回る最小回転半径を誇るトゥインゴ

トゥインゴの全長は3,630㎜。Aセグメントというクラスのコンパクトカーになる。同じコンパクトカーであるトヨタ アクアの全長は約4mなので、トゥインゴがいかに小さなボディサイズなのか分かる。同じクラスの国産コンパクトカーは、トヨタ パッソやスズキ イグニスだ。

トゥインゴは、リヤにエンジンを搭載しているモデル。こうしたレイアウトもあり、非常に優れた機動性を誇る。なんと、最小回転半径は、わずか4.3m。この数値は、ワゴンRなどの軽自動車よりも優れた最小回転半径をもつ。細い道、狭い駐車場などでの扱いやすさは抜群だ。

ターボ車ではキビキビとした走りが楽しめる

現行トゥインゴには、71ps&91Nmの自然吸気である直3 1.0Lと、90ps&135Nmを誇る0.9Lの直3ターボエンジンが用意されている。車重は1,000㎏程度と軽いこともあり、ターボ車ならキビキビとした走りが楽しめる。

しかし、燃料がハイオクガソリン仕様となる点が残念な部分。燃費性能は21.7㎞/Lとまずまずの数値なのだが、ハイオクガソリンはレギュラーガソリンに対し10円/L以上価格が高い。こうなると、コンパクトカーなのに、燃料費という点ではそれほどメリットがない。ルノーも日本に導入するのなら、レギュラーガソリン仕様に変更するなどするくらい手間をかけないと、日本で売るには難しくなる。

また、トゥインゴには、ルーフを開閉できるキャンバストップも用意されている。フランス車らしいオシャレな雰囲気と開放感を同時に楽しめるモデルだ。

ハイパワー化により、109ps&170Nmを達成

新規投入されたルノー トゥインゴGTには、高出力化された0.9L 直3ターボが搭載された。最高出力109ps、最大トルク170Nmとなった。

このハイパー化には、トゥインゴGTの外観上の特徴でもあるのがエアインテークが大きくかかわっている。エアインテークの位置をリヤフェンダー上部に変更。これにより、フレッシュなエアをターボチャージャー供給。空気の温度を12%低下し、エンジンの吸気流量を23%向上させた。

魅力的なエキゾーストシステム

この他、燃料ポンプやウォーターポンプも専用設計された。そして、エキゾーストシステムも最適化され、新たにクロームデュアルエキゾーストパイプが装着された。ミッションは、5速MTと6速EDCが用意されている。

このトゥインゴGTで物足りないのは、環境性能。5速MTにはアイドリングストップ機能が装備されているのに、6速EDCには装備されていない。環境性能が重視される時代。スポーツモデルとはいえ、最も基本的なアイドリングストップ機能さえ装備されていないというのは、いただけない。早急な改善が求められる。

軽快なステアリングフィール

エンジンのハイパフォーマンス化に伴い、シャシー関連にも手が加えられている。シャシーには、ルノースポールの手が入れらたほど。専用ダンパーやアンチロールバーに、ESCの制御も変更されている。トゥインゴGTは、今や数少ないリヤ駆動車。リヤタイヤを滑らせてドリフトするような走りも可能になった。
 
そして、トゥインゴGTにはバリアブルギアレシオ(VGR)ステアリングが追加装備されている。この機能は、ステアリングのギヤ比をコントロールし、低速や駐車時にはステアリング操作が少なくてもタイヤはフルロックになるので狭い場所でもより扱いやすくなる。

逆に、ステアリングの中立付近では、タイヤは小さく切れ安定かつ正確なハンドリングをもたらす。タイトコーナーでは、少ないステアリング操作量で前輪が大きく切れるのでキビキビと走り、高速域ではタイヤの切れ角が少なくコントロールしやすくなる。

このような装備は、車体が大きなクルマや高額車に用いられるケースが多い。トゥインゴのようなコンパクトカーに採用されることは珍しい。トゥインゴGTは、ホイールベースが短いので、高速域では安定感を。低速域ではキビキビ感を出すために必須なアイテムなのだろう。

物足りなさを感じる安全装備

運動性能を高める装備は充実しているが、安全装備は物足りない。エアバッグ類は十分なものだが、自動ブレーキを含む先進予防安全装備が用意されていないのだ。ルノーは、全般的にこうした予防安全装備の装着が遅れている。こういう機能こそ、日産のプロパイロットなどを積極採用するなどできないものだろうか。

日本では、軽自動車でも歩行者検知式自動ブレーキが当たり前。先進予防安全装備が無いことで、購入を見送る顧客も多く出てくるだろう。

ルノー トゥインゴGT価格、スペックなど

■ルノー トゥインゴGT価格
・MT 2,290,000円
・EDC 2,390,000円

■ルノー トゥインゴGT主要スペック
全長×全幅×全高(mm):3,630×1,660×1,545
エンジンタイプ:ターボチャージャー付直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:0.897L
最高出力(EEC):80kW(109ps )/5,750rpm
最大トルク(EEC):170N・m(17.3kgm *1)/2,000rpm
トランスミッション:5速MT/6速EDC(エフィシエント デュアル クラッチ)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン